軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1483.打倒スライム!

「わあ! 大きなスライムだねーっ!」

いよいよ体育館並みの大きさになった凝縮スライムに、メイが尻尾をブンブンさせながらはしゃぐ。

「どういう仕組みなのでしょうか」

「ダメージに合わせて大きくなるんじゃない?」

「ふ、踏まれただけで大惨事ですね……っ」

まもりがそう言葉にした瞬間、まさにスライムが【大跳躍】を披露。

「「「っ!?」」」

地面に透明感のある影が生まれる。

こうなれば後はもう、皆まとめて押しつぶすだけだ。

「逃げろォォォォ――――ッ!!」

全員が大慌てで、歪んだ透明な影の範囲から抜け出そうと走り出す。

「メイ、お願いできる!?」

「おまかせくださいっ! 【バンビステップ】!」

レンはメイに一言残すと、すぐさま【低空高速飛行】で逃走を開始。

ツバメは慌てるまもりに、一番逃走距離が短く済む方向を伝えるように走り出した。

スライムの狙いは、ハウジング組。

そのため円形のスライムの『中心』がハウジング組の真上に来ることになり、逃げるための距離が一番長くなる。

そして足の遅いハウジング組は、【スライム落とし】の範囲からの逃走は難しい。

「メイちゃんが来てくれたぞ!」

「助かった!」

やって来たメイに、防御に生き死にを駆けるところだったハウジング勢が歓喜の声をあげる。

「【装備変更】っ!」

「「「……えっ?」」」

しかしその手に持った【ダイナボーン】を見て、頬を引きつらせた。

「いきますっ! 【ダイナブラスト】――――っ!!」

「「「うわああああああ――――っ!?」」」

豪快に振り回された大きな骨の一撃は、数名のハウジング勢をまとめて吹き飛ばす。

そして砂煙をあげながら地面を転がって、そのまま【スライム落とし】の範囲を脱出。

「次はわたしっ! 【装備変更】【裸足の女神】っ!」

メイは頭装備を【鹿角】に替え、全力疾走。

空を駆ける雷光のように、音が遅れるほどの速度で走り抜けると、そのまま豪快に滑り込み。

「それええええ――――っ!!」

【スライム落とし】の範囲を、ギリギリのところで切り抜けた。

直後、激しい地面の揺れと共にスライムが地面に着弾。

風が吹き荒れれば、皆その場に転がる。

「攻撃範囲が、広すぎるだろ――っ!!」

「あははははははっ!」

思わず笑いがこぼれるメイ。

揺れと風。逃げ延びた直後にも体勢を崩す二つの効果を残す一撃は、反撃の隙を消してくる。

「まだまだ来るぞ!」

さらにここからスライムは、高速回転を開始。

【ひき逃げバスター】で迫り来る。

「「「うおおおお――――っ!?」」」

「「きゃあっ!?」」

掲示板組を弾き飛ばし、シオールとローチェを転がしてさらに方向転換。

次の狙いがなーにゃに向けられたところで、まもりが動き出す。

「【かばう】【不動】【コンティニューガード】【地壁の盾】!」

盾を構えると、すぐさまなーにゃがその背に隠れる。

すると盾にぶつかったスライムは、小さく跳ねてまもりの後方へ。

「ちょっとー! 今度はなにーっ!?」

通り過ぎたことで一安心かと思ったローチェが、困惑の声をあげた。

見れば大型のスライムが弾けて大量の小型スライムに変わり、広い範囲に広がった。

そして、小さく震え始めた。

「完全に、包囲されてるわね」

「だとすれば、始まる攻撃は一か所に集まりながらの激突、炸裂ですな!」

二人の予想は正解だ。

【スライム包囲弾】は、一気にスライムたちが高速で一か所に収束。

その際にぶつかれば、弾かれて転倒。

直後、中央に集まったスライムが爆発するという恐ろしい攻撃だ。

「み、皆さんっ、こちらへっ!」

これに反応したのはまもり。

「【インストール・シールド】【不動】【錬金の盾】【コンティニューガード】【地壁の盾】っ!」

大型化した盾をその場に設置して、不動の壁とする。

「とにかく収束地との間に盾を挟んで!」

収束していくスライムにぶつかり、次々に転ぶプレイヤーたち。

それでも今は必死に『壁』の裏目がけて駆ける。

そしてどうにか全員が、その裏に逃げ込んだところで――。

「「「っ!!」」」

盛大な爆発と共に、放出される無数のスライム弾丸。

壁と化した盾から生まれる爆発的な衝突音が、その威力の大きさを物語る。

「あぶなかった……」

安堵の息をつくハウジング勢。

