軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1265.スキルを選びますっ!

「遅くなってごめんなさい。スキル選び、始めましょうか」

何やら考えながらやって来たレンが、わずかに遅れて合流。

ここから再び、始まる育成。

「それではさっそく!」

メイが【トレーナーグローブ】を起動すると、召喚陣からリザードが飛び出してきた。

「ふふっ、ライブ開始時のアイドルみたいに下から飛び出してくるのは、メイっぽいわね」

「がんばろうね、りーちゃん!」

「りーちゃん?」

「リザードのりーちゃんですっ!」

「イ、イタチのいーちゃんに倣った感じなんですね」

「いーちゃんと、りーちゃん。さっきから考えていたのは、名前だったのですね」

「ふふっ、分かりやすくていいかもね」

名前が気に入ったのか、大きくうなずくリザード。

いよいよ始まる、スキル選択。

リザードは平均的に能力が上げられるため、戦闘の方向性はかなり自由だ。

「どういう方向でもいけるのが、リザードの強みですね。見つけたスキルをとにかく積むか、今出ている情報から当たりをつけていくかといったところでしょうか」

「な、何か一つ飛び抜けて良いものがあれば、それを活かせるものを選んでいくのもありだと思います」

「モンスターが覚えられるスキルは5つまで。ただしバトルモンスター用のスキルは、『スキル書』さえあればいつでも上書きできる……数あって、損はないわね」

そう言ってレンが、笑みを浮かべる。

「それは、もしかして」

「そういうこと。トーナメントが進めば手の内を知られる。リザードは万能型なんだから、スキルの上書きで戦い方を変えてもいいと思うの」

「そ、その手がありましたか……っ」

「トーナメント後半に突然戦い方が変わったら、皆驚くでしょう」

「おおーっ! さすがレンちゃん、ドキドキしちゃうね!」

相変わらずゲームで手を抜かないレンに、感嘆するまもり。

メイも「楽しそう!」と目を輝かせる。

こうして四人は、スキル探しを開始。

「スキル探しは、まずマーケットを見てみる形はいかがでしょうか」

「も、もう、トレードや売買が始まってるんですか?」

「王都や商業都市では、結構な数が出回っているようです」

「そういうことなら、まずは様子見から入りましょうか」

「りょうかいですっ!」

メイたちはここで一度、クク・ルル島から商業都市バイセルへ。

飛行艇での移動からポータルという乗り換えでたどり着いた商人の町は、今日も賑やかだ。

「わあーっ! もうバトルモンスターでいっぱいだね!」

これまでと違うのは、モンスター連れの冒険者の多さ。

一緒に行動するほど動物値が上がり、また戦い慣れもしていくという事で、さまざな魔物の姿が見られる。

「あはは、大きなモンスターはちょっと大変そうだね」

メイはミノタウロスのようなモンスターが、人波を「ちょっと前通ります」の姿勢で歩いているのを見て笑う。

「満員電車から出ようとする時の動きですね」

「カ、カバンでも邪魔になるのに、武器を持っていたら大変ですねっ」

手持ちの斧を抱えて進む姿は、本当に社会人のようだ。

「それにしても、本当にバイセルにはなんでもあるわねぇ。モンスター用のスキル書も色々あるわ」

露店には、今まさにお祭りの最中であるモンスターバトル用のスキル書が並ぶ。

「【大ジャンプ】や【ショットステップ】は移動系、【大木斬】や【串刺し突き】は武器スキルですね」

「【ウィングカッター】とか【ホーンストライク】みたいなスキルは、翼や角がないと使えないんだろうけど、武器スキルもそういう縛りがありそうね」

「なるほどー。りーちゃんに合うスキルは何かあるかなぁ」

四人はまず、とにかくスキル書を見て回る。

「アイテムも一つだけ持ち込める。そう考えると悩みますね」

「ちょ、ちょっとしたアクセサリーなんかもあるのは良いですね」

アクセサリーは様々あるが、現状で防御効果は持たず、見た目のこだわり次第という感じのようだ。

それでも見た目にこだわるプレイヤーたちは、楽しそうに試して回っている。

「メイはどんなスキルを持たせたい?」

「そうだなぁ……」

メイは付近の露店を見ながら、スキルを選んでいく。

プレイヤースキルと違い、仕様もあまり分からない状態。

露店に出ているものから、まずは何かを五つ選んでみるというのはありだろう。

「あっ! あれとかいいかもっ!」

駆け寄った露店ではいくつかのモンスタースキルを置いているが、メイが目をつけたのは――。

【鉄拳】:力強く振るわれるパンチ。【筋力】と【耐久】の二つに依存した加算が付く。

「いいわね。ただのパンチではなくて、あえて【鉄拳】としてるのがいいわ」

「加算というのは完全依存ではなく、ボーナス値が付く形ですね」

「あっ、これもいいかもっ」

続けてメイは、並んでいたスキルの中から移動系のものを見つけた。

【猛ダッシュ】:使い勝手のいい高速移動。

「基本的な戦い方が見えてくるわね。それじゃあこの二つは覚えてもらいましょう」

まずは二つ、メイが見つけたスキルを購入。

イベント期間中とあって少し高額だが、普段からドロップをマーちゃんに捌いてもらっているメイたちには問題なしだ。

「皆はどういうスキルがいいと思う?」

「それでしたら、私はこちらのスキルが良いと思います」

そう言ってツバメが近くの露店で見つけたのは、中距離攻撃スキル。

【ウィンドクロー】:空刃を飛ばす爪攻撃。左右の手で連続使用できる。

「おおっ! カッコいいかもっ!」

「敵が近接を嫌がるタイプでも、戦えるわね」

ツバメの選択は、中距離攻撃のスキル。

ここまでの三つを前提に、今度はレンがスキル書を探す。

「私はこれを推しておこうかしら」

【マグマ・スプラッシュ】:自身を中心に、地面から小範囲に溶岩を噴き出させる。

「なるほど、けん制とカウンターですね」

足元から噴き出すスキルは、意外と回避が難しい。

さらにバリアのように使えば、敵の攻勢を止める効果もあるため、良い選択と言えるだろう。

「まもりちゃんは、何かあるー?」

これで四つ。

スキルを購入したメイたちは、最後の一つをまもりに託す。

「じ、実はちょっと前に食材探しにきて、偶然見つけたスキルがあるんです」

まもりはそう言って露店通りを迷うことなく進み、隅にある寂れた店へ。

そこで選んだのは――。

【カメレオン】:一定時間透過して、見えなくなる。

「これはツバメを思い出せるトリッキーなスキルね……面白そう」

「一度使ったらバレてしまいますが、最初の一撃は確実に強烈なものとなる。いいですね」

「ワクワクするヤツだねっ!」

こうして五つ目のスキルは、【隠密】を思わせる変わり種に決定。

「とりあえずで決めた割には、良い感じにそろったわね!」

「さ、幸先が良さそうです」

「戦うところ、早く見てみたいね!」

「楽しみです」

まずはリザード・バージョン1が完成。

「この後はクエストでのスキル調達も狙っていきたいところだけど……せっかくだし、もう少し露店を見ていきましょうか」

「りょうかいですっ!」

「何か上書き交換に良さそうな予備スキルがあれば、買っておきましょう」

こうして四人はリザードを連れて、さらにスキル書探しを続けるのだった。