軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話:第三王子-アラテシア-①

「では、こちらになります~。私的な食事会ですがあまり無礼な事はしない様にお願いいたしますね~」

「は、はい……」

メイド(ミレディ) さんに連れられ部屋へ入る、今までの煌びやかな廊下とは違い比較的に質素な様相だ。

「やぁ! 君がホウショウ殿だね!」

「——っ!?」

いきなり声をかけられ驚く、今まで感じて無かった魔力がいきなり目の前に現れたのもあり身構える。

「アラテシア様、お客様が驚いて目を白黒させてますよ~」

「ごめんごめん! ついつい気になる人だったからね!」

ニコニコといたずらっ子の様な笑みを浮かべる王子、これが噂の神の眼を持つ王子か……。

「本日は、お招きいただき誠にありがとうございます。一介の未熟な冒険者ながら王族の方にお目通り出来る事を幸いに思います」

ペースを崩されたけど、まずは挨拶をしないと。

「いえいえ~僕は、アークフォート聖王国の第三王子のアラテシア・アークフォートだよ、よろしくね!」

手を差し出してくる王子、ニコニコとしているがどういう意図だろう……。

普通へは王族に触れるのにも許可が居る、だから今ここで握手を返すのは悪手だ。

「アラテシア様、一般の方は王族に許可なく触れないのですよ~」

ミレディさんがしれっと助け船を出してくれる。

「へっ? そうなの? 面倒だなぁ……あれ? でもミレディは触ってるけど?」

「それは、私がアラテシア様のメイドですので~、身の回りのお世話をするのに許可を取っていたら大変ですから~」

「それもそうか、じゃあこうすればいいんだね」

諦めてくれたのかと思いきや、一歩距離を詰め俺の手を取る。

「これなら大丈夫だね! よろしくホウショウ殿!」

手を握りぶんぶんと振られる、ミレディさんの方を見るとニコニコとして何を考えてるかわからない。

「あっ、はい……お願い致します……」

まったく読めない王子に戸惑いつつ、にこやかに振って来る王子の手を握り返すのだった。

◇◆◇◆

「さて、積もる話もあるがまずは食事にしよう! ミレディ、頼むよ」

「はい~お任せを~」

扉から裏に消えたミレディさん、手慣れた手つきで料理を運んで来る酒場じゃ見た事無い様な品の料理が次々と出てくる。

それを凄く綺麗に……もはや絵画とも言える姿で食べる第三王子。俺の思い出しながら行っているぎこちないマナーとの違いが凄い。

(やべぇ、味がしない……普段じゃ食えない程の良い料理なのに……)

出された料理を、丁寧に……粗相の無い様に食べるので精いっぱいだ。

「あーホウショウ殿……、大丈夫かい?」

「あっ、すみません! アラテシア様の所作が綺麗すぎて、俺……自分はこういった料理はあまり食べ慣れておりませんので……」

「そうだったのか、ここは公の場では無いから気にしないで良いんだよ? ここは僕とミレディしか居ないから!」

「そうですよ~アラテシア様も私も気にはしませんので。味わって食べて下さい~」

「あっ、はい……」

とは言えこの世界は、食事会でのマナーはホスト側が基準だ。故に今、俺が求められているマナーのレベルは王族並みという事だ。

「うーん……そうだ! ミレディ」

「は~い」

何かを耳打ちする 第三王子(アラテシア様) すると、クスリと笑ったミレディさんが俺に近づいて来る。

「ふふっ、ホウショウ様。少し動かないで下さいねぇ~」

背後に回ると俺の両手に手を添えるミレディさん、柔らかい手を感じるよりもかなり手早くナイフとフォークが動かされる。

「ちょっ!? ミレディさん!?」

「大丈夫ですよ~そのまま私に任せて、もし失敗しても私の粗相ですみますので~」

触れて来る手の温度と、耳元で囁かれれる吐息、今度は別の意味で食事どころでは無くなってしまうのだった。

◇◆◇◆

「さて、それじゃあ本題を話そうか」

食事を終えた俺達は部屋を移動する、今は談話室に通されてワイン片手に席にかけている。

「本題……ですか……」

食事の後に談話室まで連れて来られた時点で何かあると思ってたけど、これは不味いかもしれない。

「うん! っとその前に、これ取っちゃわないと……」

にこにこと笑いながらいつも付けている眼帯を外し始めた第三王子。

「さてと……さぁ、始めようか……」

第三王子が目を開き俺へと視線を向ける、綺麗な虹色の瞳が俺を捉えた瞬間ぞわりと身体が震える。

(いや……魂が震えるっていうのが正しいのか……)

心臓じゃない、もっと体の奥底にあるものを握られる感覚だ。

「ふぅん……そうなんだ……」

ニタリと先程の柔和な笑みとは違い、気色の悪い笑みを浮かべる。

(なんだ、この圧倒的な魔力……全ての事が見透かされるような……)

「まずっ……がはぁ!?」

「あらあら~、そんなに慌ててどこへ行こうというのですか~」

慌てて逃げようと魔力を練った瞬間、ミレディさんが俺を組み伏せる。

「ミレディ、放してあげて」

「はい~」

のほほんとした声で喋っているが、逃がさないといった空気が俺の足を竦ませ搦め捕っていく。

「大丈夫、僕は悪い奴じゃ無いからさ……ねぇ、タカトリ・ツバサさん」

そう言った第三王子の顔は、先程の無垢さは微塵も感じられなかった。