軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第65話 グラドラム決戦終結

魔人の船の入港の作業が終わったらしい。

ぞろぞろと魔人が降りて近寄ってきた

先頭に来たやつは蜘蛛の体に人間が生えている・・つぎは、おっ!普通の人間?いや、目がいっぱいある・・、次のやつは蝙蝠のような羽が生えている、陽の下にいるという事はヴァンパイアじゃないよな、よく見ると何かやたらイヤらしい。つぎはでっかい大男が出てきた、よく見ると一つ目だ。

「凄いな・・魔人って伝説の生き物のオンパレードじゃないか。」

オーガが複数人いる!オーガ、なんか安心するなぁ・・イノシシのような顔をした大男もいる!

そしてその魔人の列が左右に割れた。そして奥から人が一人歩いてくる。

「ガルドジンはどこへ?どちらにおるのじゃ?」

体の小さい華奢目の女の子?ちっさ!子供・・ではないよな。でもぺったんこだ・・体つきは大人っぽい感じもするが、幼い感じもする。それにしても、かわいい。可愛い女の子だ。前世でこんな感じのほうきに乗った魔法使いがいたような?ものを運ぶ仕事をする・・

しかし露出の多い煽情的な服装と、言葉遣いが全く似合わない。

「・・・・」

「なんじゃ?」

と魔人たちが割れて、一直線にガルドジンまでの道が出来上がった。

グォォォォォ

その女の子は火をまき散らしながら、一気にガルドジンと俺の前に低空で飛んできた!

