軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1489.増えていく耐性!

「お、落ち着け俺の右腕ぇぇぇぇ……っ!」

「身体が、身体が燃えるように熱い……っ!

「逃げろ……俺が俺であるうちにィィィィィィィ――――ッ!!」

『化物と化していく自分』を見事に演じて盛り上げるのは、もちろん掲示板組。

身体が変化していくという恐ろしい状況下でも、全力で楽しむことを忘れない。

「早く倒さないと、彼らが不死の魔物になって襲い掛かってくるわね」

猶予はそう長くない。

それにも関わらず、敵には『一度受けた攻撃種類に耐性が付く』というやっかいな特性アリ。

すでに剣も斧も拳打も短剣も、火も氷も雷も聖も軽微なダメージにしかならない。

「っ!」

その狙いは、再びハウジング組。

速い直線移動で一気に、トカゲ悪魔が飛び込んで来た。

「「「わああああ!」」」

輝く右爪で払う攻撃が、防御態勢のハウジング組のHPを削る。

さらに左爪で続ければ、体勢を崩されてしまう。

「【投擲】!」

その瞬間を狙ったツバメの【風ブレード】の攻撃は、すでに『耐性』を付与済み。

足止めをすることもできない。

魔物が輝く両爪を『×』型に振り下ろすと、飛来する斬撃が極・魔剣に直撃。

「ぐああああっ!」

さらに魔物は追撃に向かい、大きく引いた爪での刺突を狙う。

「【かばう】【地壁の盾】!」

ここでまもりの、見事な防御が決まる。

「【ヘパイストスの走火】!」

「【雷光の矢】!」

即座にハウジング組が攻撃に入るも、やはり耐性が付いてしまった攻撃では、ダメージはもちろんのけ反りすら極々わずか。

すぐに体勢を立て直した魔物は再び、極・魔剣を狙って爪を輝かせた。

地面を擦りながらの高速接近から放つのは、豪快な振り上げの一撃だ。

「【かばう】【地壁の盾】っ!」

だが、まもりがこれを許さない。

再びの完璧な防御で、極・魔剣を守り抜いてみせた。

しかし魔物のこのスキルは、遅れて魔力を爆発させる技。

爪の輝きが猛烈な勢いで増し、付近のプレイヤーを巻き込んだ一撃に変わる。

「【稲妻】!」

ここでやむなくツバメが、高速の斬り抜けでしっかりと敵の体勢を崩して強制停止。

これで刀での攻撃にも、耐性が発生してしまった。

「まもり!」

「はいっ」

二人の見事な防御連携が決まったところで、まもりはくるりと横に退く形で回転。

「【魔力剣】!」

【低空高速飛行】で飛んできたレンが、魔力の刃を振り下ろす。

これを後方に跳び下がってかわした魔物に対し、レンはそのまま飛行で追い込み、振り払いを叩き込む。

そして見事な一撃が決まったところで、そのまま横に避ける。

するとさらにレンの真後ろから駆けてきたメイが、大きく息を吸い込んだ。

「がおおおおおお――――っ!」

武器が使えなくとも、補助で活きるメイ。

なかなかないレンとメイの前衛的連携が、見事に炸裂した。さらに。

「【ゴリラアーム】……っ! それーっ!」

そのまま敵の腕を取り、一本背負いの要領で地面に叩きつければ、敵が高く跳ね上がる。

「【チャリオット】!」

そこに戻って来たのは、武器をランスに持ち替えたまもり。

「【エクスプロード・ランス】!」

突き上げた先端が突き刺さり、巻き起こる盛大な爆発がトカゲ悪魔を高く吹き飛ばした。

「ないすーっ!」

「いい連携だったわね」

「よいつながりでした」

「はひっ!」

三人は軽くハイタッチしてツバメに笑いかけるも、その視線をすぐに敵へ戻す。

魔力そのものによる攻撃と、叩きつけによる衝突ダメージ。

さらに『ランス』による攻撃を受けてもまだ、敵は3割近いHPを残しているからだ。

まだ未使用の攻撃種で、火力の計算できるものはもう少ない。

できれば、残された種類の一撃を最高の形で叩き込みたいところだ。

「先行します! 隙を作ればまだ、打てる手はあります!」

ここでツバメが動き出す。

「【加速】【リブースト】【スライディング】【反転】【電光石火】!」

短剣での攻撃は、すでに効果が薄い状態。

「【回転跳躍】【四連剣舞】!」

それでも見事な高速移動で敵を翻弄。

