軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13 王宮魔術師団

王宮魔術師団は王国における最高機関の一つだ。

その活動は多岐にわたり、配属される部署によって仕事内容も大きく変わってくる。

大きなところで言うと、一番隊は王国魔法界統括。行政院の文官的なお仕事。二番隊は魔法関係の法務で、三番隊は王都および王宮の警護。四番隊は医療魔法研究および救護作業、五番隊は魔法薬研究で、六番隊は魔道具研究という風に部署が分かれている。

私が配属されたのはルークと同じ三番隊。

王立騎士団と協力して王宮と王都の安全を守る大切なお仕事だ。

働き始めて数日。

新しい職場は覚えることがいっぱいで、前職みたいに目が回るような日々を過ごすことになると思っていたのだけど、意外なことにこれがまったくそんなことなかった。

どうやら今はいわゆる閑散期に分類される時期のようで、魔物の活動が沈静化している分、三番隊の人たちの中には他部署の応援に行っている人も多いらしい。

なのでまず私がすることになった仕事は王宮の警備といざというときに備えての訓練と勉強。

魔法の練習も勉強も大好きな私なので、お金をもらいながらできる環境は本当にありがたい。

加えて、勤務先である王宮もすごかった。

見れば誰もがその壮麗さに言葉を失うと称えられる『赤の宮殿』は中を歩いているだけでうっとりせずにはいられない素敵空間。

見るものすべてがお高そうでお洒落でとにかくすごいのである。

庶民の私には触れただけで浄化されそうな逸品の数々。

王国で一番華やかな王宮で働いているのだから、当然のことなのかもしれないけど、すごいなぁ綺麗だなぁ、と見とれながら過ごす日々。

うっかり壊して弁償させられることになったら、地獄の借金生活間違いなしだから絶対にさわったりはできないけど。

美しい調度品に近づきそうになるたび、全力で飛び退いて距離を取る私をルークはくすくす笑って見ていた。

本当に、私には勿体ないくらいの素敵な職場環境。

でも、だからこそ少し不安になってしまう。

私はここで働いていいのかなって。

だって地方の魔道具師ギルドでも仕事ができなくてお荷物扱いされていた私なのだ。

魔力と魔法戦闘では通用している部分もあるみたいだけど、後の部分はきっとひどいレベル。

選りすぐりのエリート揃いである王宮魔術師さんたちからすれば、きっと目も当てられないほどに違いない。

『まさかここまでできないとはね……君、明日から来なくていいよ』

嫌だ!

そんなことになるのは嫌すぎる!

どんな手を使ってもこのホワイトな職場にしがみつかなければっ!

そのために私が始めたのが雑用大作戦だった。

隊舎の掃除や、消耗品の補充、植物の水やり、点滅し始めた魔法灯の交換。

誰でもできる雑用を率先してこなすことで同情を買い、クビにしづらくする頭脳的な作戦である。

「ねえ、この通信用魔道具の整備を誰かにお願いしたいのだけど」

その言葉に、私は心の中で拳を握る。

作戦通り……!

こうなることを予期し、あらかじめ空いた時間で整備をしておいたのだ……!

「やっておきました、先輩!」

「え?」

先輩は箱に積まれた通信用魔道具の端末を見る。

「どの端末を整備してくれたの?」

「箱にあったもの全部です。他にもあるなら私やりますけど」

真剣な顔で箱の端末を確認する先輩。

少しの間押し黙ってから言う。

「………………ううん、これで全部だから大丈夫」

それから私の目を見て続けた。

「ありがとう。助かったわ」

その言葉がどれだけ私の心をあたたかくしてくれたか。

前の職場ではお礼なんて言われたことなかったからなぁ。

みんな疲れ切って心に余裕がなかったから仕方ないんだけど。

でも、だからこそ感謝の言葉が本当にうれしい。

よし、この調子でもっともっとアピールして、職場に残してもらえる人材になるぞ!

張り切って、雑用に励む私だった。