軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

249.雪原の大型イベントです!

ウェーデンの街が、様々な装備品をまとった冒険者によって賑わい出した。

大型イベントの開始を前に、参加者たちが雪の世界を楽しんでいる。

メイたちは、イベントの開始を待っていた。

「今度はどんなイベントになるのかなぁ」

メイは塀の上に腰を下ろし、足をパタパタさせている。

「この辺一帯を使った、大人数で駆け回る感じじゃないかしら」

今もなお『闇の使徒』として動く黒騎士、黒神リズ・レクイエムとの再会に頭を抱えたレンも、ようやく冷静さを取り戻していた。

「そろそろ時間ですね」

ツバメがつぶやくと、運営からのアナウンスが始まった。

『――――ただいまより大型イベント【ウェーデンギルドは大忙し!】を開始します』

『――――本イベントはポイント制』

『――――中央のギルド本館と、ウェーデン内に八つある分館に、レベルやジャンルで分かれた多数のクエストが張り出されます』

「クエストが掲示板に貼り出されるというのは、少し変わり種ですね」

『――――全てのクエストにポイントがあり、中には競争になる物も多数ありますが、協力という形を取ることも可能です』

『――――取得ポイントの状況は、大掲示板にパーティ名と共に表示されます』

「地道なクエストを進めるもよし、大物を狙うもよし、その中で別のパーティとぶつかることも、協力することもありってことね」

「その場合、ポイントは分け合う形になると。やはり今回は少し変わっていますね」

今回の『ウェーデンギルドは大忙し』はどうやら、ギルドに来た大量の仕事を冒険者たちで片付けるという形式のようだ。

ただしクエストには当たりやハズレもあり、派生していくものもある。

イベントの開始時間までは、もうわずか。

自然とそわそわし始めるプレイヤーたち。

メイも足をパタパタ、開始が待ち遠しそうだ。

「……おい、あれって」

そんな中、ざわめき出す参加者たち。

「お、シオールとローチェか」

視線を集めているのは、長い黒髪にメガネをかけたシオールと呼ばれるお姉さんだ。

隣にいるのは、派手目な格好をした同年代の女性プレイヤー。

「わあ……素敵なお姉さんだねぇ」

メイが羨望の視線を向ける。

シオールは装飾品のメガネがとても似合う、大人の雰囲気。

まさに、コーヒーを片手にパソコンを使うのが似合いそうな感じだ。

「トッププレイヤーと一緒のイベントは、久しぶりだなぁ」

そして、多くのプレイヤーたちにその名を知られるトップの一人でもある。

そんなシオールが、不意にその足を止めた。

「あら、そこにいるのはなーにゃちゃんではないの?」

「おや、誰かと思えばシオールさんではございませんかー」

シオールに声をかけられたなーにゃは、相変わらずのマイペースで応える。

そしてトップたちの出会いに、参加者たちがにわかにざわめき出した。

「なーにゃちゃんは、この辺り詳しいのかしら?」

「いやぁ、そんなことはないですな。リズに教えてもらって下見をしてきたくらいなのですよ」

「あらそうなの? それだったら今回は……ご一緒しません?」

「「「ッ!?」」」

その場にいた参加者たちが、一斉に驚きの声をあげる。

「実は私たち、この辺に来たことないのよぉ」

シオールの誘いはまさかのもの。

自分たちだけでも、余裕で活躍できるであろう大型イベント。

いくら初見の場所とはいえ、分け前の減るような真似をする必要がない。

「そういうのもいいですな」

「構わない」

「「「ッ!?」」」

さらに驚きを続ける参加者たち。

錬金術師として名をはせるトッププレイヤーのなーにゃと、黒騎士リズ。

なーにゃはホムンクルスの調整や経験値稼ぎのために、個人での行動が多い。

そしてリズも、濃いめの中二病ゆえに野良でなんとなくパーティを組むことは基本的にない。

「マ、マジかよ、トッププレイヤーたちがパーティを組むだって……?」

「こうなっちゃうと、今回はトップ同盟の一人勝ちだなぁ」

「これはさすがに圧勝だね」

まさかのトッププレイヤー同士のチーム誕生に、圧倒される参加者たち。

最強の四人が手を組んだとなれば、騒ぎにならないはずがない。

「トッププレイヤーのパーティが手を組むって……さすがに予想外だ」

「今回ヤバくないか?」

トップ同士のチーム誕生に、ウェーデンはさらに賑わいを見せていく。そんな中。

「レンちゃん、今度は何が見られるかなぁ!」

「まだ行ってない方向には、氷海なんかもあるみたいよ」

「海には氷山なんかもあるようです」

「氷山! わあ、楽しみだねぇ……っ」

イベントの開始を、今か今かと待ち続けているメイ。

野生少女がすぐそこでワクワクしていることに、イベント参加者たちはまだ気づいていない。