軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

1-3

アロイスを痩せさせるために、まず何をすればいいか。

正直、するべきことが多すぎて、カミラは頭が痛くなる。

アロイスの食事は日に八食。朝早く起きて食事をし、カミラが起きたころにもう一度朝食。昼までは仕事をしながら間食、昼ご飯を食べた後は、訪問客の相手をしながらお茶をする。陽がくれれば夕食を食べ、夜食とともに仕事をした後は、就寝前にもう一度食べる。

人間の体に収まる食事量とは思えない。逆に言えば、それだけ食べるからこそ、アロイスの体は人間とは思えないほど大きいのだ。

それに、その八食で出される食事は、冗談みたいに量が多く、どれもこれも脂っこいものが多い。おまけに味付けもやたらに濃い。野菜も少なく、肉ばかりだ。カミラはアロイスと同じ食事がとれず、給仕に頼んで早々に別メニューにしてもらっていた。

そのときも、「旦那様と同じものは食べられないと言うのですか」と嫌味を言われてしまったが、舌がしびれるような味を食べ続けるほうが異常だろう。

間食で出される菓子の類は、砂糖のかたまりだ。素材の味も料理の腕も、すべてを破壊する甘味は、もともと甘いものが好きなカミラでさえ、一口以上食べられないほどだった。

さらに、そんな生活をしているにも関わらず、アロイスはほとんど家から外へ出ない。せいぜい、カミラとお茶会をするために中庭に出るか、領内の魔石産出現場を視察しに行くくらいだ。趣味と言えば、食べることと本を読むこと。見た目通り人と話すことは苦手らしく、王都から夜会や舞踏会の招待状が来ても、丁寧にお断りの手紙を返すだけだった。

ふむ、とカミラは自室でひとり息を吐く。

まとめるとつまり、こういう感じだろうか。

一、食事量を減らす。

八食は多すぎる。多すぎる、などと一言でくくっていいのかわからないくらいに多い。絶食しろとは言わない。まずは一食でもいいから、減らしてみる。それから徐々に、人並みの量に合わせていくべきだ。

二、食事の内容を変える。

脂ばかり食べていれば、体が脂っぽくなるのも当然。砂糖も多すぎる。塩も辛すぎる。カミラから言わせれば、あんなものは料理も失格だ。甘すぎ、辛すぎ、脂すぎで、味なんてわかったものではない。

だいたい、甘いものを食べたら太るなんてことは、子供だって知っている。目標は脂半分、砂糖半分、ついでに塩も半分。これだけでもだいぶましになる。

三、運動をする。

言わずもがな。引きこもって食べ続ければ太るのは自明の理。まずは外に出る。歩く。そのうち走らせてみよう。

四、人前に出る。

人前に立つとなれば、自分を飾らなければならない。人前に出ても恥じないように、容姿を整えるものだ。太った体は引き締めるだろう。その上で、脂ぎった髪を整え、何年も着古したシャツを着替えてくれるようになったら言うことはない。

すぐに思い浮かぶのはこんなところだろうか。

――――それより絶食させて外を走らせた方がいいのでは?

などと内心で思いはしたものの、カミラはすぐに却下した。

自制心のない体に、我慢を強いる無理な減量は禁物。すぐに音を上げるに決まっている。

我慢ができないからこそのだらしない肉なのである。

――徐々にでいいわ。成果は急がないわよ。

先が長いのは覚悟の上。

まずは一枚、あの分厚い肉の皮を剥がしてやるのだ。