軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

208.魔法のランプ

「ランプの精だーっ!」

魔法のランプから出てきたのは、誰もが想像するランプの精。

その身体は大きく、なんだか憎めない笑みを浮かべている。

「付いてきてくれるってことか?」

「面白いじゃないの」

「ああ、良さそうだな」

落下してきたプレイヤーたちも楽しそうにランプの精に注目している。

「それじゃさっそく聞いてみようかしら……ここから先に進むにはどうすればいいの?」

レンがたずねると、ランプの精は台座の裏にあった鉄板を軽々と持ち上げてみせた。

床に隠し通路があったようだ。

出てきた階段を六人で降りていくと、ランプの精も身体をぎゅうぎゅう伸縮させながら後をついてくる。

一つ下の階に降りたところで、再び石壁の路が始まった。

「【ラビットジャンプ】」

路の先にあったのは、床のない部屋。

メイはその底に着地できる場所がないか、一応下方を【遠視】で確認してから向こう側へ。

付近を念入りに調べてみる。

「んー、道が出てくる仕掛けとかはないみたい」

「マジかよ……」

そうなると、全員で渡ることはできない。

ツバメには【加速】からの【跳躍】、レンには【浮遊】がある。

だが落下パーティの重装剣士には、さすがにこの距離を渡るすべがない。

「……アサシンの言葉では、ここから先に進むのにランプの精が有効って言ってたけど、私たちを向こうに運んだりできる?」

レンが問いかけると、ランプの精はひょいひょいと五人を肩に乗せた。

そのまま浮遊状態で、大穴の上を渡り始める。

「わあ! いいなー!」

その姿に、思わず声を上げるメイ。

ランプの精が大穴を渡り終えると、さっそく聞いてみる。

「わたしも乗せてもらえますかっ?」

五人を降ろしたランプの精は、一度得意そうにうなずくと今度はメイを肩に乗せた。

「やったー!」

うれしそうに尻尾を振るメイ。

「かわいいなぁ」

落下パーティの女性魔術師が、歓喜のメイを眺めながらつぶやく。

「ああ、癒される」

仲間の武闘家も感慨深そうにうなずく。

楽しそうなメイに癒されながら進んで行くと、そこには黄色い宝珠の埋め込まれた石扉。

「これはなんでしょうか」

ツバメが宝珠に触れてみるが、今回はそれだけでは開かない。

「どうすればいいか分かる?」

レンが問いかけると、ランプの精がビシッと宝珠を指さした。

するとその指先から走った雷光が宝珠に吸い込まれ、石扉が動き出す。

「わあ! すごいすごーい!」

メイはパチパチと盛大に拍手する。

「おっと!」

しかしその先から現れたのは、十数体のミイラたち。

「【フレアストライク】!」

一本道に並んだミイラたちは的でしかない。

レンが放った魔法は、ミイラたちに着弾。

「……あら」

しかし、耐えきった。

見ればミイラたちは大盾を手に、ハニカム型の防御スキルを発動している。

「なるほど、こういう攻め方をしてくるのね」

一本道を使ったやっかいな攻防戦。

早くもメイは、期待の目を向ける。

するとそれに応えるように、ランプの精が大きく息を吸い込んだ。

「うわっ!」

吐き出された突風は、迫る盾ミイラの一団をまとめて転がした。

「すごーい!」

メイはランプの精の肩の上で、拍手喝采。

こうなってしまえば、あとは簡単。

「今だ!」

重装剣士が突撃し、放つハルバードの突き。

「【アサルトブロー】」

猛烈な突きから、わずかな間を置いて放たれる衝撃。

隙だらけになった盾ミイラたちを、まとめて吹き飛ばした。

「なるほど、あのアサシンの言っていた通りね」

「ランプの精が、とても役に立ってくれています」

面倒な仕掛けの続く路を、ランプの精に助けてもらいながら進む。

それがこのルートの基軸のようだ。しかし。

進んだ先の部屋で、閉じる扉。

閉じ込められた部屋に現れたのは、二匹の巨大なサソリ。

砂煙をあげながら迫るサソリは、そのまま先頭にいたランプの精を狙い撃ちにきた。

その勢いの前には、押される一方だ。

「なるほど、ここは自分たちの力も試されるってわけだな!」

武器を取り出す重装騎士たち。

「ランプの精さんっ! 【バンビステップ】!」

しかし最初に動き出したのはメイ。

剣を手に取ると、片方のサソリの前に立ちふさがる。

「こっちはわたしにお任せくださいっ!」

迫るサソリの尾をかわし、大きく一歩踏み込んでいく。

「【フルスイング】!」

叩きつける一撃で、即座に打倒。

「【装備変更】」

そして頭装備を【狐耳】に換える。

「【投石】からの【投石】!」

【狐火】によって燃える石が二連発、サソリの体勢を大きく崩す。

「それでは、最後はお願いしますっ!」

するとランプの精は炎を吐き、倒れた二匹目のサソリを焼き尽くした。

「やったー!」

こうして見事、二匹の大サソリも攻略。

ランプの精と共に、腕組みポーズを決めるメイ。

「……なあ」

そんな両者の戦いを眺めていた、重装剣士が問いかける。

「最終的には、ランプの精の方が助けられてたな」

「ああ、こんなこともあるんだな……」

「ていうか【投石】で敵のバランスを崩したりできるものなの……? あれが一番とんでもない気がするんだけど」

最終的にはランプの精のために、燃える【投石】でサソリを弾き飛ばしたメイに、落下パーティは感嘆する。

「こういう時に、やっぱりメイはすごいんだってあらためて実感するわねぇ」

「本当です」

助っ人のランプの精を助けるメイ。

それに驚く落下パーティ。

そんな光景を前に、レンとツバメはうなずき合うのだった。