軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1059.迷子ちゃんを捜して

タヌキレストランの開業を見届け、自由に使えるキッチンも得たメイたち。

オマケの料理ミッションを見つけて、メイドの迷子ちゃん捜しを開始。

四人がやって来たのは、王都だった。

「本当に、王都はプレイヤーであふれかえっていますね」

「異世界効果はすごいわねぇ」

この中にはレンやツバメの戦いを見て、四人が切り開いた異世界を見たくなった者たちも大勢いる。

しかしそんな事実を知らない当の本人たちは、感嘆しながら辺りを見回すのだった。

「なんでも廃村に、一晩でたくさんの人間が住み始めたらしい。でも会話とかをしようとしても、適当に返されるんだって」

「なんだそれ、何かありそうだな……」

賑わう王都では、聞こえてくる会話も様々だ。

「さて……この辺りに」

年始の寺社のように込み合う中央通りを、レンが先導して進む。

「あ、いたいた」

「皆さん! あらためて異世界の王の打倒、おめでとうございます!」

大通りに並ぶ豪華な店舗の一つ。

その前に、マーちゃんが待っていた。

「ありがとうございますっ!」

さっそく駆けつけるメイたち。

「どうぞ、こちらへ」

マーちゃんを先頭に、店の中へ。

シャンデリアのかかった豪華な造りに、メイたちは感嘆する。

「ずいぶん儲かってるのね」

「メイさんたちのおかげです! ……とはいえこのお店は買ったわけではなく、複数人で借りているんです。ここは今、異世界クエスト用の流通拠点となっているんですよ」

「なるほどね」

「そうです! 異世界の街に世界樹を生やしてもらえませんか? 最初の街のシンボル、そして地図もない世界の目印として、求められているんです!」

「もちろんですっ!」

「異世界最初の街に、世界樹。よく似合いそうです」

「そうですよねぇ……完成がとても楽しみになりました」

王都地下攻略時に私財を投げ打ったマーちゃんは、一気に名を上げた。

それによって今回の異世界第一の街作りにおける、大きな役割についたようだ。

「それでどう? 何か迷子ちゃんについての情報はある?」

「異世界が解放された後は、あやふやな発見情報しかないようです」

「そうなのね……」

「一応迷子ちゃんの運搬を得意としている方にも話を聞いてみたのですが、やはり分からないと」

「ちょうど今、迷子の真っ最中ってことね」

「さ、さすがですね」

「ただもしも探すのであれば、コツは一つとのこと」

「なに?」

「常識に、とらわれないことだそうです」

「難しすぎじゃない?」

これには苦笑いしかないレン。

「でもそうなると本当に何も分からない状況なのね。とにかくあっちこっち回りながら探してみましょうか」

「りょうかいですっ!」

こうして四人は、あてのない迷子ちゃん探しを再開。

世界樹の育成を約束して、再び王都に出た。

ここでメイはさっそく【自然の友達】で、付近を飛んでいた白いハトに声をかける。

「迷子ちゃんの居場所を探してるんだけど、何か知ってる?」

しかしハトは、首を振る。

さすがにこの広い世界から、迷子ちゃんを見つけることはできないようだ。

「プレイヤー探しは初めてだけど、こういう時ってどう動くのがいいのかしら」

そんなことを言いながら、付近を通る人波を眺める。

「あっ、グラムちゃんだ!」

そんな中でメイが見つけたのは、小柄な槍使いの少女。

神槍のグラムは、大通りを横切るような形で歩いていく。

「グラムちゃーん!」

メイは大きく飛び跳ねて、手をブンブンと振る。

しかし返事はなし。

一度チラリと視線を向けたはしたものの、まるで知らない人でも見たかのように通り過ぎていく。

「あれっ?」

首と尻尾を傾げる。

「英雄のメイちゃんがそんなところで手を振っていたら、人が集まってきちゃうんじゃない?」

「あっ、ローランさん!」

そんなメイに、いつも通りさわやかな笑顔で声をかけてきたのは、弓術士のローラン。

「メイたちの戦いはどこ取ってもアクション映画だもんな。最新の動画もついつい全部見ちまったよ」

笑いながら続くのは金糸雀だ。そして。

「だが異世界で華々しくデビューすることになるのは、この神槍だ」

「あれ……っ?」

最後に続いたグラムに、メイがまた首を傾げる。

「なんだ? このグラムの勇壮さに見惚れてしまったか?」

「さっき、向こうにいなかった?」

「向こう? どういうことだ?」

「グラムちゃん、大通りを向こうに抜けて行ったと思ったんだけど」

「グラムは私たちと、今ポータルで来たところだよ」

「おい、このグラムを他の槍使いと一緒にするんじゃない」

「つーかグラムだったら、人ごみの中じゃ槍しか見えないんじゃねえか?」

「そんなことはない!」

頭に乗せられた金糸雀の腕を払うと、皆笑う。

そんな中、不意にツバメが動きを止めた。

「……メイさん?」

「はいっ」

ツバメは目の前にいるメイを見て、もう一度視線を人ごみの方へ。

「やはりメイさんです。あれを見てください!」

そしてすぐにメイのもとに来て、指を差す。

「ええっ? 私にそっくり!?」

「追いかけてみましょう!」

こうしてメイとツバメは、そっくりさんを見つけて走り出す。

「それじゃ、私たちも後を追うわ!」

「ししし、失礼しますっ!」

前衛組を追うように、駆け出すレンとまもり。

「なあローラン、私のマネをしているプレイヤーはいないのか?」

「心当たりはないかなぁ」

「まあ、コスプレするならメイだよなぁ」

二人の言葉に、頬をふくらますグラム。

その怒りはこの後、異世界の魔物たちに振るわれることになる。