「ガル!ガル!どうしたのじゃ?なんでこんなひどい事に!!」

怒りながら泣いている。みなその迫力に黙ってみているしかなかった・・

「ルゼミアか・・」

ガルドジンが見当違いの方向に手を差し出すと、ルゼミアと呼ばれた魔人の王はそっとその手をとった。

「だれじゃ!誰がこんなひどい事を。いま・・治してやるからの!」

「無理だ。ルゼミア、俺はかなりひどい状態だ。たぶんすぐには治らん…。」

「そんなことない…うっ」

ルゼミアはガルドジンをみて息をのんだ。たぶんそうとう酷いんだろう。

「しかしだ!なにもしないでなどいられるものか!」

ルゼミアの手から光がほとばしると、ガルドジンの傷はうっすらとひいていく。だが、またすぐ傷痕が浮き上がってくる。

「中がかなり酷いんだ。」

するとルゼミア王の全身が輝きを放ち、明るすぎて直接みていられないほどになった。

シャァァァン

だが、次の瞬間光が収まり、ルゼミアの手首を握るガルドジンがいた。

「なにをしている。おまえが死ぬだろう!」

ガルドジンが怒っていた。

「いいんだ!私の命など!」

「お前には魔人の民に対して責任がある!」

「ぐっ!」

ルゼミアはどうにか感情を抑え堪えようとしているらしく、わなわなと震えている。ルゼミア王の頬にガルドジンの手がスッとのびる。

「そしてな・・こうしてアルガルドが俺の元に来てくれたんだ」

「ほう、お前が・・アルガルドか。噂通りただの人間のように見えるのだな。」

「は、はい。へ、陛下、私は人間として育てられました。」

「ふん。あの人間の女・・グレイスの面影もあるようだな。」

「そうか・・そうなんだな。」

ガルドジンが目が見えないためルゼミア王の言葉に反応する。

しかし・・俺も偉い人だと思うと緊張してしまうな。

「はて・・お前の元へヴァンパイアを迎えに行かせたのだがな・・」

「はいおります。今は昼間ゆえ寝ておりますが。」

「奴らへの繋がりが途絶えて心配しておったのだ。」

やばい、あの2人は俺に寝返ったんだった。どうしよう…もしばれたらどうなるかな?いきなり殺されたりはしないよな。

「顔を良くみせよ・・しかしお前・・シャーミリアに懐かれなんだか?」

「親しくしてもらっています。」

「そうか・・あれの好みの顔をしておる。妾ににて趣味がいい女での。」

「は・はは・・」

どうしよう、俺の部下になっちゃったって言ったらどうなるんだろう。すんごい怒られそうな気がする。

「しかし・・アルガルドよ・・お前は・・いや・・。」

「なんでしょう?」

ルゼミア王は俺をみて何か思うところがあるみたいだ。なんだろう?俺の何かがおかしいのだろうか?なにを言いたかったのかが気になる。

「まあよい。それでバルギウスの人間どもはどうした?」

「私達の仲間で大方片付けました。」

「1000人のバルギウス軍を片付けた?バルギウス軍を倒した大軍はどこにいるのだ?」

「いえ・・戦ったのは、4人の女子供と、オーガ3人、遣わされたヴァンパイア2人です。」

「それだけ?いくらシャーミリアがいたとはいえそれはないだろう。相手は?1000人はくだらないのではなかったのか?敵は無能の集まりだったのかえ?」

ルゼミア王はそんなわけない!というポカンとした間の抜けた顔をした。

「いえ確かに1000人はおりましたし、かなりの手練れもおりました。」

「そうか・・人間はかなり弱体化してると見えるな。」

ルゼミア王は何に納得したのか分からないが、深くうなずいていた。

「しかし、まだ数十名が家々に潜伏中ですので、降伏勧告をうながしたところです。」

続けて俺がいうと…

「なあああぁぁにぃぃぃ!!」

ん?いまルゼミア王の口から火が出た気がする。振り向く目にも火?なんか、すっごい怖いんだけど、地獄の門を開いたような恐怖が襲う。

「ひっ!」

あまりに怖くて変な声をあげてしまった。

「なあぁぜぇ、自分の父親がやられて敵を生かしておるのだぁぁ!」

「ひぃぃぃぃ」

怖い、怖いよう。

「ま、まてルゼミア!アルガルドにもなにか考えがあってのことだ。」

「そ、そうです!そうなんです!」

ガルドジンと俺が慌てて弁解する。

「うるさい!」

ルゼミア王はスッと手をあげた。すると周りにボロをかぶったようなふわふわ浮いてるやつらが急に出てきた。手がガイコツだが、フードから覗く目だけが光を放っていてあとは真っ黒だった。そいつらがふわりと街の中に飛んでいく。

「追え」

ルゼミアが言うと、魔人たちが街の中に入っていった。

「ぎゃああああ」

バリーン

「う、うわああ」

バン

「ああああ」

ドサ

建物の中から何か恐ろしいものを見たような顔で、外に飛び出してきた。そこに魔物達が襲いかかった。

ドチャ!

一つ目の巨人の棍棒で人がぺちゃんこになった。

ブシャー

イノシシの大男が人を手で持って二つに引き裂いた。

「うわああ!こっ降参だ!アブっ」

真っ二つに斬れた。オーガの剣が走る。

「やめ。やめてぇぇぇ」

複数の目の男に睨まれておかしくなってるやつがいる。

バサバサバサバサ!

