軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

107.九尾の話を聞きに行きます!

見事、侍の亡霊から妖刀を奪い取ったメイたち。

歓喜する武器コレクターの僧兵から【四連剣舞】のスキルをもらい、目指すは再び陰陽師の住む神社。

「犬神ちゃーん!」

「犬神さん!」

「犬神いるー?」

裏手の倉庫に入ると、すぐに犬神が駆け寄ってきた。

メイとツバメは、大喜びで犬神をわしゃわしゃ撫で始める。

「かわいいー!」

「かわいいです」

「相変わらずいい子ねぇ」

ここぞとばかりに頭を撫でるレン。

「で、陰陽師は何してるの?」

見れば陰陽師は、ぐったりと疲れ顔で座り込んでいた。

「急に妖気祓いの仕事が多くなってなぁ。休みなしでクタクタなんだ」

以前徹夜を続けさせていた犬神に「すまなかった」と虚ろな目で言う陰陽師。

「……だが、君たちからも不思議な妖気を感じるな」

「これのことじゃないかしら」

そう言ってレンは、子狐からもらったお札を取り出す。

「それは……君たちは狐に認められるほどの能力を持っていたのか。そのお札は、様々な使い道がある特殊アイテムだ」

「どういうこと?」

「一つは単純な移動。どこの鳥居からでも中央の大鳥居に移動できるというものだ。もう一つはイタズラ好きなタヌキを避けるもの。そして」

「そして……?」

「通ってはならない鳥居から、『別世界』へと向かう切符」

「なにそれ」

「かつて陰陽師たちが九尾を封じ込めた『もう一つのヤマト』につながる鳥居だ」

「通ってはならない鳥居に、もう一つのヤマト……なんだかワクワクしてきちゃうね」

「まったくです」

「そのうえ九尾の話は、サービス開始からずっと『ヤマトのどこかにある』って言われながら未発見の要素。ドキドキしてくるわねぇ」

ここでも、7年間未到達の領域に踏み込みかけているメイたち。

思わず三人、笑い合ってしまう。

「君たちは、九尾のもとに向かおうとしているのか?」

「それでいいのよね?」

「もちろんっ!」

「はい、ぜひ」

「九尾の大鳥居はヤマトのどこかにあると言われているが……その場所はもうずっと隠されている」

「知っていそうな人に当てはないの?」

「九尾を封じた陰陽師の子孫が知らないんだぞ。ヤツのことはヤマト最大の禁忌なんだ」

「なるほどねぇ」

「ヤマトには無数の鳥居がある。妖気を嗅ぎつけることができる者でもいなければ、見つけるのは難しいだろう」

陰陽師は、ため息交じりで首を振る。

「……見つからないはずね。これ、到達難易度の高さが相当だわ」

土蜘蛛のクエストを、犬神ミッションまで含めてクリア。

狐の嫁入り行列を、大量のタヌキから守り抜く。

最低でもこれらのクエストを超えられないのであれば、そもそも立ち向かうことも許されないというレベルの相手なのだろう。

そのうえさらに、ヤマトにある無数の鳥居を探して回れというのは、かなり難易度が高い。

「でも、それなら大丈夫かも。ね、メイ?」

「九尾の鳥居の場所、知ってる?」

さっそくメイは、犬神に問いかけてみる。

「レンちゃんツバメちゃん、あっちみたいだよ!」

「私たちには、動物は基本みんな友だちの子がいるからね」

本来であれば、もう一つ『探す』手間が必要なのだろう。

しかしメイの【自然の友達】は、こういう時にこそ活きやすい。

「それじゃ、行ってみましょうか」

犬神には、妖気を嗅ぎつけることなどお手の物。

案内されてたどり着いたのは、ヤマト北西の森の中。

クエストも商店もない街外れから続くその場所に人気はなく、NPCの姿もないため過疎と化している。

そこには、長らく放置されているのであろう色あせた大鳥居があった。

すでにその全体をツタや木々の枝に絡め取られた鳥居は、とにかく目につきにくい。

そして全面に貼られている無数のお札が、どこか禍々しさを感じさせる。

「ありがと!」

メイが犬神の頭を撫でると、犬神はその場で待機。

どうやら案内はここまでのようだ。

「それじゃ、行ってみましょうか」

「うんっ!」

子狐にもらったお札を取り出すレンの腕に、メイはすぐさましがみついた。

もちろんそんなメイの腕に、ツバメも抱き着く。

お札を持つレンを先頭に、三人並んで大鳥居をくぐり抜ける三人。

すると、世界が一変した。

「すごーい……」

「これは、目を奪われます……」

感嘆の声をあげる、メイとツバメ。

たどりいた先は、真夜中の裏ヤマト。

そこにあるのは、朱色の鳥居がひたすらに続く山道だ。

延々と続く鳥居の道には、篝火だけが揺れている。

「……これはもう、間違いないわね」

大物が待ち受けていなければ、こんな別世界を作る必要がない。

九尾の狐の存在を、レンたちはハッキリと確信する。

「一応、新しいスキルからの連携なんかも考えておいたから、ここで確認させてもらっていい?」

「もちろんっ!」

「いつもお世話になっております」

そんな不穏な光景の中でも、三人はいつも通り。

さっそく作戦会議を始めたのだった。