軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1498.酒場で乾杯!

その夜、異世界に生まれた新たな街は賑わっていた。

魔法石で作られた街灯が橙の明かりを照らせば、炎を思い出してにわかな興奮を覚える。

そんな中、メイたちは石造りの道を進む。

「夜の街も綺麗だねーっ」

「本当ですね」

「ここが異世界だなんて、信じられないくらいの完成度ね」

「と、遠く見える世界樹と、色味の違う月だけが異世界の証明ですね……っ」

四人は出来立ての街を進み、噴水の間へ。

「すごーい!」

「魔法石をイルミネーションとして使ってるのね!」

噴水の各所に置かれた光源が噴き出す水を輝かせれば、それだけで目を引くスポットの完成だ。

「こちらも、負けていませんよ」

「は、はひっ! とても良い雰囲気になっています!」

四人がやって来たのは、メイたちが任されていた冒険者酒場だ。

「おおーっ!」

噴水に負けじと深みのある緑の木材で飾った壁が、お洒落な雰囲気を醸し出す。

金の縁取りをされた窓は、さりげない高級感まで感じさせる。

橙色の照明に照らされた真鍮製のドアノブを回すと進むと、足音が木板の鳴らすものに変わった。

しっとりとした手触りの重厚な木製カウンターとテーブルが並び、定番のパブミラーにはメイやレンたちのペイント。

大きな棚には、まもりが集めていた星屑世界のドリンクのビンが大量に並んでいる。

そしてそこにはすでに、いくつものパーティがテーブルについていた。

「えへへ、お待たせいたしましたっ」

メイが笑うと、すぐに盛り上がり始める街づくり組。

「メイちゃん! 待ってたぞ!」

「やっぱ主役がいないとな!」

「そうそう! 真ん中の席あけてあるぜ!」

促されるまま、五月晴れの四人は中央のテーブル席へ。

するとさっそくハウジング勢が料理を並べ、ドリンクを用意。

メイたちには、シャンメリーが渡された。

この瞬間のために運営が用意していたとしか思えないアイテムに、思わず感嘆するレン。

「気を付けないとな、また魔物が化けてる可能性があるかもしれないぞ」

「ゴグ、マゲェェェェン」

「あははははっ!」

極・魔剣の冗談に、すぐさま応えるザッハと笑うゲンサン。

マーちゃんは、全員に飲み物がいきわたったのを確認する。

「それでは、新たな街の完成を祝して――――」

そこまで言ったところで、スッと身を引きながらメイに合図を送る。

「かんぱーい!」

「「「かんぱぁぁぁぁぁぁぁぁ――い!!」」」

こうして目標だった、街づくり勢による宴会が始まった。

「本当に、この場にたどり着けて良かったです……」

心からの安堵を告げる迷子に、笑う掲示板組。

「迷子ちゃんの場合、異世界での迷子は本物の『行方不明』になりかねないからな」

「恐ろしい話ぽよ……!」

「あっ、これメイちゃん喫茶の料理だ!」

「こっちはフェスのやつだね! 私この時行けなかったんだよなーっ!」

まもりが用意した冒険者酒場のメニューには、これまでメイたちが各所で食べて、出してきたものが多い。

「使徒長の真似ができる賞品は、大人気だったよな」

「【プチ・ダークフレア】だろ? あれ楽しいよなぁ!」

樹氷の魔女も、思い出して笑みを浮かべる。

掲示板組にとっては嬉しいメニューで、思わず会話も盛り上がる。

「あなたの献身が、街を守りました」

そんな中、掲示板組に声をかけてきたのはシオール。

「あ、あのくらい、当然のことですよ……」

そんなシオールの言葉に、マウント氏はビビりながらもクールな笑みを浮かべてみせる。

「でもこいつ、その後本当はHPがちょっとだけ残ってたのに死んだフリをしてましたよ!」

「……そう、なんですか?」

「あっ、あれは低HPのやつがウロウロすることで、邪魔にならないようにだッ!」

「実はカッコつけての死んだフリなんです! シオールさん、気合の一発をお願いします!」

そんな言葉に、メイスを手にそっと立ち上がるシオール。

スライムが自然と、消し飛んだマウント氏が調度品を壊さないように配備。

「いやいや待ってくれ! 街の破壊を止めた事に変わりはないだろ――――ッ!!」

マウント氏が防御を取りながら叫ぶと、シオールは掲げたメイスをしまって、くすくすと笑いながら席に着く。

「冗談ですっ」

「シオールって、けっこう侮れないよねぇ」

舌をペロッと出してみせたシオールに見惚れる掲示板組を見て、ニヤニヤと笑うローチェ。

その手には、まもりチョイスの料理たち。

どうやらローチェは、単純にまもりが世界各所で見つけてきた品々が、気に入ったようだ。

「……それにしても、本当によく似ていますね」

五月晴れのテーブルでは、ツバメがスワローを見つめながらつぶやいた。

「一度、私の装備をつけてみて欲しいです」

「ぜひなのですなっ!」

こうしてスワローの装備を、ツバメのものに換えてみる。

「スワローちゃん、カウンターからグラスを一つ持ってきてほしいのですな」

そしてなーにゃの指示通り、カウンターへ向かって歩き出すと――。

「おっ、アサシンちゃん。何が欲しいんだい?」

「…………」

案の定カウンターにいたハウジング勢が見間違えを起こして、白目をむくツバメ。

「へ、下手をすれば、私たちでも間違えてしまいそうです……」

これにはまもりも、息を飲む。

「それにしても、久しぶりに見るものまで色々と料理を選んできたわね」

「は、はひっ、せっかくなので持ち出せるものは色々と集めました」

まもりのこだわりが詰まったメニューに、感嘆するレン。

見ればその肩では、パラス・アテネがウトウト。

「MPが切れても、肩に戻ってきて寝ちゃうみたいよ」

「そうなんだぁ」

そんなフクロウの姿を、いーちゃんが興味深そうにのぞいている。

りーちゃんはテーブルの下から背伸びをして、料理に興味津々のようだ。

「とても良いですね、癒される光景です」

「はひっ」

メイたちがテーブルで楽しんでいると、マーちゃんがやってきて声をあげる。

「みなさんっ!」

街の完成がよほどうれしかったのだろう、すっかり浮かれたマーちゃんは手に持ったビンを掲げて声をあげる。

「あらためて、新しい街の発展と栄光を願って――」

「かんぱーい!」

「「「かんぱーい!!」」」

マーちゃんとメイの、見事な連携。

盛り上がる打ち上げの夜は続く。

こうして一つの街を共に作り出した者たちは、終わらない宴を思う存分楽しんだのだった。