軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第468話 地下道探索開始

昨日は聖都の地下に大量のデモンとしもべがいた。それを俺とカララの糸と爆弾で処理をしたのだが、あれからまる一日が立っている。俺達が急激に睡魔に襲われて逃げたため、最終的な確認は出来ていない。

聖都を上空から見た感じでは廃墟となった都市が見えるだけで、動く者は全くいなかった。ただただ不気味にたくさんの光の柱が天に向かって立っているだけだ。

「ここが地下道からの脱出用出口らしい。」

そして俺は全員を連れて橋の下にあった、要人脱出用の出口へと来ていた。

「あの3人にもこの場所を教えて大丈夫なんだよな?」

オージェが心配そうに少し離れた場所にいる日本人たちを指して言う。

「ああ、心底俺達に協力してくれるって言っているし問題ない。」

「お前…やったな?」

オージェが言う。

「うーん。やったと言えばやったし、やらなかったと言えばやらなかったような。」

「わかった。皆まで言うな。」

オージェも西の作戦に参加しているので、俺が何をやったのか分かったようだ。どちらかというとこの術を施す事は、オージェ的にはあまり好ましく思ってないようだ。

「凄い技ですよね。アナミスさん。」

グレースが少し離れた場所で見ていたアナミスに言う。

「いえグレース様。これもひとえにラウル様のお力のおかげなのです。」

「凄い魔力がいるんでしたっけ?」

「はい。」

ブルッ

オージェとグレースが改めて日本人たちを見て身震いしている。

「ご安心ください。神である皆様には私の技は通用しませんので。」

「ほっ」

「そ、そうですか。」

二人は心底ほっとしたような表情をする。

「それでここが出口のある場所だと。」

「ああ、この岩だ。」

俺とオージェとグレースが橋の下の岩壁の前で話をしていた。魔人達は周辺の警戒にあたっている。

「カララ!中を探るぞ。」

「はい。」

カララを呼んで、俺はガラガラと岩戸を開けた。

「真っ暗ですね。」

「ああ。」

「ここから聖都の地下につかなってるのか…。」

「そうだ。そして俺とカララの糸で爆弾をおくり込んで、30万近いデモンとしもべを消したわけだな。これからもう一度地下の状況を調べて潜入しようか決める。」

「罠が仕掛けられている可能性もあるだろうな。」

「ああ。それをカララが調べる予定だ。」

「なるほど。」

「では、行います。」

「魔力をやる、受け取ってくれ。」

俺はカララの背中に手を触れ、系譜の流れを伝わせて魔力を流し込んでいく。魔力持ちの人間に魔力を流す事も出来るが、魔石などの触媒がいるので魔石付きの杖などを必要とする。モーリス先生は高レベルの杖を持っているので、俺の魔力にも耐える事が出来るのだった。

サラサラと暗闇の地下道に流れ込んでいく蜘蛛の糸。カララの糸は蜘蛛の糸より細く、タングステンワイヤーなど比較にならないほどの強度を持っているのだ。俺は見たことが無いのだが、この糸を使って敵をバラバラにすることもできるのだとか…

怖っ!くわばらくわばら。

しばらく糸を流し続け、俺は集中してカララに魔力を注ぎ続けるのだった。

だが前回流し込んだ時よりかなり早い時間で終わる。

「ラウル様。恐らくデモンが多少増えているように思われますが、数はそれほどでもないです。」

「どのくらいだ。」

「1000に満たないかと。」

「増殖もそんなに速く出来ないって事かな?」

「かもしれません。」

「地下にも転移魔法陣があるって事かね?」

「すみません。どこから湧き出ているのかが分かりません。」

「おっけ。じゃあもう一回爆弾流すか。信管設置と爆破をお願いする。」

「かしこまりました。」

俺はカララに手を付けたまま大量のTNTと信管を召喚する。カララの糸の先には再び爆弾が出ている事だろう。

ズドン!

