軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1228.特務部隊

「ただいま戻りましたーっ!」

メイたちがセフィロト丸でアジトに戻ると、まだまだウィンディアのクルーたちは修理に駆け回っていた。

そんな中でも、付近にいた面々が一斉にこちらに向き直る。

「お疲れさまです!」

「艦隊戦の活躍、お見事でした!」

居住まいを正し、タラップをリズミカルに降りてくるウィンディアのエースを迎え入れる。

「ありがとうございますっ!」

そんな中、エアとイスカを中心にした少数のチームが何やら真面目な話をしている。

メイたちは、デスクのもとへ向かうことにした。

「どうだ、気分転換はできたか?」

「はいっ! ブライトの町でスープを食べてきましたっ!」

メイが元気に応えると、エアとイスカが大きくうなずく。

「数で劣るウィンディアを勝利に導いたエースの体調は、そのまま我らの戦力に直結するからな。休息は大事だ」

「北部はあたしにとっても故郷なんだよ。スープ屋はウチの近所だね。おばちゃんが食え食えしつこくってさぁ」

エアとイスカはブライト北部の町育ちらしく、相貌を崩す。

「ここでは何の話をしていたの?」

「実は我々を一撃で追い込んだあの魔物が、例の古い飛行艇がある洞窟の辺りを飛び回っているようでな」

「修理にはまだ少しかかるから、今はいいんだけど……修理が終わっても付近を飛び回られてたんじゃ、飛行珠に手が出せないんだよ」

イスカも、悩ましげな表情だ。

「今頃、紅の翼でも同じような会話をしているのでしょうか」

「そうだろうな」

ツバメのつぶやきに、エアがため息を吐く。

「飛行艇の修理が終わり、飛行珠の回収に向かえばまた衝突することになるだろう。そして戦いを見つけたあの魔物がやってくる。これでは同じことに繰り返しにもなり得る」

「空から向かうのは難しい。でも、ブライトに先を越されるわけにはいかない。そうなると、できることは一つかしらね」

「ち、地上から向かう形ですね……っ」

「その通りだ。幸い転移用の宝珠も一つだけだが用意できている。飛行珠を外に持ち出すことだけでもできれば、ブライトの占有を阻止できるだろう。あとは後発の地上部隊を編成して、飛行珠の回収に向かえばいい」

どうやらこの後は、ブライト王国に先んじて地上から飛行珠を回収しようという流れらしい。

「あの魔力レーザーの威力を見ても分かるように、例の化物は圧倒的な力を持っている。だがこれ以上の飛行珠独占をブライトに許せば、戦力差はさらに大きなものとなる。この危機的状況に対抗できるのは……艦隊戦の勝利を引き寄せた、君たちしかいない」

エアが静かにそう言うと、イスカも大きくうなずいた。

「飛行珠を手に入れるための特務部隊、そしていざという時に飛行艇で動ける待機部隊。二手欲しいところだね」

「地上部隊と飛行艇部隊で、パーティを分ける形ですか」

「なるほどね。ツバメの操舵とまもりの防御があれば、飛行艇が落ちることは早々ないでしょ。一応そのまま【魔導経典】は持っておいて」

「わかりました」

「は、はひっ」

こうして、パーティ分けはすぐに決定。

地上から洞穴に向かい、眠っていた飛行艇から飛行珠を回収する、メイとレンの特務部隊。

飛行艇に待機して、いざという時に現地に乗り付ける飛行艇部隊。

この陣容で、今度こそ飛行珠を手に入れようという形だ。

「それでは、行ってきます!」

「いって来るわね」

「ご武運を」

「お、お気をつけてっ」

ツバメとまもりを先頭に、ウィンディアの面々に見送られる形で、メイとレンはアジトを出る。

渡された地図を確認して向かうのは、一機だけ残されているという古き飛行艇が眠る洞窟。

レンは低空の高速飛行で、メイは木々を足場に跳躍を交えて偵察しながら。

二人は緑が続く山間部を、接敵することなく突き進む。

「こういう、相手が見えないけど競争になってるであろう展開はソワソワ感も楽しいわね」

「本当だねっ」

道なき道を通れる二人の移動は速く、しばらく進んだところで目当ての洞窟が見えてきた。

山から離れ、なだらかな平原が続くその場所は、森になっている。

そこにはクレーターのように大きくへこんだ場所があり、剥き出しの岩肌などが見えているのだが、同時に深い横穴が穿たれている。

「あれで間違いなさそうね」

「近くで待ってる魔物もいなさそうだよ!」

二人はうなずき合い、伸びているツルをかき分けて洞窟内へ。

砕けて落ちた岩を見るに、最初に飛行艇の存在に気づいた者はここから中に入り込んだのだろう。

「遺跡を思い出す造り。しかもこの形式はゼティア関係よりモナココ、ルアリアの方かしら」

「たしかに、似てるかもっ!」

「この感じだと墜落したのではなく、もともとは発着場だったのか、それとも開発現場だったのか……」

割れた紋様の岩肌から、入り込んでいる根やツルが雰囲気を出している洞窟。

「「っ!?」」

聞こえてきた、大きな爆発音。

「やっぱり、私たちだけじゃないみたいね」

「そうみたいだね。ここで競争になるのかなっ」

「それじゃあ行きましょうか、競争なら負けないわ!」

「おーっ!」

拳を突き上げ、駆け出すメイ。

二人は古き飛行艇が眠るという古き洞窟を、突き進むのだった。