軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第8話:暗殺者?

「きえぇぇぇぇぇい!!」

大きな声を上げる男爵の攻撃を回避しながら声をかけるが……酔っているのか聞いて無いのか激しい攻撃が飛んで来る。

「いやいや、待って下さいって!! ちょ、話聞いて!!」

「ちょわぁぁぁぁ!!」

「駄目だ、話を聞かない人だ!」

ナチュラルに身体強化使ってるし、元冒険者かと思う程攻撃が鋭い。

(無理に攻撃すると怪我させそうだし……どうしよう)

「ほぉぉぉぉぉ!!」

「よいしょっと!」

右ストレートを避けて身体を持ち上げる、そのまま浮き上がらせると干し草の上に投げ飛ばす。

「これで大人しくなるかなぁ……」

ほぐしてある干し草だから大丈夫だと思うけど……。

「とわぁぁぁぁぁ!!」

「あっ……駄目ですか……」

この老人元気だな!!

(気絶させる? させれるかなぁ……)

「危ない!!」

男爵を強めに突き飛ばす、その直後暗闇から剣が振り下ろされた。

「クソッ」

再び干し草に突っ込んだ男爵を背に暗闇に視線を向ける、20人とは随分多いな……。

「どこの子飼いかは……教えてくれなさそうだね……」

無言で剣を構えにじり寄って来る。顔は布で覆っていて装束は汚れているが鎖帷子に軽装鎧、身なりが統一されてるから盗賊では無さそうだな……。

(装備からして男爵を狙った暗殺者か、それともこの間の大粛清の際に逃げた兵士か……)

「どちらにしろ、それ以上踏み込むならこっちは容赦しない。今の内ならこちらも見逃せる、剣を置いて投降しろ!」

剣を振り一線引く、もし野盗であればここで引くと思うのだが……。

「そうか……それが答えか……」

一線を越えて進む、仕方ない……。

「じゃあ、何人か生きてればいいから。後は死ね……」

「——!?」

事前に無詠唱で待機していた石の槍を上空から降らす、轟音が鳴り暗殺者達が瞬く間に息絶える。

「うぅ……」

意図的に被害の少なくした者達に寄り顔を持ち上げる、相手の顔が恐怖に歪む。

「さて、誰の指示だ……それに、今なら回復術師が居るから命は助けてやれるが? ああはなりたくないだろ?」

顔を一番損傷の酷い暗殺者に向ける、内臓や脳がばら撒かれていてそこいらのスプラッター作品より酷い有様だ。

「後、10数えるまでに言え、言わなきゃ 死体(アレ) になるぞ。10……9……」

「わ、わかった!! わかったから!! 言う、言わせて下さい!!」

悲鳴のような声を上げる、男。それに付随して他の者達も声を上げる。

「い、いや! 俺の方が有益な情報を!!」

「俺のが!!」

「私のが!!」

最後、指揮官っぽい人なんだけど……そんな簡単に裏切って大丈夫なのかよ……。

呆れていると、正気に戻ったであろうエルヴィール男爵が起き上がった。

「いつつ……流石にこの歳だと身体にこたえ……なんじゃこりゃ!?」

「あ、正気に戻りましたか……男爵に差し向けられた暗殺者ですよ。生きてる人が情報を教えてくれるそうなので運ぶの手伝ってもらえますか?」

「お、おう……」

それからしばらくの間生きてる人間を移動して、手がかりを探す為に死んだ人間の装備を剥がして燃やして埋める。この世界はアンデッドとかは基本的に居ないのだが感染症の原因になったりするので火葬が主流だ。

「さて……お待たせ、 奏さん(ネモフィラ) 出血を押さえる感じで頼めるか?」

「わかりました旦那様。ですが一応拘束はしておいてください」

「あぁ。すみませんが男爵も手伝ってもらえますか?」

「そうじゃな……ほれ」

うおっ、結ぶの早い……。しかも馬とかを柵に繋いどく縛り方だから簡単には外れないやつだし。

それから全員の拘束を終えて治療を施す、骨折や切った腱は治療をしない。彼らの今後次第だけどね。

「それで、どうして男爵を狙ったんだ?」

「すみません、俺達グリオール子爵の所で騎士をやらせてもらってたんですが。つい最近子爵がこの国に反乱を起こしまして……戦うのは嫌だったんですが、家族も人質にされて……」

