軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第8話:冒険者ギルドへ②

買い物という事で早速俺達は服屋へやって来た。

「ねぇ、お金無いのはわかってるけど……どうして中古のお店なの!?」

「流石にお洋服くらいは綺麗な物をって思ってたのに……」

驚く 細野さん(ミモザ) と悲しそうな顔をする 蒼井さん(ネモフィラ) 。確かに、俺は何も説明せずに行きつけの店に足を運んじゃったな……。

「あーえっと……。ごめん、説明を忘れてた」

「説明? 言い訳じゃ無くて?」

「あぁ、どの新人冒険者も通る道なんだけど。まずは先輩冒険者の服、所謂中古品だねそれを買うんだ。理由はいくつかあるんだけど、一番は先輩冒険者の服にはモンスターの血液が付着してるんだ」

「血液……」

蒼井さん(ネモフィラ) が血と聞いて顔を少し青ざめさせる。

「その血液の匂い、洗ってるから人間には少し臭いくらいなんだけど。それが野生生物に対しての忌避剤になるんだ、モンスターは野生生物より強いしね。それと、農家の人が買えるようにああやってお店でも皮袋に入れて売ってるし」

近くにある雑貨店を指差して説明をする、ワゴン方式の店で皮袋に入っているゴブリンの血が売られている、あれを畑の柵とかに撒いて猪とかを寄らない様にしているのだ。

「ごめん……私達飛ばされてすぐにこちらに来たから、文字は全然読めないんだ……」

「実は、言葉も少ししかわからないんです……」

「あ、そうだったごめん。それで、忌避剤として使われてるのもあって猪や熊に襲われ辛いんだ。だから新人冒険者は中古の服を買うんだよ」

これはギルドの新人教育でも言われるくらいの事柄であり、冒険者は臭い程未熟であると言われたりするくらいだ。

「それに、行商人や街の人も街の外に出る時は匂い付きの服に着替えたりするんだよ」

そんな説明をしていると古着屋へ新人冒険者と思わしき少年少女が入っていく。

「ほんとだ……」

「本当なのですね……」

店内は狭いのもあってしばらく待っていると、先程入って行った少年少女達が出てくる、入る前とは違い少し汚れた服を抱えている。

「まぁ、普段の服は別のとこに頼むし。まずはこのお店で冒険者用の服を揃えようか」

「わかったわ……」

「わかりました……」

納得してくれた二人を連れ古着屋に入ると、聞きなれた店員さんの声が聞こえた。

「おぉ、ホウショウじゃないか! いつ戻って来たんだい?」

「あっ、ホウショウさんだー! こんにちは~」

勝ち気な奥さんと、その娘さんの二人が明るい声で迎えてくれる。

「お久しぶりです、リンダさんアミーちゃん」

飛び付いてきた小さい看板娘を抱き上げる、その状態でクルクル回るとアミーちゃんは喜び出す。

「ロリコン……(ボソッ」

「小さい子が良いんだ……」

「待て、二人とも何か誤解してるぞ……」

言い訳……弁明をしようとしているとアミーちゃんが二人をジーッと眺める。

「ホウショウさん、この二人……すっごく綺麗だね! お嫁さん?」

キラキラとした目でこちらを見て来る、俺の腕から飛び降りて二人の周りをクルクルと回る。

「お洋服も綺麗……見た事無い縫い方をしてる……どこの国だろう……」

スカートの裾を摘まんだり手触りを確かめている。

「な、なに!?」

「ど、どうしたの!?」

「あーえっと……アミーちゃんは服が好きで、二人の服がこの世界じゃ珍しいから気になってるみたい」

「そうなんです……ひゃう!?」

「あっ……だめっ……」

――スッパーン!!

飛んで来たサンダルがアミーちゃんの頭にヒットする、当たったアミーちゃんは悶絶している。

「こらアミー! いくら珍しくても節度をわきまえなさい!! ごめんなさいね二人共」

頭を深々と下げるリンダさん、言葉は通じないけど二人も意味が分かった様だ。

「そ、そんな……頭を上げて下さい……」

「大丈夫です、今後は気をつけて貰えれば……」

二人の言葉をリンダさんに伝え頭を上げてもらう、それから用意していた〝設定〟を話した後、サイズ諸々を測った二人の服と装備品を見繕ってもらう事になった。

「すまないね、代わりにいつもより安くしておくよ」

「良いんですか?」

「迷惑かけたしね、それにホウショウの門出じゃないか、これくらいはさせてくれよ」

「ありがとうございますリンダさん。後で 旦那(ランド) さんの工房にも顔を出しますね」

「そうかい? いつも、悪いねぇ……」

リンダさんの旦那さんでランドさんは元冒険者で俺とアインと一時期パーティーを組んでいた、だが2年前に親父さんが病気で亡くなり工房を継いだのである。

「いえいえ、ランドさんの作るのは痒いところに手が届くものばかりですから」

事実、冒険者の中で愛好家も多いくらいだ。

「あはは! 継いだ時は渋々だったんだけどねぇ~」

「今じゃ、命を預けれるくらいの腕前ですよ」

腰に備えた柄を叩く、遠征帰りなのもあってちゃんとした整備に出すつもりで持って来ている。

「そういや、二人は前衛かい? それとも後衛?」

「あー、わからないですね。これからギルドで適性検査をしますし」

「そうなのかい、じゃあ防具は後で来なさいな、サイズの合うものを見繕っておくから」

「わかりました、適性検査だけなので一時間くらいしたらまた来ますね」

「あいよー。それじゃあ、服のほうは後で着替えれるようにしておくかい?」

「ありがとうございます。それと、女性用でそこそこ上等な普段着を買える所はありますか?」

長い事この街に住んでるけど服は基本ここで買ってるから、あまり詳しくないのである。

「上等な普段着ねぇ……それなら娼館のが早いだろうね」

「娼館? そう言われれば……、普段着も用意してたし服の種類は多いか……」

俺も結託してコスプレと称して色々と作ったもんな……。

「まぁ、後は貴族様用のお店ばかりだからね、あそこら辺は紹介状無いと入れないから……、もし必要なら伝手のある店を紹介しても良いけど?」

「うっ……貴族用は流石に手が出ませんよ」

1着で金貨数枚飛ぶお店は流石に無理がある、これから家具も買わないといけないし。

「だろうね……まぁ、頑張りなさいな。はい、これくらいかかるよ」

「わかりました……うっ、やっぱり高いなぁ……」

手渡された目録を見るとやはりいいお値段がする、まぁそれでも安くして貰っているのがわかる。

「あはは、男なんだから頑張りなさい! それと、半分はツケで良いからさ。二人が無事、見習いを卒業出来たら支払ってちょうだい」

「わかりました、助かります」

「まぁ、ホウショウの弟子となれば見習い卒業はすぐさね」

「いやいや、出来の良い子達に当たるだけですから」

「謙遜しないの、期待してるんだから早くいってらっしゃい」

「おかーさーん! 準備できたよー!」

裏からアミーちゃんがリンダさんを呼びに来た、作業場の準備が出来たみたいだ。

「それじゃあ、よろしくお願いします」

「はいよー頑張りな~」

「また待ってまーす!!」

二人に手を振られ店を後にした。