軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1201.モナココの報酬

「残って良かったわね」

「あの流れだと確かに、戻らない可能性を感じますね」

「は、はひっ。私もそう思いました」

四人はカジノで手に入れた船で、モナココを目指す。

元海賊が一人で、メイたちの船を使ってオトリになる。

その際「かつての自分の船を沈める」という覚悟を語っていた。

この流れからレンは、元海賊は自分が相棒にしていた船を沈めて共に消えるパターンではないかと、ちょっと心配していた。

「普通にこの船を、漁師町の片隅に係留して待ってたのには驚いたわ」

「整備士さんも、普通に船の様子を見てくれていました」

モナココへのオトリは、【記録の宝石塊】に上手にスキルを覚えさせないと早々にハンターに乗り込まれ、船が沈む可能性も十二分にある。

そしてシナリオ的には、元海賊に任せた船が轟沈してまで時間を稼いだという方がドラマチックだ。

しかしメイたちが記録させたスキルのバランスが良い上に非常に強力だったため、船は驚異の無傷での生還を果たした。

ちなみに船がボロボロの場合でも『役目を終えた』という流れになるのだが、そんな条件も潜り抜けてしまったため、クエスト終了後も普通に残ったのだった。

「それにしても……」

「はい」

「はひっ」

「メイは海も似合うわねぇ」

青い海を、太陽の輝きがキラキラ照らす。

メイは船の舳先に立ち、カモメと戯れている。

鳥たちが寄ってくるようになると、それは陸が近い証拠。

見えて来たモナココ港に、レンは少し速度を落として入っていくのだった。

「お待ちしてましたっ!」

モナココ港に、船を収める。

するとそこには、見覚えのある少女の姿。

「あなたはっ!」

「レティさん!」

そこにいたのは、海の洞くつで出会い、連絡船への密航のために一役買ってくれた剣士の少女。

どうやらメイと交換したままの装備を、受け渡しに来たようだ。

「皆さん、凄いクエストでしたね! 動画とか広報誌を見て感動しました!」

レティは喜色満面で、船を降りてくるメイたちを迎える。

「間に合ってよかったです!」

「間に合う? 何かあったの?」

メイがたずねると、レティは声を小さくして話し出す。

「あの港町で密航する流れも紹介されていたので、怪しいブローカーから『メイちゃん装備を売って欲しい』って言われて大変でした。最悪、追いはぎに合う可能性もありました……」

「その人たち、掲示板がどうこうって言ってなかった?」

レン、苦笑いしながらつぶやく。

「あやうく私の装備が、トップパーティにいてもそん色のないものになりそうでした」

「ちょっと計算してるじゃない。売った場合のことを」

そんなレティに、四人で笑う。

こうして装備を交換したレティは、せっかくだからカジノに寄っていくということで、途中まで一緒に移動。

「おいしい話には、くれぐれも注意してね」

「気を付けます……っ!」

そんな軽い忠告をした後、メイたちはそのままカジノを上がってオーナー室へ。

そこには、モナココの王女が待っていた。

「先日はお世話になりました。カジノもすっかり元通りになって、通常通りの営業を続けています」

グリンデルとの戦いのことを感謝した王女は、さっそくディーラーの服装をしたスタッフを呼び出す。

「こちらは、御礼の品となります。お受け取り下さい」

並んだ煌びやかな宝箱は、カジノならでは。

メイたちはさっそく、派手な宝箱に手を伸ばす。

【ダイナボーン】:巨大な恐竜の骨を加工した棒。【ダイナブラスト】は防御スキルを無視して敵を弾くことが可能。その距離は【腕力】による。

「ええっ!? 大きな恐竜の骨を振り回すって、そんなの原始人みたいだよ――――っ!!」

「防御無視……【腕力】がダメージではなくて弾かれる距離に絡むって、相手によっては国をまたぐくらい飛ぶんじゃない?」

「そ、それは迫力十分ですねっ」

なぜか海を飛び石のように跳ねていく図を想像して、感嘆するツバメ。

「では、次は私が」

【チェーンキル】:アサシンピアスを連続使用できる。一撃ごとに消費MPが上がる。

「移動しつつの連続刺突が可能になる感じかしら。アサシンらしいスキルね」

「連続刺突……カッコいいかも!」

「まもりさんはどうですか?」

「は、はひっ」

【大食い】:同じ料理を食べることで料理効果の『重ねがけ』が可能になる。

「来ましたね。まもりさんの飲食シリーズ」

「【食べ歩き】と重複できそうね。まだまだ拡充してるシステムだし、面白いこともできそう」

「はひっ! 何を食べましょう……!」

「それじゃあ最後は私ね」

【聖槍】:聖なる光の槍が飛び、炸裂する聖属性の上級魔法。

「直撃から爆発。二連撃になる魔法は良いですね」

「じょ、上級ということは【フレアストライク】の位置づけですね」

魔法の増加を、単純に喜ぶツバメたち。

しかしレンの様子は違う。

「これ、私が聖属性の魔法を使い出したら、また大変なことになりそうな気がするんだけど……」

純粋に力だけを求める『闇を超える者』が、ついに聖なる力に手を伸ばした。

方向性が闇だけに収まらなくなったことを、『界隈』がどう捉えるか。

考えると、冷や汗が止まらない。

「ま、まあ、見た目が普通の魔法なら『設定的』にはおかしくないわよね。力を求めるキャラではあるし」

そう、自分に言い聞かせるレン。

こうして今回も、四人は報酬の確認を終えた。

すると、王女が語り出す。

「すでに遠い昔の過去であるルアリアと、我が祖先である月の民。まだまだ知らないことが多いのですが、今後も学んでいこうと思います」

「さすがに【エーテルライフル】とか、【魔力甲冑】はもらえなかったわね」

「【月光砲】も、撃ってみたかったです」

「やっぱりわたしが装備したら、【自然回帰】で甲冑が吹き飛ぶのかな?」

「ふふっ、全身鎧の強制パージはまだ見たことないわね」

そんなことを話しながら、終える報酬タイム。

四人はモナココの光景を眺めながら、これからの予定決めを始める。

「今日はどこに行くのっ?」

「グリンデルさんとの戦いを見ていて少し気になったのは、この世界の技術でしょうか」

「ロ、ロボットの感じ、すごかったですね」

「この世界で技術の雰囲気がありそうなのは……技巧都市かしら」

「ぎこうとし? どんなところなの?」

「この世界では一番、意欲的に技術を進行させてる国かしら? せっかくだし、ちょっと行ってみる?」

「いいと思いますっ!」

今回も、思いつきから始まる冒険。

こうして四人は、次なる目的地へと足を向けるのだった。