鳥女から上空高くに連れていかれたやつが、かなりの高さから落ちてきた。

「わぁぁぁぁぁあああ!!」

ドサッ

静かになった。

「そ、そんな…」

降伏勧告を出したのに兵士は問答無用で殺されていく。そんな恐怖の光景がしばらく続いたが、すべて終わったらしく魔人がみなルゼミアの元へ戻ってくる。

「片付きました。」

牛の角を生やした屈強な男が報告してきた。

「ご苦労。」

ルゼミアが手で下がれと言う。

「ガルドジン!みーんな始末したよ」

にこにこしながらガルドジンにルゼミアが伝える。さっきあんなに怒ってたのに?怖い怖い。

「しかしな。ガルの子もガルに似て甘いようだねぇ、優しいのも時と場合によるんだよ。そこがいいんだけどねぇ。」

ルゼミアが俺の頭を撫でて微笑みながら言う。

「は、はい」

うえーん、怖いよぉ。

・・・という事はグラドラムの首都にいるバルギウス兵は・・全滅したという事だ。

「ガルよ。妾と共に行くのだ。どんなに時間をかけてもガルを治す。」

「おそらく、目や内臓までは全て治らんだろう。放っておけ。」

「だめだ。放ってはおかない」

「ダメだ・・・いや、やはり・・連れて行ってもらおう。」

「そうだな!わかった!」

ガルドジンが何か心変わりしたようだった。どうやらなにか・・たくらみがあるらしい。ルゼミアに何かをお願いしたそうだ。ルゼミアは二つ返事で喜んだ。

「その代わり、俺達全員を連れていけ。俺の仲間を全て治すと約束するなら一緒に行く。」

「全員?」

「ああ、俺の部下たちとアルガルドの仲間全員だ。」

「そんなこと容易いわ。」

アルガルドは俺達も全て連れて行けという。人間でも大丈夫なものなのか?

「あ・あの、人間が行っても大丈夫なのでしょうか?」

「お前は見た目だけだろう。問題ないわ」

「いえ、俺の仲間は人間ですが・・」

「そうなのか?」

「はい。みんな出てきてくれ」

車の中からイオナとミーシャ、ミゼッタ。車の天井からマリアが降りてきて集まる。

「この者たちはなんじゃ?」

「私の育ての母とその従者たちです。」

「ラウル、アルガルドの育ての親にあたります。イオナフォレストと申します。」

「おぬし身重ではないか?よくぞここまで逃げてこれたな。ここからは安心するがよいぞ!」

「ありがとうございます。」

イオナが深く頭を下げた。

「わかった。ガルドジンがついてきてくれるのなら、お前たちを招き入れることなど何でもないわ。お前たちを食うような奴や脅かすような奴がいたら天罰をくだそう。妾の下についているものでそんな不届き物はおらんがな。ユークリット公国からの来賓として迎え入れるぞ」

「お願いします。」

「それでは行くぞ」

いきなりですか!?いやいやいやいや。まってまって!俺は慌ててルゼミア王に進言する。

「あの・・お言葉ですが、街をこのままにしてはいけません。ここの民もこのままでは辛いでしょう。」

「おお、そうか。なら配下に手伝わせ片づけさせよう。」

ルゼミアのしもべ達がぞろぞろと街の中へ行こうとする。

「あ、あの!ちょっと待ってください!」

俺はもう一度ルゼミア王を引き留めて話をする。

「なんじゃ!?早く我が国へ帰りたいのだが・・」

「死んだ敵兵を・・墓に入れたいのです。」

「敵兵を弔うという事か?」

「はい。」

「それは・・お前にとって大事なコトなのかえ?」

「大事です。」

「わかったそうさせよう。」

ルゼミアはものすごく物分かりがいい。もっと暴君のようなイメージを持っていたのだが、すんなりと俺の意見を取り入れてくれる。さっきの目から火を出している人とは同一人物とは思えなかった。俺は、車の上にのりLRADスピーカーのボリュームを下げて、街のみんなに報告をする。

「皆さん!敵は全滅いたしました!戦いは終了です。ただ・・このまま野ざらしにしてしまうのは忍びないのです。墓を作り弔ってあげたいのです!もちろん街の亡くなった人が優先ですが、いいでしょうか?」

するとポール王がもちろんという顔で言う。

「敵に慈悲をかけるとは素晴らしい御方だ!みんな!我らを救ってくれた英雄の頼みだ!敵には恨みもあるだろうが丁重に弔ってやろうではないか!」

「「「「わかりました。」」」」

「「「はい!」」」

「みんな!やろうぜ!」

「おお、きちんと弔ってやろう。」

「アルガルド様はなんという人格者なのでしょう。」

街の人たちが協力を申し出て、デイブ宰相が俺をほめてくれる。

そして・・皆が協力してくれるという、この国の民は本当に根がいい、ポール王の人柄なんだろうな。このおじさん命がけで子供守ってたしな・・おれは皆を安心させるためにひと言叫んだ。

「ではこの戦いは終わりです!!」

「おおおおおお!!」

街の人が歓喜している。

俺が敵を弔ってやりたい理由は・・・証拠隠滅のためだけどね。