「俺達は部隊が王国騎士団に潰されて、散り散りになってからほとぼりが冷めるまで山で暮らしてたんです」

「グリオール様のとこは取り潰しになって、見つかったら殺されるとおもって……」

「でも、もう山で生活するには限界で……」

「すみません、縛り首だけはぁ……」

(あっれぇ? なんか予想と違うんだけど……)

「えっと、君達は暗殺者じゃ無いの?」

「んだんだ」「そうです!」「そんな大それたこと!」

「えぇー……」

でも明らかに命を狙ってる素振りあったよな?

「じゃあ質問、君達を指揮していた人は。知ってる人?」

「いえ! 知らん人だ! 5日くらい前にいきなり参加してきたんだ!」

「でも、子爵様の近衛と言ってたよな」

その言葉に全員が頷いた。

「そうなの?」

部隊長らしき人、というか部隊長だった人に聞く。

「はい、指揮権は上の人にありますので。近衛と言われては……」

なんだか嘘をついてるようには思えないな……。

「うーん……どうしよう。盗賊になったらどの道処刑は確定だしなぁ……」

悩んでいると、エルヴィール男爵が肩を叩く。

「君達、山に入ってどのくらいだ?」

「えと、二週間くらいですぅ……」

「そうか……ホウショウ殿、この件ワシに任せてくれんか?」

「でも……命を狙われたんですよ?」

「それくらいはわかっておる、だがなこの1週間程、熊や猪、ましてや一番に鬱陶しい鹿も出ていないんだ。恐らく彼らが駆除してくれてたのだろう……」

恐らく、男爵は彼等を許したいのだろう。まぁ、俺も今生き残った人達が暗殺者には見えないけどさ……。

「わかりました、彼等は途中の大きな町まで連れて行ってから奴隷落ちにしましょう。その後は男爵の好きにして下さい」

「わかった。早速、明日向かう事にしよう」

そうして、エルヴィール領で過ごす夜は、終わりを告げるのだった。

◇◆◇◆

という訳で、翌朝準備を整えエルヴィール領を出発して丸一日。近隣で一番大きな町であるカラッサという町へやって来た。

「はい、これで終わり。しかし、良いのかい? 騎士経験者ならウチ高く買い取るよ?」

「大丈夫じゃよ、それに畑仕事が出来る連中のが欲しいからな」

「そうかい、じゃあお代は――」

と、奴隷商とのやり取りを終えて街の散策に乗り出す。ここは王都から一番遠く魔の森に一番近い町だ、こう見えてしっかりと城壁がありバリスタなんかも設置されている。

「しかし、いつ来てもここは凄いにぎわってるにゃあ」

「そうですね……大半の人は冒険者みたいですわね」

「それと、兵士や騎士も多いわね……それと同時に酒場に宿屋も多いわね」

「そうだな、おっと……」

「あだだだだ!? すまねぇすまねぇ!!」

奏さん(ネモフィラ) の財布を盗もうとしたスリを掴み、そのまま腕を捻り上げる。

「アホな事するなよ、ったく……」

解放すると慌てて逃げていく。全く、バレるんだから相手を見てやれっつうの……。

「すみませんでしたわ、旦那様……」

「まぁ、仕方ないよ。この時間はスリも多いし……。とりあえず宿を探しちゃおうか……」

とりあえずお金に糸目をつけず宿を探す、グレードが上がれば安全性も増すからね。

「うーん、聞いた話だとここが一番良いみたいだな……」

煌びやかという訳では無いが馬房も奥にあり管理人も居る、これならば問題は無さそうだ。

「ごめんくださーい」

とりあえず入り声をかける、すると女将らしき人が奥から走って来た。