軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1302.目指す先

謎の光に続き、聞こえてきた発信音。

メイたちは、考古学者を連れて飛行艇を飛ばす。

「見えました!」

「さあ、何が待っているのかしら!」

レンも思わず飛行艇の先頭に立つほど、ワクワクしてしまう展開。

「モナココのシナリオをクリアした後、さらに飛行艇のクエストを終えることで動き出す話だとしたら……っ」

追いかけてたどり着いたのは、カジノの街モナココ。

ゼティアとは違う流れを持つ文明として、長い時を過ごしてきた。

「わあ、今夜もきれいだねぇ」

「は、はひっ」

モナココは今夜も、魔法珠ネオンにまばゆく照らされている。

ツバメは船が並ぶモナココ港の一角にセフィロト丸を置き、一直線にカジノの最上階へ。

オーナー室のドアを、ここでもしっかりレンに任せて突入。

そこには予想通り、王女の姿がった。

「モナココの英雄たちよ、お久しぶりですね。今夜はいかがさなれましたか?」

「実は、この国の古い言葉や歴史を知りたいの」

「辞典などがあれば、ぜひお見せいただけませんでしょうか」

「貴方は?」

「私はしがない考古学者。メイさんたちにはお世話になっています」

「なるほど、そういうことでしたらこちらへ」

そう言って王女は、メイたちを連れて地下遺跡の一室へ。

すぐに、何冊もの本を抱えて持ってきた。

「実はモナココがまだルアリアだった頃のことを調べていたグリンデルが、資料や文献、メモがたくさん残していたんです。そこには辞書のような物も作られていました」

「これは素晴らしい……っ!」

さっそく考古学者が、よろこび勇んで暗号の解読を始める。

「しかしまた、どうしてルアリアの言葉について調べることになったのですか?」

たずねる王女に、考古学者はメモを一枚手に取り、デスクの上を滑らせた。

そこには、メイたちが見てきた光の紋様。

「この紋様は……」

王女は手に取ったメモを、ジッと見つめる。

「分かったぞ!」

すると考古学者が突然立ち上がり、こちらに振り返った。

「この信号は――――警報だ!」

「警報? どういう危険があるの?」

突然出てきた不穏な言葉に、思わずレンが喉を鳴らす。

「そこまではまだ分からない。だがこの暗号は退避や準備を促すものだ」

「その予想はおそらく、間違いありません」

まるで補足するかのように続いたのは王女。

「この紋様、どこかで見たことがあると思っていたのですが……おそらく『ターゲット』」

「たーげっと?」

首と尻尾を傾げるメイ。

すると王女は、静かに語り出した。

「私はグリンデルの件の後、忘れられていた自国の歴史を調べることにしました」

一冊のノートに視線を向けつつ、語る。

「かつて月には四つの国があり、そのうちの二つが争いを始めました。『重力』の扱いに長けていた私たちの先祖、ルアリアの民はその技術を狙われることになり、月からこの地に逃げてきたのです」

「おおーっ、すごい話だねぇ」

「ルアリアの民は無事にこの地へ逃げてきましたが、敵国の放った化物も付いてきてしまいました」

「月から追ってきたのですか? それはすごいですね……」

「敵の狙いは、『飛行珠』」

「飛行珠!? 飛行珠はルアリアの発明だったのね!」

「だとすると飛行の秘密は、重力操作の一環だったのでしょうか」

思わず互いを見合い、感心するレンとツバメ。

「この地まで追ってきて猛威を振るった巨大な竜。その狙いに気づいた先祖は飛行珠をオトリに使って、竜と共にまとめて封じたそうです」

「……巨大な竜というのは、ブライトで戦ったあの魔物で間違いなさそうね」

「そしてルアリアの民は、封印の地から離れたモナココに住むことにしました。しかし宙を追ってくるほどの執念を目の当たりにしたことで、何かで巨竜が目覚めたり、新たな追手の魔物が来てしまう可能性を憂慮し始めた。そして何か起きても対応できるように、準備をすることにしたのです」

「それが『魔導甲冑』や『月光砲』だったわけね」

「はい。しかしその後は静かだったため、ルアリアの民はそれらの兵器を残したまま徐々に忘れていった。そして今のモナココになったわけです」

「それから長い時間が過ぎて、ブライト付近で飛行珠を積んだ船が見つかる。再起動した飛行珠からフロートが生まれて飛行艇が作られたけど……同時に巨竜も目を覚まし、飛行珠を狙いに来た。これがブライトのクエストの背景になるのかしら」

「そういうことだったんだぁ」

レンの説明に、メイも感嘆の息をつく。

「この地に逃げてきたルアリアの民を狙った巨大な竜が来た時、その照準として映し出されたのが、この紋様だったようです」

「なるほどね。ウィンディアとブライトには飛行珠やフロートが集まってるわ。だから紋様が現れたと」

「も、紋様が『ターゲット』なら、警報はその危険を察知して鳴り始めたのかもしれませんね……」

まもりがドキドキしながら、広げられていたメモを見ていると、その中の一枚をレンが取り出した。

「この図を見て。ルアリアの民が使った『月の船』のスケッチ。これって完全にブライトのクエストで動かした『大型船』よね」

「ああっ、本当だ!」

危険な輝きと警報。

誰かが送ったのか、それとも勝手に何かのシステムが動いたのか。

「ちなみに今、月はどうなっているの?」

「特に何も観測されていません。かつては飛行珠を狙うため、またルアリアを討つために、月に残った者たちがさらに恐ろしい『月の獣』を生み出しているかもしれないという話もあったようですが、何事もなく長過ぎる時間が経過したこともあり、今ではもう戦いで滅び、人が残っていないのだろうと書かれています。ただそれは、推測であり確定ではありません」

「巨竜のような月の獣が、新たにやってこようとしているのでしょうか……?」

「長い長い時間が経っています。さすがにないとは思いますが、巨竜が生きていた以上ゼロではありません」

月の獣が狙うものをマークする光の紋様と、危険を知らせる警報。

二つの謎が、一つの可能性に収束した。

ワクワクする展開に、メイは尻尾をブンブン振って歓喜する。

「……異世界とは違うルートの、大物が出てきそうね」

「ドキドキだねっ!」

思わぬ大きな事態。

今夜も月は、いつもと変わらない美しい輝きを灯していた。