軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1455.報酬タイムです!

「おおーっ! アクション映画のパンフレットみたいだね!」

快晴のラフテリア、青い海が続く堤防の上。

広報誌を見ながらメイが、楽しそうな声をあげた。

「飛沫をあげる溶岩から逃げ出す姿は、どこか楽しげでもあります」

大慌ての表情を浮かべてカメラに向かって走ってくるような構図は、まさに大作娯楽映画の様相。

しれっとこちら側に混ざっているスライムの逃げっぷりも、良い雰囲気を出している。

「い、いつもと少し表紙の雰囲気も違いますね……っ」

今回は『地下世界に潜む謎・地底人との邂逅!?』といった煽り文句が、オカルト雑誌風だ。

そこにはメイたちの見つけたクエストの概要などが、説明されている。

「まもりが溶岩攻撃を止めた時に『BLTサンド』を食べてたのを切り取った写真、面白いわね」

そこには『戦闘中でも、食べたい』の文字。

弾ける溶岩飛沫の中で、片手に盾、片手にサンドイッチのまもりの構図はとても面白い。

「ちょ、ちょっと恥ずかしいです……」

さらに今回は、アイアスラントの温泉特集なんかも組まれているようだ。

少女の作ったオーロラの見られる温泉は、数ページの特集で載せられている。

「今はブリテンのメイド喫茶から、アイアスラントの温泉ツアーみたいな流れが大人気みたいよ」

「楽しそうっ!」

召喚獣などを見ながら、アルトリッテとしたアフタヌーンティーは雰囲気も最高。

メイたちのたどったルートは早くも人気で、喫茶店の店員たちも温泉作りの少女も、かなり忙しそうにしているようだ。

「そうそう、あの地底人クエストを見つけてクリアすると、トレジャーハンター協会から連絡があるのね」

「はい、受け取りました」

クエスト後、四人のもとには招待が届いていた。

「それじゃあ、アイアスラントに行ってみましょうか」

「りょうかいですっ!」

堤防を降りた四人はポータルを乗り継いで、アイアスラントへと向かう。

大噴火を免れた火山の島は、今日も変わらず温泉地として活動中。

メイたちの効果か、先日よりも明らかにプレイヤーが多い。

四人は雪の丘陵を見ながらバザールブンガ火山へと進み、そのまま麓にあるトレジャーハンター協会のログハウスへ。

そこではすでに、溶岩クエストの楽しさを知ったプレイヤーたちが賑わっていた。

メイたちが建物の中に入ると、さっそく一人の協会員がやって来て説明を開始する。

「先日は危険地底人の発見と打倒、ありがとうございました。後に我々が探査を進めた結果、確かにこの地を大噴火で焼き尽くそうとしていたダグラン族の痕跡と存在を、確認することができました。さらにダグラン族と袂を分かったアング族とのコミュニケーションにも成功しました」

どうやら今後はトレジャーハンター協会とアング族という協力者がいる中で、怪しい動きが見つかればという展開になりそうだ。

「しかし噴火を操る魔法石はまだ、他にもあるかもしれないとのこと。我々はこれからもアング族と協力して、新たな火種がないか監視していこうということになったのです」

「きょ、協力関係ができたんですね」

「……アリにも注意が必要よ」

やはり女王アリが何かしらで動いている可能性の方を考えてしまうレンに、ツバメもうなずく。

「今回は皆さんのおかげでアイアスラントや世界の危機を防ぐことができました。そこでトレジャーハンター協会を代表して、皆さんにお礼をさせていただけばと考えたのです」

そう言うと、ログハウス内に置かれていた四つの木箱を各々の前に置いた。

「やったー!」

うれしい報酬に、メイがさっそく木箱を空けてみる。

【蛮族流】:種類の違う武器二本を振り回し、スキルを左右二連続で放つことができる。

「……ば、ばんぞく」

「これなら手に入れたばかりの斧も、役に立ちそうじゃない……!」

「左右違う武器での二連続攻撃なんて、初めて見ますね……っ!」

「な、何より普通に強力だと思いますっ!」

複雑そうな顔をするメイを皆で必死に盛り上げてから、ツバメが箱を開く。

【極一閃】:超高速で斬り抜けた後、いくつもの斬撃痕が花の様に残り弾ける刀スキル。

「初撃を決めた後、遅れて斬撃が範囲にたくさん広がる感じかしら。大型の敵に効果的そうね」

「ざ、斬撃を狙った範囲に置いておくという戦い方もできそうです」

火力も高そうな新スキルに、ふくらむ想像。

次はまもりが木箱を開く。

【インストール・シールド】:手持ちの盾にスキルを掛けた状態で地面などに設置、一つの壁として使用可能になる。

「まもりが【錬金の盾】で大型化した盾に、このスキルを使って防御効果を乗せれば……いよいよ多人数をまとめて守れるかもしれないわね」

「まもりさんのもとに駆け込んで生き残る展開が、多くなりそうです」

「今後とも、何卒よろしくお願いしますっ!」

「は、はひっ!」

スキルを発動した盾を置いておけるというのは、ちょっと変わった使い方ができそうだ。

早くもまもりの新たな活躍が期待される中、最後はレンが箱を開く。

【絆のルーン】:好感度の高い人物NPCや魔物などを、一撃召喚の形で呼び寄せることができる。

「来た!」

レンは思わず立ち上がる。

「もう一度会って、ルーンを刻んでおくことがポイントになるのね……! いいわ、必ず会いに行く!」

そして早くもその対象を決めて、気合を入れた。

これで火山に隠された大型クエストの、報酬確認は終了だ。

「早い危機の発見、ありがとうございました!」

協会員に見送られてログハウスを出たメイたちは、街に戻る。

そして人気のコバルトラグーンを眺めていると――。

「皆さん、火山のクエストお疲れさまでした」

「マーちゃん!」

声をかけてきたのは、ヤマトのイベントからの付き合いになる商人のマーちゃん。

メイたちはドロップのアイテム売買を、彼女に任せている。

意外なアイテムが武器作りの素材として必要になったり、ハウジングで求められたりするため、その辺りの目利きは大事になってくる。

またメイたちはめずらしい魔物と戦ったりすることも多いため、意外なアイテムが見つかることもある。

そのため五月晴れの行う売買は、意外と商人以外からも注目が高いのだ。

「これは偶然ですね! 私はメイさんたちから受け取ったドロップの中に良いハウジング材料があったので、一緒に使える素材を買い付けに来たところです」

そう言ってマーちゃんは、少し考えるようにした。そして。

「……この後は何か、目指しているクエストなんかはあるんですか?」

「とくにありませんっ」

「そうね、適当にアイアスラントを見たりするくらいだけど……」

「それなら一度、異世界の方を見に来てもらえませんか。なかなか……大変な世界なんです」

「異世界ですか……?」

それは『この世界』の危機を救うのと同時につながった、ここではない世界のこと。

マーちゃんはやや渋い顔をしながら、そんな提案を持ち出してきた。