軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1507.最強部族襲来

木々に埋め尽くされた、ネオヨークの海沿い。

集まっていた大量のプレイヤーが、唖然としながら海を見る。

「なんだ、あの船の数は……」

そこにはこれまで見たこともないような黒色の大型帆船が、海面を埋め尽くすほどの勢いでこちらに接近中だった。

「すごーい……」

「大変なことになりそうね」

ド派手な光景に、思わず目を奪われるメイとレン。

黒の船団はそのまま、ネオヨークの海岸線を埋め尽くしてしまった。

「黒船来航時の横浜は、こんな感じだったのでしょうか」

「な、なんだか怖いですね……」

ツバメとまもりもその異様な光景に、息を飲んでいる。

すっかりネオヨークの海岸沿いを埋め尽くしてしまった、黒の船団。

すると船の上に、褐色の男女が次々に現れた。

その数は多く、これにもまた集まったプレイヤーたちが驚きを見せる。

「誰か、出てきたよ」

すると最後に船団のど真ん中を割る形でやって来た、一際大きな船から現れた何者か。

片手を上げると、どこからともなく大型のグリフォンが到来。

滑空するグリフォンの脚をつかみ、そのままプレイヤーたちが立つ海岸前へとやって来る。

そのまま脚から手を放すと、柔軟さを見せる着地でメイたちの前に登場。

「「「お、おお……」」」

その迫力に、思わず感嘆の声が出た。

見事なスタイルをした褐色の女性は、全身を黄金で飾っている。

長く白い髪を原色の羽飾りで止め、まとうのは豪華な毛皮のマント。

最後に大型のグリフォンがその背後に降り、大きな翼を広げれば、まさに威風堂々といった様相となる。

「いるか? クシャナリアよ」

「――――ここに」

「「「っ!?」」」

褐色の女性が名を呼ぶと、華麗な空中回転でギャラリーを跳び越え、メイと戦った少女が登場。

片ヒザを突き頭を下げる。さらに。

「エリューシカ、ヤトフシュカ」

「「ここに」」

グラムやアルトリッテと戦った二人も立て続けに木々の影から登場し、褐色女性の前にヒザを突いた。

「先遣部隊としての、報告を聞かせよ」

「「「はっ!」」」

呼ばれた三人は目を見合わせて、一度うなずいた。

するとメイと戦った、クシャナリアと呼ばれた少女が応える。

「我ら七人で担当大陸を決め、十数箇所の都市に攻撃を仕掛けたところ、思ったよりも骨がある者がいくらカ」

「良きかな、それは重畳」

統率者らしき褐色の女性は、うれしそうに笑う。

「ですが力持つ者の数はごくわずか。戦力としては、微々たるものでしょウ」

「我らであれば、早々に蹂躙することが可能です」

「……まあ、予想通りじゃな」

褐色女性はそう言って、集まったプレイヤーたちの前に出る。

「聞くがよい、軟弱なる現生の民どもよ」

そして、強い笑みを浮かべてみせた。

「わらわはシャナ・ルドラジャ。貴様たち衆愚の民を隷属させる――――エキドラの女王である!」

「エキドラ……だって?」

「ひれ伏すが良い。わらわはこの世界全ての大陸を手中に収め、その植生から全てを塗り替えることにした」

当然と言わんばかりの態度での宣言を、披露する女王。

「……させるかよ、そんな真似」

つぶやいたのは、一人の準トップ級プレイヤー。

このネオヨークを長らく拠点にしていた、魔導士の一人だ。

「下がってくれ!」

突然あげた大きな声に、しかし誰もがその意図を理解し後ずさる。

「――――駆けろ! 【蒼天崩雷】!」

それはトッププレイヤーでも羨む、上位上級レベルの雷撃魔法。

天から降り注ぐ激しい雷に、誰もが慌てて防御態勢を取る。しかし。

猛烈な雷は女王シャナの頭上で弾けると、粒子になって消えていく。

「なっ!?」

「フフ、勇ましいのがおるようじゃの……ティガキマイラ」

シャナが右手を上げると、空中に生まれる魔法陣。

「エサの時間じゃ」

シャナがそう口にした瞬間、魔法陣から猛烈な勢いで黒く巨大な合成魔獣が飛び出してきた。

「っ!?」

圧倒的な速度で魔導士に喰らいつくと、そのまま二度ほど地面に叩きつけて天を向く。そして。

「うわああああああ――――っ!!」

盛大な爆発と共に吹き飛び、倒れ伏す。

魔導士はわずか一撃で、残りHPが1というところまで追い込まれた。さらに。

「「「っ!!」」」

巨大船団では、大量の兵士たちがこちらに向けて弓を構えていた。

その光景に走る、強烈な緊張感。

「わらわは全てを『緑の大地』に変える。気に入らぬというのなら、命を賭して抗うが良い。エキドラは戦の民、激しい戦いこそ望むところじゃ」

そう言って豪快に笑うと、褐色の女王シャナ・ルドラジャは踵を返した。

「……そうじゃ」

しかし数歩進んだところで、思い出したかのように足を止める。

「これは挨拶じゃ、受け取るがよい」

そう言って手を伸ばすと、付近の木々が反応し魔力をキラキラと放出し始める。

そしてシャナの右手のバングルに、強烈な輝きを灯したかと思うと――。

「「「っ!?」」」

放たれた閃光弾が、そのままネオヨークの高層塔に直撃。

「「「うおおおおおおおお――――っ!?」」」

一瞬で崩壊を迎えた塔は、付近の建物を巻き込みながら倒れ込んでいく。

盛大に巻き上がる砂煙。

その凄まじい威力に、誰もが息を飲む。

「貴様たちには7日間の猶予をやろう。わらわが次に来るまでに決めておくがよい。隷属か、それとも滅亡か」

再び舞い上がった大型グリフォンの脚をつかむと、シャナは船へと戻って行く。

「もちろん激しい反抗も楽しみにしておるぞ。さらばじゃ――――未来の可愛い下僕たちよ」

絶対の自信と、楽しそうな笑顔を残して。

動き出す巨大船団。

すると今度はネオヨークの各所に突き立った巨大な木々が、盛大な魔力粒子を放出。

海上に生み出された奇妙な闇の中に、大型船が消えて行く。

全ての船が闇に消えると、いつもの海が何事もなかったかのように広がった。

唖然とする、脅威の目撃者たち。

「この木々は地面から魔力を吸い上げたり、放たれた魔法を吸収する。そして集めた魔力を、向こうの思うままに変換するものなのね」

「有利な場を増やして戦い、さらに陣地を広げていくということですか」

「せ、世界を駆けた陣取り合戦になってしまいそうですね……」

「なんだか、すごいかも……っ!」

始まったとんでもない展開。

大きな敵の存在に、思わずドキドキしてしまうメイ。

しかし同時に、その尻尾はブンブンと揺れ出していた。