軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第2話:娼館と奴隷

「あぁ……飲み過ぎたな……」

アインを送り届けた後、夜道をフラフラと歩く、調子に乗って話が弾み思ったよりも酒が進み過ぎたみたいだ。

こういう時は人の多い歓楽街を避けた方が余計なトラブルには巻き込まれないで済むというのもあり薄暗い夜道を進む。

「————!!」

何やら前方で人の声とガチャガチャと音が聞こえる、しかも近づいてきている様だ。

「おら!さっさと歩け!!」

「痛い!!」

じゃりじゃりと金属音を鳴らせ人が歩いてくる、恐らく奴隷商だろう……この時間帯商品を運ぶにはこの道を使う方がスムーズだしな……。

(それよりもさっき聞こえた言葉……日本語だよな……)

酔って壁にもたれるふりして様子を窺う。すると鎖につながれた懐かしい制服の少女が二人、娼館の専属奴隷商に連れられている。

「ねぇねぇ恵ちゃん、私達どこに連れてかれるのかな……」

「わからない……言葉も通じないし……」

「何をごちゃごちゃ言ってる! 早く歩け!!」

「「きゃあ!?」」

軽い悲鳴とジャリジャリと鳴る鎖の音が響き通り過ぎる、どうしたもんか……。

記憶に薄っすらと残る通り過ぎていく彼女達、それは俺のクラスメイトだ。

「見て見ぬフリすれば……嫌な事を思い出さずに済みそうなんだけどな……」

暫く酔いが回った頭で考える、考えれば考える程ぐるぐるとした葛藤が腹底にたまっていく。

「——はぁ……、行くか……」

すっかり酔いの冷めた頭で、歓楽街へ足を向けるのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆

「いらっしゃいませ、お久しぶりです」

娼館の前で黒服に声をかけられる、小奇麗な格好をしているがこの人はれっきとしたここの奴隷だ。

「よお、ガルデン。頼みがあるんだが……」

「はい、ヒヨ……ホウショウさん。大旦那様に取り次ぎますね」

娼館の中に通される、豪奢なロビーには薄衣の女性達が微笑みを浮かべて男性達へ愛想を振りまいている。

「あら? ホウショウじゃないの?」

「あぁ、カトレアさんこんばんは」

深紅の髪色を持つ胸の大きな女性がすり寄ってくる。彼女はここの古参で上級ランクの娼姫である、そして俺の 初めて(童貞卒業) の相手でもある。

「依頼から帰ってきたんだね、今日は遊んでいくのかい?」

「あーごめん、今日は大旦那に用事があってさ」

「そうかい、そういえば新しい子が連れて来られたみたいだね」

「そうなんだ? 知らなかった」

「へぇ……」

ニコニコと笑身を浮かべながらこちらをじっと見る、この見透かされるような目に弱いんだよなぁ……。

「そう、まぁ丁度良いんじゃない? 店に出すのは2~3日仕込みをしないといけないだろうし。可愛らしい名前をつけてあげなよ」

そう言って表情を崩さずに手を振る、うーん……お金が出来たのもあるし、遊びに行かないと怒られそうだな。

「ホウショウさん、大旦那様への確認終りました、今なら大丈夫です」

いつの間にか確認をとって来たガルデンが声をかけてくる。

「それじゃあカトレア、また来るよ」

「えぇ、楽しみにしてるわねヒ・ヨ・ウ」

最後に耳元で名前を言われドキッとしてしまった、全くこの人は魔性の 女性(ヒト) だ。

◇◆◇◆

「大旦那様、よろしいでしょうか? ガルデンです」

ガルデンが扉をノックする、しばらくすると中から入れと聞こえてくる。

「おお、ヒヨウ。丁度いいところに来てくれたな!」

ガルデンが開けてくれた扉を入ると、中にはガルデン並みに大きく、そして額から顎にかけて大きな傷のついた男性が近づいてくる。

この人は皆から大旦那と呼ばれる元貴族の坊ちゃんで、8年くらい前に俺が流れ者で旅をしていた時に盗賊から助けた人だ。

命の恩人という事もあり最初は色々とよくしてもらった、その内に「俺は世界一の娼姫を集めた娼館主になる!」とかいうヘンテコな理想を語り出したので、それに乗っかって色々と現代のエロについて教えたのだ。

その結果、家からは絶縁されたが今ではこの街で一番の娼館になっちゃったのだ。

「それで、どうしたんだ? 夜のお相手なら カトレア(ウチのNo.1) が空いてるぞ?」

「いやいや、そんなホイホイと遊べないぞ。カトレアと遊んだら今回の稼ぎが吹っ飛ぶわ!」

そう言うと、悲しそうな顔をする。

「なんだよ、お前ならほぼお代はいらんぞ? カトレアもお前なら喜んで相手するし……」

「あのなぁ……カトレアやお前は良いかもしれないけど、ごく普通の冒険者がカトレアとお安く遊んでみろ。この娼館の価値が下がるぞ?」

そう言うと、もっと悲しそうな顔をする。

「お前なぁ……それでも金等級かよ」

「銀・等・級だ! 間違えないでくれ」

「そうだったか? まぁ俺にとってはお前は 天星(てんせい) 級だよ」

バシバシと肩を叩いてくる、気のいい奴なんだけど少し俺を過剰に評価してるんだよなぁ……。

「それで、ここに来た理由なんだが頼みごとがあってな」

そう言うと大旦那は喜色を浮かべる。

「珍しい、ヒヨウからそう言ってもらえるなんてな」

喜んだ様子の大旦那に案内され部屋の中へ進み、ソファーへ腰を下ろした。