軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1492.街の完成です!

「あとは結界用の聖十字が作成されれば、それを教会の十字架として使用。魔力の充填と発生を待つだけです」

いよいよ街づくりも最終段階。

あとはハウジングの職人が持ち込む聖十字を待って、結界を発動させるだけだ。

「すごいねぇ……」

メイはあらためて、陽の光で七色の輝きを見せる噴水広場から街を見回してみる。

そこには石積みの建物や街路が綺麗な、真新しい街並みがある。

「最初は何もない草地だったのに、これをわたしたちが作ったんだね……!」

「はい、間違いありません」

「メイさん、これをもらってください」

「わあ! すごーいっ!」

ハウジング勢が手渡したのは、円形にした金属板に彫金を施したもの。

メイたち四人が横に並んだシルエットに、『SATSUKI-BARE』の文字がくっついた見事な看板だ。

「それじゃあメイ、最後にこの看板をお願い」

「りょうかいしましたっ!」

メイはハウジング勢謹製の看板を、厚い木製のドアにリースの様に設置。

「「「完成だ――っ!!」」」

メイたちの冒険者酒場の完成で、いよいよ出来上がった街。

思わず感動してしまう光景だ。

教会や酒場、様々な商店を中心にして作られた街は、ハウジング勢の見事な働きによって、『向こう』の世界にも引けを取っていない。

とりあえずの駐屯地などではなく、住み心地も良さそうだ。

「掲示板組詰め所も、いい感じぽよ!」

「これなら、異世界に来た時も気楽に使えていいですね」

「迷子ちゃんの場合は『迷い込んだ時』もだろ?」

迷子ちゃんが「お世話になります」と頭を下げれば、自然と笑いが起きる。

「ふふふ、闇教会もいい感じだ」

そしてその背後では、樹氷の魔女たちがそっと作った『外観は民家だけど地下に潜れば妖しい教会』という、とんでもない建物が完成。

「これからはちょくちょく、異世界に遊びに来てもいいかもねっ」

「こちらで得た素材が、スワローちゃんに新たな力を与えるかもしれませんな!」

「ドール用の『ハンガー』もある、雰囲気の良い拠点が作れたのは良かったね」

シオール達も、どこかカフェの雰囲気を思わせる民家を作り、そこに錬金術師用の工房要素も付属。

良い拠点ができたようだ。

「か、かわいい……」

「いいでしょーっ?」

「ハウジング勢の皆さん、良いものを用意してくれたから」

カフェ風の外観をした作りに、思わずメイが衝撃を受ける。

シオールとローチェのお姉さん組が選んだ資材や家具は、まさにメイが憧れる『素敵なお姉さん』を地でいく形だ。

「なんか黒い幕みたいなものを持ち込んでたけど、変な物を作ったりしてないわよね……?」

一方レンは、闇教会の気配を感じて目を光らせる。

「……何度見ても、この瞬間はいいですね」

これにはマーちゃんも、うれしそうに周りを見回す。

皆が楽しそうに新たな街について語る光景は、ハウジングならではの楽しさだ。

「何より、思い入れが違ってきます」

「そうよね」

これにはレンたちも、大きくうなずく。

不足した資材を取りに行き、それを皆で守る。

そして魔物から橋作りを守ったことで、資材が運べるようになった。

それからたくさんの素材を作り、選び、設置していった。

街作りを内側から狙う魔物を、見抜いての打倒。

皆で協力することで生まれた街がマップに残るというのは、やはり大きな達成感がある。

「それにしても、冒険者酒場はいい場所をもらったわね」

メイたちの作った酒場は、石造りの店の前面を木材で飾ったアイリッシュパブ風。

オシャレな雰囲気もあるが、それでもどこか入りやすい大衆向け感が心地よい。

この広さなら、いくつものパーティが楽しく飲食しながら作戦会議ができるだろう。

中に入ると出迎えてくれるのは、以前メイたちが装備していた初期装備の剣や杖。

「と、とても良い場所になりましたね」

「そうだねぇ……ふあっ!?」

メイが突然、店内のパブミラーを見て驚嘆の声をあげた。

なんとトラ柄の毛皮を着た野性味あふれる姿のメイが、木製のジョッキを掲げた絵が描かれている。

まさかの事態に、しばらく看板を見つめたメイは――。

「別の人かな……?」

『自分ではない可能性』を持ち出すことで、強引に自分をごまかす。

その無理やりな目のそらし方に、思わず笑ってしまうレンたち。

「やはり最後には、これですね」

そう言ってツバメはわざわざバイセルまで買い付けに行ってきたヒヨコの置物を、そっとカウンターの端に置いた。

「これで、完成です……!」

一人満足そうにうなずくツバメに、まもりが笑う。

この冒険者酒場は間違いなく、プレイヤーたちで賑わうだろう。

「街作りには、みんなで苦労して何かを作る楽しさがあったわね」

表に出てきたレンがつぶやく、ツバメがうなずく。

「はい。たくさんの問題を乗り越えて、力を合わせて街を作る。まさかこんな経験ができるとは思いませんでした」

「すっごく楽しかったね!」

「は、はひっ」

あらためて四人、異世界に生まれた新たな街を眺め見る。

すると自然とシオールたち、ハウジングや掲示板組もそれに続いた。

「おーい! 準備ができたぞー!」

やって来たのは、聖十字の作成をしていたハウジングプレイヤー。

「これはまた、効果がありそうですね」

白金のような輝きを見せる大きな十字架を担いで、教会へ持って行く。

そして三角屋根の天辺に設置すると、金色の輝きが灯り出した。

「これで後は、この地を流れる魔力とリンクするのを待つだけです。これで新たな大地に踏み出すことができます……!」

そう言ってマーちゃんが、安堵の息をついたところで――。

「っ!」

メイが空を見上げた。

「……この瞬間を、狙っていたのかしら」

地面から突然吹き上がった大量の液が、丸まり雫となる。

そのまま落下してきた謎の液体は、街から二百メートルほど先のところに落ちると、一気にその姿を変えていく。

「おそらく、この街を撃ちに来たんだわ」

レンの言葉に、思わず構える街づくり組の面々。

そしてそんな予想は、見事に正解してしまうのだった。