「でもこの位置からだと近接組の早い反撃は難しいし、スライムが元に戻った瞬間をうまく狙えるかしら」

杖を手に、早い反撃を狙おうとするレン。

爆発が終わり、予想通り散り散りになったスライムたちが元の姿に戻り出した瞬間を狙って杖を突き出した。

「【超高速魔法】【誘導弾】【ファイアボルト】!」

最速の一撃は見事に直撃。

「【サンダーバード】!」

「【風刃】!」

「【隼狩りの矢】!」

「思ったより、隙ができないわね……っ!」

続けざまの攻撃で確かにダメージを与えるも、続けて前衛組が攻撃を続けられるほどにはならない。

「メイ!?」

それにも関わらず、メイは走り出す。

そして案の定、巨大スライムは狙いをメイにつけて【ひき逃げバスター】で爆走。

このまま行けば、さすがにスライムに轢かれてしまうことになるが――。

クエスト中の敵でないからこそ、できる戦法がある。

「メイさんと遊ぶスライムは――――一匹でいいぽよ」

メイが見つけていたのは、側方から駆けてくるスライムの姿。

「【巨大化Ⅱ】【砲弾跳躍】ぽよ――――っ!」

家一軒を崩壊させてしまうほどの大きさになったスライムが、真横から激突。

「ないすーっ!」

掲示板スライムの一撃で、弾かれ転がる凝縮スライム。

「【スリップ・フット】! いきます――っ!」

そこに駆け込んできたのは、ガントレットを掲げたメイド少女。

「来てっ! 私のゴーレム!」

すると頭上二十メートルのところに、魔法陣が現れた。

直後、陣を突き破るようにして落下してきた金属製の巨大ゴーレムが、拳でスライムに叩きつけた。

怪獣決戦のようなスケールの大きさに、唖然とするハウジング組。しかし。

「「「お、おいおいおいおい――――っ!?」」」

あがるのは悲鳴。

「嘘だろ!? まだデカくなるのかよ!?」

「規模が……怪獣映画だ!」

いよいよ国際大会の競技場並みの大きさになったスライムに、皆仲良く驚愕の声をあげる。

そんな中、駆けていくメイに気づいたのはローチェ。

「でもその大きさなら、もう回避なんてできないよっ! 【神霊祖竜】!」

地面から巨大な頭部を突き出してきたのは、海竜並みの体躯を誇る霊竜。

大きな口蓋を開き、並ぶ牙がスライムに喰らいついた。

「ありがとうございますーっ! 【重ね着】【蛮族流】!」

たどり着いた【狐耳】メイは、手にした二つの武器をスライムに叩き込む。

「【大切断】! からの【ソードバッシュ】エクスプロードだああああ――――っ!!」

そして見事、HPゲージを消失させた。

「やったー! ……あれ?」

しかし、スライムの変化は止まらない。

まるで競技場の屋根が、そのままふくらんでいくかのように巨大化。

「ちょっと待って……もしかしてこれ、爆発しない?」

「「「に、逃げろおおおおおおおお――――っ!!」」」

レンがそんな予想を口にした瞬間、全員が全力疾走で走り出す。

だが、間に合わない。

超巨大スライムは、そのまま爆発した。

「「「うわあああああああああ――――っ!!」」」

巻き起こった異常な勢いの暴風が、駆け抜ける。

そこに容赦などはなく、まもりやメイですら回避はもちろん防御対応もできない。

全員が数十メートルに渡って跳ね転がって、倒れ伏した。

「…………異世界の魔物って、本当にとんでもないのばっかりね」

よろよろと、杖を立てて立ち上がるレン。

全員が盛大に地を転がったものの、ダメージは大してない。

どうやら、そういう攻撃だったようだ。

「と、とにかくこれで、アイテムは取り戻しましたね」

風で髪がめちゃくちゃになる演出までついているのか、ツバメもバサバサ状態だ。

「あははははっ!」

それでも楽しそうなメイが笑い出すと、一気にその空気が街づくり組にも広がる。

こうして、どうにか無事にアイテムを回収したメイたち。

幸い再取得に手間のかかる物などはなく、若干の立て直し時間が必要になる程度で済んだ。

「あともう少しで、街も完成します! このまま頑張りましょう!」

「「「おおおおおお――っ!」」」

マーちゃんの声に、再び盛り上がる。

「メイちゃんが早く気づいてくれて助かったな!」

「メイちゃん、ありがとう!」

「いえいえー!」

「さすがメイちゃん、野生の力だな!」

「ピピーッ! それは違いますーっ!」

そう言って警告を出すメイ。

「でも、これでまた街づくりの続きができるね……っ!」

うれしそうに笑う。

どうやらメイもすっかり、自分たちで作っていく街の楽しさに夢中になっているようだ。