作品タイトル不明
204.盗掘者は許さない姿勢
ミイラ包囲網を抜け、ピラミッドを進むメイたち。
紋様の描かれた石造りの路を、並んで進んで行く。
すると後続の声が聞こえてきた。
どうやらいくつかのパーティが、メイの開いた通路を通ってやって来たようだ。
「おっ! 先行パーティに追いついたぞ!」
「よーし! このまま前に出るんだ!」
「お先に失礼っ!」
その中でも先頭をかけてきたパーティが、メイたちを追い抜いていく。
「あ、そこ床の並びが少し――」
「「「うわああああああっ!!」」」
おかしいから気を付けて、とメイが言おうとした瞬間に開く落とし穴。
追い抜きパーティは、そのまま消えていった。
「おかげで助かったな!」
「ええ、本当にねぇ!」
そんな落下パーティをしり目に、新たな顔ぶれがメイたちを追い抜いていく。
「本当にお宝争奪戦になっていますね」
「すごーい!」
その勢いに、思わずワクワクしてしまうメイ。
新ピラミッド探検は、同時にお宝争奪戦だ。
現状、どこもこんな盛り上がりを見せている。
続く路に置かれた扉を第二の追い抜きパーティが開くと、中は砂の敷かれた通路だった。
天井に空いたヒビから、砂がもれ落ちてきている状況だ。
「おい! いよいよお宝の雰囲気が出てきたな!」
「ちょっと神秘的な感じね! これは何かありそう!」
追い抜きパーティは、躊躇なく砂の通路に踏み込んでいく。
「ちょっと待って」
対してレンは、メイとツバメを制して通路の前で一時停止。
さらに新たなパーティに追い抜かれる。
「何か見つけましたか?」
「んー、なんか嫌な感じがするのよね」
「うんうん分かるよっ!」
ブンブンとうなずくメイ。
すると先行していた二つのパーティが、砂の通路の中ほどまで進んだところで――。
突然足元の砂が流れ落ち出した。
「お、おい! こんなところで流砂かよ!?」
「こんなの聞いてないっ! とにかく早く抜け出して――」
慌てて逃げ出そうとするパーティ。
しかし路の途中に空いた大穴に、砂は勢いよく流れ落ちていく。
「「あ、ああああああ――――ッ!!」」
先行パーティ、またも消える。
「【誘導弾】【ファイアボルト】」
レンの放った魔法は、長い砂の廊下の先にあるレバーに当たった。
するとレバーが戻り、流砂も止まる。
「そういうことだったんだね……さすがレンちゃん!」
「グランダリアのおかげで、少し目ざとくなったわね」
そう言って笑い合うメイとレンは、軽くハイタッチ。
三人が砂の通路に踏み込むと、後続は喜び勇んで先を行く。
「「「おおーっ!!」」」
そして歓喜の声を上げた。
「どうしたのかな?」
メイがワクワクしながら通路の先を見に行くと、部屋に四つの宝箱。
「こいつを待ってたんだ!」
「ついに見つけたなぁ!」
ひし形に置かれた宝箱。
先行パーティはさっそく、その手前のものを開きにかかる。
「あっ――」
突然巨大な口を開いた宝箱。
先行の二人組は、食われて消えた。
「……考えてみれば、これ見よがしな宝箱だもんな……」
「罠もあるし、今回はやめとこうか」
「ああ、やめておこう」
「「「…………」」」
「ダメだ! 我慢できない!」
「「だよな!」」
続く三人組が勢いよく開けた宝箱も、モンスター。
「「「うわあああああ!!」」」
全員見事に消えていった。
「楽しそうだねぇ」
「はい、本当に楽しそうです」
大げさな消え方をするパーティに、メイたちも宝箱を開けてみたくなってくる。
続くのは、単体で突入してきた盗賊と戦士の二人。
しかし、さすがに二連続の罠を目の当たりにして怖気づく。
「どっちだ……」
「……俺、左行くわ」
「マジか……健闘を祈るぜ」
「ああ、ありがとよ」
そう言って戦士は、思い切って左の宝箱を開いた。
「た、盾だああああーっ!」
「おおー!」
そこにあったのは紋章が刻まれた、古代の雰囲気を感じさせるライトシールド。
「すげえ! こんなところにあるんだから、すごいものに違いねえな!」
盗賊も歓声を上げる。そして。
「……さあ、そいつを寄こしてもらおうか」
一転、笑いながら短剣を手に取った。
「そうやすやすと、渡すと思うかぁ……?」
対して戦士も、ニヤリと笑い返しながら剣を抜く。
「さっきまでの仲間感はなんだったのよ」
「あはははは、本当に楽しそうだねえ」
「さすがはゴールドラッシュです」
「せっかくだし、私たちは残った四つ目の宝箱を開けてみる?」
背後で猛烈な戦いが始まる中、レンは最後の宝箱のもとへ。
「いいと思いますっ! ドキドキしちゃうよー!」
「楽しみですね」
「「…………」」
すると戦っていた二人も、剣を手にしたままメイたちの様子をチラチラ観察し始めた。
「貪欲ねぇ」
そんな二人に苦笑いを浮かべつつ、レンは宝箱を開く。
広がる強烈な輝き。
そしてメイの目は、それが見覚えのあるものだと認識した。
転移結晶が砕ける。
光が落ち着くと、たどり着いたのは石柱の並ぶ部屋だった。
紫の炎が、ゆらりと燃えあがる。
そこから出てきたのは、豪華な作りの棺。
「どうやら……本命の宝箱をひいたみたいね」
明らかなボスモンスターの登場に、レンは思わず笑みをこぼした。