軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1235.大型飛行艇を救え

「よし、これでひとまず修理は一段落だな」

「あとは細かい調整をし直して、実際飛ばしてみてって感じだね」

エアとイスカは、艦隊戦後の修理を落ち着かせたところで一息つく。

「セフィロト丸も綺麗になりましたね」

「はひっ」

この場に残って、いざという時のために控えていたツバメとまもりも伸びを一つ。

するとそこに、クルーの一人が駆け込んできた。

「た、大変だッ! 哨戒部隊からの情報では、洞窟から大型飛行艇が浮上! それに気づいた巨竜が接近中とのことです!」

「それはメイさんたちが、危険な状況に追い込まれる可能性もありますね」

「は、はひっ!」

「そのようだな。我々もすぐに準備して出向こう。セフィロト丸は先行してくれ!」

「はい! ウィンディア三号艇セフィロト丸――――いきます!」

ツバメはまもりと共に、すぐさま飛行艇を起動。

間髪を入れずに、基地を飛び出した。

視界に現れたポイントは、メイたちが向かった洞窟のもの。

ツバメは一気に加速して進行。すると。

「あれが、大型飛行艇ですか!?」

「か、艦隊戦の時の巨竜に襲われています!」

「見た限り、小回りは利かなそうですね。武装もないように見えます。あの大型にメイさんたちが乗っていると、仮定して動きましょう!」

「はひっ!」

流れとしては、セフィロト丸であの大型船を助けに行く形で間違いないだろう。

ツバメは真っ直ぐ、大型飛行艇の方へ向けて飛ぶ。

「砲台を使うのは、少し不安ですね……」

「は、はひっ」

レンがいない状況で、高速移動しながら砲弾を当てられるかどうかには、若干の不安がある。

ツバメとまもりは、そもそも戦闘時にも中遠距離攻撃を使うタイプではない。

「まもりさん、あの巨竜の前に割り込むことはできますか? 角度はここから上昇しながら。できるだけ接近する形で」

「そ、それくらいなら、できると思います」

「では、お願いします」

ツバメは舵をまもりに任せ、甲板の端に立つ。

まもりは今まさにメイたちの乗る大型飛行艇に、突撃を仕掛ける巨竜の前へと突き進む。

下方から登っていくような角度で飛行し、両者の間に入り込むような形が狙いだ。

あっという間に縮まっていく、巨竜と大型飛行艇の距離。

セフィロト丸は、まるで『身代わり』になるかのような軌道で割り込んでいく。

「ツバメちゃん?」

「ツバメ?」

突然目の前にやって来たセフィロト丸。

まさかの展開に、大型飛行艇内のメイとレンが目を奪われた。

「いきます」

このままでは巨竜が、セフィロト丸を巻き込む形で大型飛行艇ごと弾き飛ばすだろう。

集中するツバメ。

そしてセフィロト丸が大型飛行船と巨竜の間に綺麗に入り込み、タイミングを合わせたところで――。

「――――【斬鉄剣】」

豪快な白刃のエフェクトを、空に走らせた。

美しい軌跡を描く斬撃を喰らった巨竜は斬り飛ばされ落下し、地面スレスレでどうにか体勢を回復。

セフィロト丸はそのまま、上空へと駆け抜けていく。

「「「「うおおおおおおおお――――――っ!!」」」」

地上から上がる、爆発的な歓声。

「ツバメちゃんすごーい!」

「ツバメは本当に、予想をはるかに超えてくるわね!」

メイとレンも、抱き合って歓喜する。

見事な、ミッションの成功。

しかし巨竜の攻撃は、これで終わったわけではなかった。

体勢を立て直した巨竜は、セフィロト丸を攻撃対象に選択。

右から左からのタックル、さらに上方からの圧し掛かり攻撃を仕掛ける。

ここでセフィロト丸は舵をツバメに代わり、体当たりを見事な小回りで回避。

「次は、炎弾ですか!」

「こここここは私がっ! 【不動】【天雲の盾】!」

放たれた一撃を、まもりが見事に防御する。

弾け散る大量の火花。

だが、巨竜の攻勢は終わらない。

大きく翼を開き、付近一帯に巻き起こす暴風。

メイたちの大型船は大きく揺らぎ、ツバメたちのセフィロト丸も舵を取られて傾いた。

そこを狙い、巨竜は再び大型船に飛行攻撃を仕掛けにいく。しかし。

そこに真横から飛んできた紅の翼船が、特攻。

船首を巨竜の頭部にぶつけるという、荒々しい運転で飛行経路を強引に変更させた。

「大砲よりも突撃の方が、やはり確実ですわね!」

「白夜さんですか……!?」

「ごきげんよう」

意外にもここでやって来たのは、甲板で腕組みをする九条院白夜。

続けざまの攻勢は、巨竜の気勢を削ぐ形になった。

これまでの執拗な特攻を諦め、巨竜は下がるが――――。

「もう一回、来ます!」

その頭部の結晶に、煌々と輝く光。

次の瞬間、巨竜から放たれたレーザー光線はなんと、直線ではなく左から右へ払う形。

「「ッ!!」」

誘導されたかのようなレーザー攻撃。

とてもかわしようのない一撃に、セフィロト丸は一発で中破に追い込まれた。

フラップと本体に大きな故障を負い、一気に下がる推力と機動性。

巨竜はこれでとどめだとばかりに、その頭部に再び輝きを灯した。

「マズいですね……!」

「盾ではさすがに……っ」

フラフラと飛ぶセフィロト丸に、向けられる強烈な輝き。

直撃は免れないと、強烈な緊張感が走り出したその瞬間。

「「ッ!?」」

巨竜の目前に、巻き起こる爆発。

放たれた一発の砲弾が、無数の散弾となり誘爆を起こしたようだ。

突然のことに急停止した巨竜は、いよいよ流れの悪さを感じたのか、撤退していった。

「今のは一体……」

ツバメが砲弾の飛んできた方向を見ると、そこにはもう一隻の紅の翼船。

甲板に立つ兵長は、セフィロト丸の横にやってくると一言。

「……借りは返したぞ」

そう言い残して、白夜と共に撤退していった。

「白夜はナギたちの様子を見に来たついでのミッション、兵長は艦隊戦での救助からの流れかしらね」

思わぬ形で起きた、巨竜との対峙。

最後の流れは、どうやら艦隊戦のミッション成功が引き起こした展開のようだ。

「な、なんてクエストだよ……」

「これ、ヤバすぎだろ」

怒涛の展開に、観戦者たちは空を見上げたまま放心していたのだった。