作品タイトル不明
【第一章時点の主な登場人物まとめ】
※年齢は本作設定の数え年です。
※天文二十三年/1554年斯波義統襲撃時点の年齢です。
※史実・通説とは異なる独自設定を含みます。
■藤乃
数え十八歳。
尾張守護・斯波義統の妹。義銀と千若の叔母。
中身は令和の三國志オタク社会人。落ち目の斯波家で、米櫃の底を見ながら甥たちを育てている。
勝家より四歳年下。
■柴田勝家
数え二十二歳。
織田家家臣。通称・権六。
本作では天文二年(一五三三年)生まれという独自設定。
若き鬼柴田。守護邸襲撃の際、藤乃たちを救い出す。
藤乃より四歳年上。
■斯波義銀
数え十五歳。
尾張守護・斯波義統の嫡男。藤乃の甥。
名家の嫡男でありながら、まともな教育も十分な食事も与えられず育つ。
それでも弟と叔母を守ろうとする、真面目で芯の強い少年。
藤乃より三歳年下。
■千若
数え六歳。
義銀の弟。のちに義冬と名乗る。
藤乃にとっては甥であり、ほとんど弟のような存在。
幼いながらも家の苦しさを感じ取り、わがままを言わずに暮らしている。
■斯波義統
数え四十二歳で死去。
尾張守護。藤乃の年の離れた兄で、義銀と千若の父。
名家・斯波家の当主だが、すでに家は大きく傾いている。
■織田信長
数え二十一歳。
織田三郎信長。尾張の織田弾正忠家当主。
藤乃から見れば、言わずと知れた後の天下人候補。
若くして人を惹きつける強烈な存在感を持つ。
■織田信行
数え十九歳。
信長の弟。通称・勘十郎。
信長とは対照的に、丁寧で育ちのよさを感じさせる若君。
真面目で常識的に見えるが、兄の隣に立つために少しずつ覚悟を決めていく。
■於光
数え二十九歳。
柴田勝家の姉。渋川八右衛門の妻。
柴田家の奥向きを取り仕切る、強く頼もしい女性。
藤乃が柴田家で暮らす上で、大きな支えとなる人物。
■渋川八右衛門
数え三十一歳。
柴田家の家令。
柴田家の実務を支える人物。
於光の夫でもあり、藤乃が柴田家で暮らす上でも何かと関わることになる。
【三國志について】
本作では作中で「三國志」という言葉を使っておりますが、ここでいう三國志は、私たちが一般的にイメージする小説としての『三国志演義』そのものではありません。
『三国志演義』が日本で広く読まれるようになるのは、江戸時代、元禄年間に刊行された『通俗三国志』以降の流れが大きいと考えております。
そのため、本作の戦国時代では、三國志は物語として広く知られているというより、故事や教養として一部が伝わっている、という解釈で執筆しております。
藤乃が「年の離れた兄よりも優れている」と周囲から思われたのは、そうした三國志由来の故事を理解しているように見えたためです。
たとえば、
「泣いて馬謖を斬る」
「水魚の交わり」
「死せる孔明、生ける仲達を走らす」
といった故事ですね。
ちなみに藤乃は司馬懿が好きなので、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」まで知っております。
本人としては転生前知識込みのつもりですが、周囲からは「三國志の故事どころか、孫子から派生する兵法まで理解している姫」と、盛大に勘違いされております。
このあたりは本編ではテンポ重視で割愛しましたが、疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いましたので、この場を借りて補足させていただきます。
要するに、藤乃ちゃんはまたしても周囲の勘違いで、本人の自覚以上に賢い姫扱いされている、ということです(笑)