その姿を見たレンが、動き出す。

「……いいわ、ここで使わせてもらうわ! この隙を継続させる!」

メイに合図を一つすると、レンは手にした杖を地面に強く突き刺した。

「【絆のルーン】発動っ!」

生まれるまばゆい輝き。

風が吹き抜ける風と共に現れたのは、魔法学院の制服を着た一人の少女。

「青バラさんですか……っ!」

ハウジング組は、思わず息を飲む。

レンと隣り合って並ぶリリーネ・グレイシアは、たたずまいからしてもう違う。

巨大なマップである魔法学院の首席と、光と闇を超えし者の並びは迫力がケタ違いだ。

「わたくしたちが共に戦う相手にしては、小物ではありません?」

青バラの変わらぬ態度に、笑うレン。

魔法使いとして圧倒的な力を持つ二人が、杖を構える。

「【エーテルバレット】!」

「【連続魔法】【ファイアボルト】!」

「【エーテルバレット】【エーテルバレット】【エーテルバレット】【エーテルバレット】!」

「【連続魔法】【ファイアボルト】!」

「【マジックエコー】【エーテルキャノン】!」

「【連続魔法】【フレアアロー】!」

「【エーテルストライク】!」

放たれる魔法は、まさに怒涛。

「……だ、だがっ!」

「その通りよ! 私たちの攻撃にはもう耐性が付いてしまっている属性……でもっ!」

「【連続魔法】【ファイアボルト】!」

レンは止まることなく攻撃を続ける。

「ダメージにはならない分、一切の身動きも許さないわ!!」

その勢いは、とにかく圧倒的だ。

レンが撃ち、その隙間を青バラが埋める。

すると青バラが撃ち終わる前に、レンの次撃が始まる。

これでは延々レンと青バラのターンが続いてしまい、トカゲ悪魔は反撃どころか回避すらできない。

「本当だ……敵がまるで動けないどころか下がっていってる……っ!」

青バラとレンの連射は、敵にまるで身動きを取らせない一方的な状態だ。

銃弾の雨を前にしたかのような魔法の連射に、トカゲ悪魔はただ必死に身を守ることしかできない。

「今よ、メイっ!」

「りょうかいですっ!」

この隙を突くのは、もちろんメイだ。

「大きくなーれ! 危険植物ちゃん!」

今もまだ使われていない種類の攻撃の一つである『植物』

巨大な雑食の植物が一機に伸び上がると、そのまま魔物を容赦なく捕食。

噛み、砕き、すり潰してから容赦なく吐き出した。

「ザッハのカタキ……最後は俺がいくっ!」

残りHPはすでにごくわずか。

極・魔剣が、最後の一撃を決めようと走り出す。

魔物の目前に駆け込むと、自作の武器を取り出した。しかし。

起き上がった魔物は最速で、極・魔剣を狙って爪による高火力攻撃の体勢に入った。

そしてそのまま一撃必殺の刺突を放とうとした、その時。

「【加速】【リブースト】【アクアエッジ】【電光石火】」

ここまで未使用だった水属性の斬り抜けで、ツバメが敵の攻撃を止めつつ隙を演出。

「アサシンちゃん、ありがとうっ!」

見事なアシストに感謝しつつ、取り出すのは極・魔剣の必殺スキル。

「消えろ……! 【闇魔光剣】っ!」

その手に持った銀の柄から伸びるのは、闇色の魔力を秘めた剣。

「こいつで、終わりだぁぁぁぁ――――っ!!」

闇属性の一撃が決まり、魔物が跳ね転がる。

「やったわ!」

そのまま粒子になって消えていく魔物。

すると、さっそく変化が起き始めた。

「おお、魔物化が止まったぞ!」

「浸食されてた身体が、元に戻っていく……!」

「助かった……のか?」

魔物化の元凶だった敵を倒したことで、身体が回復を開始。

どうやら勝利することで、不死の魔物化は解けるようだ。

「次はもっと、手応えのある相手をお願いします」

「ふふ、そうするわ」

青バラはレンにそう言うと、優雅に髪を払って消えていった。

「おい! ザッハらしき魔物が、粒子になって消えたみたいだぞ!」

駆けつけてきたのは、HPの回復を止めるために残してきた部隊の一員。

「そうか……これで今度こそ一安心か」

次々に新種の攻撃を当てなくては、打倒できないという変わり種の敵。

潜む敵の正体に気付いていなければ、街作り組はどこまで浸食されていたのか。

考えるだけでも恐ろしい戦いの終焉に、思わず皆で安堵の息をついたのだった。