軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1249.相棒は?

メイのデモンストレーションで、大きく盛り上がった会場。

再び運営のスターダスト団リーダー、キャインがルール説明を開始する。

「さて今回のモンスターバトルですが、今お持ちの『従魔』『使い魔』『召喚獣』ではなく、世界中に存在する相棒モンスターを、捕まえるところから始まります」

現状で600種類に及ぶというモンスターから、何を捕まえるか。

そこから楽しむイベントのようだ。

「各種族のステータスなどが従魔の数値を基本にしていたり、仲間になりやすさ、命令に対する対応度を決める動物値を考えると、従魔士が有利な点はあります。しかし動物値さえ高ければ、他職業でも問題なくチャンスがあります!」

そして、この点において有利な従魔士以外でも十分楽しめるようになっている。

「さらに。例え言う事を聞かなくても、ステータスがもともと高いモンスターに強力なスキルを覚えさせれば、圧倒的な強さを見せることも。モンスター用のスキルブック入手使用には、動物値などは関係ないものも多数あります!」

「そういうことか。要は仲が悪くても、もともと強いモンスターなら能力で押し切る可能性もあるんだな」

「全国にいる600種のモンスター。中には初期値からヤバいやつもいるんだろうね」

「確か従魔にも、伝説級とか言われてる個体がいたはず」

そんな想像がふくらんで、自然と盛り上がる会場。

ステータス上げの修行、そしてどんなスキルを覚えさせることができるか。

そんな駆け引きが、活きるバトルになるのだろう。

「参加者の皆さんには、魔物の契約や出し入れを可能にする【トレーナーグローブ】を差し上げます!」

「「「「おおおおーっ!」」」」

さっきメイが使ってみせたグローブを、もらえるというのは嬉しい。

これだけで一層、イベントへの参加意欲が上がる。

「それではここで、今大会の参加者にしてイメージキャラクターのメイさんに、モンスターテイムをしていただきましょう!」

この催しに、再び視線が集まる。

「今回は魔法陣からランダムに魔物を召喚して、テイムする形となります。よって魔法陣に現れるモンスターこそが、このイベントにおけるメイさんの相棒。圧倒的な動物値を誇るメイさんが、どんなモンスターが相棒にするのかを発表してしまう形になるのは、申し訳ないのですが……」

「そーなの?」

「各モンスターには、使えるスキルの制限とか弱点とかがあるから、知られると対策されがちでしょう」

「なるほどー」

メイの問いに、答えたのはレン。

「個人的には、魔法学院にいたようなフクロウなんかが可愛くていいわね」

「私はやはりネコ科が良いですね。チーターのように速度重視だと親近感がわきます」

「お、おっきなワンちゃんの背中に乗ってみたいです」

さっそく、好みの相棒モンスターを想像してワクワクする三人。

今回メイたちは、パーティで一体のモンスターを育成してバトルに参加する形になっている。

「どんな子になるかなぁ」

騎士が騎乗しそうなカッコいい小型竜や、逆にシマエナガのような抜群に可愛いモンスターと共に戦うのも楽しそう。

そんなことを考えると、自然とワクワクしてくる。

「それではメイさん、よろしくお願いします」

「りょうかいですっ!」

メイが【トレーナーグローブ】をつけた手を掲げる。

すると足元に生まれた魔法陣が、輝き出した。

「わあーっ! ワクワクしちゃうよーっ!」

次々に色を変えて光る魔法陣は、まるでモンスターのルーレットが回っているかのような感覚になる。

「いきますっ!」

メイはこのタイミングで、モンスターを決定。

「君に――――決めましたっ!」

宣言と同時に、強い光を放つ魔法陣。

広がった輝きが、徐々に消えていく。

すると、魔法陣の中心にいたのは――――。

「ええええええええ――――っ!?」

メイは思わず、驚きの声を上げる。

光の中から現れたのは、体高50センチほどのトカゲだった。

「「「トカゲきたぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」」」

事情を知る者たちが、即座に拳を突き上げわき上がる。

「正直そうじゃないかと思ったのよね。これ、操作入ってない?」

レンがスターダスト団の方を見ると、皆「マジか……」みたいな顔をしている。

どうやら素で、リザードを引いたらしい。

「これ、今回あるぞ……!」

そう言い出したのは、一人の従魔士。

「リザードはステータス的に弱くて平均的。だから従魔として連れてるヤツなんか見たことない。攻略でも『よほどの爬虫類マニアでない限りはやめておこう』って書かれてる」

「その上、あまり言う事を聞かないんだよな」

そして明かされる、重大な事実。

事実リザードは、弱みのないステータスを持つが数値は全体的に低く、飛び抜けたものがない。

覚えられるスキルこそ多いが、高い動物値が求められるという難ありモンスターだ。

もちろん空も飛ばないし、サラマンダーのように炎を豪快に吐く姿も見られたことがない。

「育てようとしても、正直あんまり懐かないんだよな。だからマジで人気ない」

「何より今回は、メイちゃん本人が戦わないわけだから……」

「イケるかもしれんぞ! これ!」

従魔士たちにとっては、当たり前の情報。

メイは今回、ハズレモンスターを引いた。

そして何より、バトルに本人は参戦できない。

「よし、俺は伝説級の魔物を探しに行くぞ!」

「私はステータス初期値が驚異的な、あのモンスターで!」

早くも、あの手この手を考え始める従魔士たち。

異変に、気づく者はいなかった。

「今度はわたしが、トカゲを育てる番なんだね……!」

その頭を撫でながらほほ笑むメイと、すでに懐き出しているトカゲ。

「あはは、やっぱりこの目が可愛いんだよね。この大きさなら怖くもないし」

宝石のような瞳を見て、気合を入れるメイ。

それを見て、何かを思い出したかのように「……あっ」という顔をした運営スターダスト団。

どうやら従魔士たちが知っている流れとは、早くも少し違ってきているようだ。

「それでは……モンスター・ワールドグランプリ! はじまりますっ!」

「「「「おおおおおおおお――――っ!!」」」」

メイが大きな声で開始を宣言すると、トレーナーとなったプレイヤーたちは、気合十分で世界各所に散っていったのだった。