軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第10話:冒険者ギルドへ④

「おー、遠目で見ても別嬪さんだが、近くで見るとこりゃまた一段と綺麗だな」

「そうですね、アニキ!!」

俺を押しのけた男二人が 蒼井さん(ネモフィラ) 達へまた一歩近づく、見た目が威圧感たっぷりなのもあり二人の表情が強張る。

「ひっ……」

「えっ、えっ……と……」

そんな二人の前に割り込み、手を引いてカウンターの入り口に誘導する。

「ミラさん、とりあえず二人を裏に連れて行ってもらえますか?」

「はイ、二人共こちらニ」

カウンターの内側にある書類棚の方に連れて行かれる、あそこからギルドの裏へ入っていけるのだ。

「おいおっさん!! 俺達が話しかけてるのに邪魔するな!!」

「見た事ねぇ顔だなぁ~ まぁ、銀等級の俺達に舐めた真似してくれたんだ。わかってるよな?」

銀等級かぁ……めんどいな。

「わかったよ……。ミミルちゃん裏の訓練場借りるね!」

「ひゃ!? ひゃい!!」

近くに居た新人受付嬢の子に断りを入れて、訓練場へ向かう扉に足を向ける。

「あっ、クソ待てぇ!!」

サッと扉を潜り訓練場へ出る、訓練場は広さが小さめの体育館くらいあるので新人の訓練から冒険者同士の小さなケンカまで、ここで行われたりする。

「きたきた、ここだと後片付けが楽なのでここでやりましょう」

「いい度胸じゃねーか! おい、やるぞ!!」

「へい! 兄貴!!」

武器を構えた男二人、片方は折り畳み式の槍、兄貴と呼ばれた男は大剣だ。

「ひょうっ!」

伸ばされた槍を避ける、折り畳んでる分見た目より伸びて不意打ちや奇襲に強いだろう、だけど……。

「よっと!」

空間収納(アイテムボックス) から 外套(マント) を取り出す、槍に絡めて武器を奪う。

「んなぁ!? ぎゃびっ!?」

そのまま遠心力で勢いをつけた柄で上から頭を打つ、中々の威力だったのでふらふらと体勢を崩し気絶する。

「えっと……本当に銀等級?」

あまりの弱さに唖然としていると、先程までニヤニヤとしていた大男が焦りを見せる。

「てめぇ!!」

男が力任せに大剣を振り上げた。

◇◆◇◆◇◆◇◆

「という訳です」

「ふむ、そういう事か……後はこちらで引き受けるよ。ありがとうホウショウ、職員を守ってくれて」

事態を収拾した俺は、この柔和な笑みを浮かべるエルフの男性の部屋に連れ込まれた。決して変な意味じゃなく、こう見えてここのギルドマスターなのだ、ちなみに優に300歳は越えているエルフの中でもそこそこ長寿の人だ。

「いえいえ、こちらもいつもお世話になってます」

初めて会った時の、不審者みたいな俺を深く詮索しないし、今回のネモフィラとミモザの事も何も聞かずにホイホイと受け入れてくれる程の人だ。曰く当人には〝善悪を一目で判断できる魔眼〟があるらしい。

それに「君は何か隠し事をしている様だけど、本当に綺麗な心を持っているねぇ」と初対面でいきなり言われた時はびっくりした。

「しかし、君も結婚か……人の子は成長が早くていけないや」

ギルドマスターが淹れてくれた紅茶に手を付ける。

「けっ……そういうのじゃないですよ!?」

「でも君の事を〝旦那様〟って呼んでるじゃないか」

「それはその……便宜上で……」

「ふむ、君がそう言うならそう言う事にしておこう。ともあれ君達にちょっかいをかけて来た二人の身元も判別が出来た……」

魔法信報の魔道具から紙を出す、そこに書かれていたのは二人が元々極北地域の冒険者で等級は銅級中位の冒険者。いつからか極北から消え、流れ着いたあちこちで銀等級冒険者の名前と身分を偽っていたみたいだ。

「身分詐称って相当重い罰ですよね?」

「あぁ、特に他の冒険者の名前を偽っているし相当だね……」

今回は余罪も多そうだし銀等級冒険者の名前に泥を塗った事もあるようだ。そうなると犯罪奴隷落ちは確定だし、ギルドのお怒り次第で最悪は死罪もありえる。

「可愛そうに……」

「仕方ないよ、階級の詐称は最も重い罰だ、これはギルドの信頼にも関わるからね」

「そうですね、馬鹿な初心者が稀に見得張りでいるけど、それとは訳が違うもんなぁ……」

駆け出しの子ならものすっっっっっっごく怒られるだけで済むけどね。

「そういう事。それと君、今日から金等級ね」

「——!? げほっげほっ!!」

突拍子もない事で紅茶が鼻から飛び出た。

「おやおや、汚いなぁ……子供じゃ無いんだから……」

「い、いや! 何で俺が金等級!?」

「いやねぇ……君の仕事で銀等級はもう無理なんだよ。思い当たる節、あるでしょ?」

そう言われ、今回の仕事で上乗せ報酬の金額を思い出す。確かに上乗せ分を考えると金等級の依頼料と遜色ない位の金額だった。

「うっ……」

「それに、君の依頼達成率は96%それだけの成功率を維持しておいて銀等級は下の者達に示しがつかないんだよ、冒険者としての意欲を削ぎかねないし」

「うぐっ……」

「極めつけは君が買ったあの奴隷、あれは 最高級娼館(アラビアンナイト) の奴隷でしょ? あそこの奴隷を所有しておくなら金等級の方が都合が良いよ」

「そう、ですよね……」

金等級となると、そこいらの騎士よりも強かったりするので、引き抜きをされないようにギルドも待遇が良くなるからな、何かあった時は庇ってくれたりするだろうからなった方が良いけど……。

「わかってるさ、君が目立ちたく無い事は重々承知だよ。でもね、君は一人じゃなくなるんだ家族が出来る。昔、君が言ったじゃないか『強くなれるときにしておかないと、いざって言う時に後悔するぞ』ってね」

昔言った漫画の台詞を返される。でも俺、そんなキメ顔で言ってないから!!

「わかりました、昇級の事お受けいたします」

参りましたと言わんばかりに肩を竦める。

「そうか、では早速君に一つ仕事がある」

「……まさかその仕事の為に、俺を推薦したんじゃ?」

「ナンノコトカナー。でも、引き受けてくれるなら、君が良かったんだ」

朗らかな笑み……今はあくどい笑みにしか見えないが、それを浮かべながら依頼の話を始めた。