軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

122.一気にいきます!

「防御しろ! 前衛は防御を固めて少しでも生き延びるんだ!」

「いっくよー! 【ソードバッシュ】エクしゅプロード!!」

「うぎゃああああーっ!!」

メイ、ちょっと噛む。

しかし衝撃波からの青炎爆破という一撃二発の攻撃は、見事に敵軍を吹き飛ばした。

「狐装備もいい感じね。でも……敵も防御を織り交ぜてきて、戦況の動きが少しずつ遅くなり始めてる」

レンは辺りに視線を走らせる。

「このままだと、増援もあり得るわね……」

「レンちゃん! それならここで使っちゃいます!」

「……あれ、いくのね」

「うんっ」

ついにこの時が来たかと、笑い合う二人。

メイはその手に【知力】上げのリンゴを取り出した。

「【蓄食】!」

そしてステータス上げの実を10個連続で使うことのできる、新スキルを発動。

「一つ、二つ、三つ……レンちゃんツバメちゃん! 少しだけ時間が欲しいですっ!」

「ええ、まかせて」

「おまかせください」

三人は、メイを中心に寄り合うような形に並びを変更。

「【加速】【紫電】」

襲い掛かって来た一団の中心に飛び込んだツバメは、電撃で敵の動きを止める。

「【アクアエッジ】【四連剣舞】!」

放つ剣舞に、水が舞う。

「【フリーズブラスト】!」

そして続けざまにレンの放った猛烈な冷気が、凍結を引き起こした。

「いくよー! 【ソードバッシュ】! 四、五、六……」

飛び込んで来たメイが動けずにいるプレイヤーを吹き飛ばし、再びリンゴを使用。

「なんだあれ?」

「ステ上げの実は三つ以上使っても意味がないって、知らねえのか?」

メイのもとに走りながら、眉をひそめる天軍プレイヤー。

「行くぞ! 疾風――!」

「させないわっ! 【ブリザード】!」

スキルの発生を、レンの魔法壁が止める。

「七、八、九……十!」

そして、カウントアップが終わる。

これで短い時間だが、【知力】値は100上昇。

準備完了だ。

「それじゃいくわよ! 【フレアバースト】!」

レンは爆炎の魔法を、あえて地面にぶつけるような角度で放つ。

狙い通り、広がる噴煙。

「……なんだ?」

天軍プレイヤーたちの足が止まる。そして。

煙が晴れるとそこには、狐耳姿のメイが右手を高く掲げていた。

「それでは……よろしくお願い申し上げますっ!」

頭に着けた耳に負けないほど、ピンと伸ばした手には召喚の指輪。

足元に、巨大な魔法陣が描かれていく。

「なんだ!? 魔法か!? 召喚獣か!?」

輝く魔法陣から現れたのは、『二頭』の巨大なクジラ。

天軍プレイヤーたちの一団に向けて魔法陣を泳ぎ、そのまま空高く跳び上がる。

レン曰く【幻影召喚】。

一頭目の【幻影】クジラは、敵軍の中心目がけて特攻。

「う、おおおおおおおーッ!?」

そのまま巨大な青い炎に変わり爆発、天軍プレイヤーを消し飛ばした。

「待て! まだ終わってない!」

そこに追い打ちをかけるのは、クジラの本体。

大きな体躯による体当たりが敵軍を吹き飛ばし、さらに大きな波を引き起こす。

炎から水への連続攻撃で、大量のプレイヤーが消失した。

「な、なんだ……この攻撃は」

「ていうか、あの戦闘力で召喚士だったのか……!?」

戦力の大半を失い、混乱する天軍。

運良く生き残った天軍プレイヤーたちはしかし、ここで耳を疑うような言葉を聞くことになる。

「――――続きまして」

「つ、続きましてだあッ!?」

「続いてなんだよ!? 何が来るんだよッ!?」

「よろしくお願いいたしまーすっ!」

新たに生まれた魔法陣。

そこからせり上がって来たのは、二頭の巨大クマ。

「召喚獣がまた二体同時!?」

「どうなってんだ!? 連続同時召喚なんて聞いたことねえぞッ!!」

長い鞘から大きな太刀を抜き去ったクマたちは、猛烈な勢いで走り出す。

そして跳躍。

「う、うわあああああーッ!!」

しっかり、空いた方の手でグレイト・ベアクローを叩き込んだ。

もちろん二体目は、空を焼くほどの爆炎で追い打ちをかける。

「なんだこれ……なんだよこれええええ――――ッ!!」

猛烈な斬撃と青炎の爆発に、容赦なく消し去られる天軍プレイヤーたち。

そんな中、爆発の影響で少しだけ毛先を焦がした巨グマは静かに太刀を収めた。

「ありがとー!」

大きく手を振るメイに、口端の笑みだけで応えながら帰っていく巨グマ。

「一体……何が起きてんだ……?」

圧倒的な数を誇っていたはずの、メイ討伐メンバー。

そのほとんどが消え去り、偶然生き残ったわずかな天軍プレイヤーたちは呆然とする。

「今年の地軍は、地軍将はどうなってんだ」

「グラムについておけば勝ち確だったんじゃねえのかよ」

「に、逃げるぞ! 地軍にもとんでもない化け物がいた! クマとクジラが友達の、モンスター野生児だ!」

生き残りたちは、大慌てで退避を始める。

「え、ええっ!? ま、待ってー! 違います! 動物たちと仲がいいだけの普通の女の子なんですーっ!」

「耳と尻尾の付いた、普通の女の子がいるものかー!」

「これは違うんですー!」

なんとか訂正しようとするメイと、必死で逃げる天軍の生き残り。

「はい、お疲れさま」

そんなメイの肩に、レンがポンと手を乗せた。

「あ、レンちゃん。おつかれさまでしたっ」

メイはうれしそうに笑ってみせる。

「さすがメイさんです。お見事でした」

「いえいえ、二人が挟み撃ちにならないようにしてくれていたおかげですっ!」

ツバメとも、軽やかにハイタッチ。

「それじゃ、地軍のお城に帰りましょうか」

「うんっ」

見事3000人を超える敵プレイヤーを返り討ちにして、歩き出すメイたち。

「メイさんっ! 無事ですか!?」

そこに大慌ての様子で、マーちゃんが駆けこんで来た。

その背後には、数十人の地軍プレイヤー。

「天軍がお社に大量の兵を送り込んだと聞いて、大急ぎで駆けつけたのですが……」

「もう帰ってもらったわよ」

「……え? ですが敵の数は数千にもなるって……」

「その話は帰りながらするわ。ほら、天軍が来る前に帰りましょう」

「帰りましょうっ!」

楽しそうにマーちゃんの背を押すメイ。

当の本人は「えっえっ?」と、困惑するばかりだった。