再び遠くから爆発音が聞こえて来る。

「その攻撃は敵にとって最悪ですね。」

「だな。TNT火薬の画期的な使い方だ…まったくラウルは凄い事思いつくなあ。」

「なんていうかギリギリの戦いをしてて、苦し紛れに出したら意外に使えたみたいなとこあるかも。そんなに考え抜いた技じゃないんだよ。」

「まあ戦いなんてそんなもんですけどね。」

「ああ、兵器の性能も工夫によって何倍も殺傷能力が上がり、戦略的に有効に運用できる。魔人ならではの能力と現代兵器の組み合わせは凶悪すぎて、絶対に敵に回しちゃならんと本能が言って来るよ。」

「なにいってんだ。オージェを敵に回したい奴なんていうのも絶対に居ないぞ、龍の強さを持った神様が4トンもあるM777榴弾砲をふりまわして、至近距離ならミニガンで暴れまわるなんて悪夢そのものだよ。しかも無手でも恐ろしいほどの強さを持っているし分体がレヴィアサンだぞ。付き人のトライトンなんかも鬼神の如き強さがあるし、そんな厨二みたいな無茶苦茶な設定あるか?」

「本当ですよ!僕なんていつこの分体が消滅するか分からないし、二人の凶悪さに比べたら可愛いものですよ。」

「いやいやいや。グレースは虹蛇の本体を見たことないからそんなこと言えるんだよ。ある意味あの本体を使いこなす事が出来たら、お前が最強だと思う。というか絶対に本体で暴れないでくれよ、俺達がせっかく救った世界が終わる。」

「と言われても、出せもしないですし。」

よくよく考えるとここの3人は無茶苦茶なのかもしれない。俺達が本気で世界を滅ぼそうとしたら何日持つのか分からない。

「ラウル様。デモンがだいぶ減りました。」

カララが言う。

「おっけ。あの魔石かなんかに包まれた人間はまだいるの?」

「おります。」

「となると…やっぱそこまで行くしかないよな。」

そう、俺達が発見した地下にいる、魔石のような物に包まれた人間を調査する事になったのだった。

「その人間って言うのが残りの日本人っていう事ですかね?」

グレースが言う

「恐らくな。ただカララの感覚的なものだから分からないけど、気配は俺達のそれに凄く似てるらしい。」

「はい、そうなのです。ラウル様やオージェ様達のような気配がします。」

「なるほどな。何かの情報を持っている可能性は高いな。」

「でしょうね。」

地下はまだ未知の部分があるため潜入はためらわれるのだが、魔石に包まれた危険な人間がいる以上は放っておく事も出来ないのだった。

「ヴァルキリーを着た俺とカララ、シャーミリア、ファントム、オージェ、アナミス、そして日本人3人で潜入する事にする。」

「「かしこまりました。」」

「了解だ。」

「わかりました。」

潜入するメンバーは戦闘力重視で選んだ。アナミスは日本人3人と地下に眠っている謎の人間対策の為に連れて行く。俺はバーニアを外してグレースに預けていた。念のため外骨格を着たいところだったが5メートル近くあるため、地下道に入るには大きすぎる。しかたなくヴァルキリーのみで潜入する事にする。

「ルフラは引き続きカトリーヌと同一化、マリア、セイラ、カーライル、オンジがここに残る。マキーナとトライトンは残る者の護衛を頼む。グレースはゴーレムを5体ほど出して周辺に配置してほしい。」

残留組に指示をする。

「「「「「は!」」」」」」

「わかりました。」

「了解です。」

橋の下には皆が休めるようにテントを数個召喚して設置してある。グレースのゴーレムは丸まって大きな岩のようになり離れたところに置いてあった。いざという時は動き出して敵を迎撃するようだ。

「手持ちの兵器はここに置いておく。」

俺は一つのテントに、M240中機関銃やUZIサブマシンガン、デザートイーグル、TAC50スナイパーライフルなどを人数分を召喚した。

「ラウルさん。兵器なら僕も出せますけどね。」

「いやいいんだグレース。俺の魔力がハンパなくてな、どちらかというと召喚を大量に行って消費しておきたい気もしてる。」

「消費ですか。」

「なんとなくな。」

なんか今回の進化をしてから、魔力があふれ出てくるような感覚がしていた。とにかく召喚できるときは召喚して、魔力を消費できるときはしておきたい感覚になっている。それがなぜなのかは分からないができるだけそうしようと思うのだった。

「トライトン!みんなをよろしくな!」

「わいも役立つときがきましたかね?龍神様。」

「ここまでも十分役立ってるがな、デモンは思いの外強いらしいから無理はするな。危険になったら皆を守って逃げるんだ。」

「龍神様、言われんでもわかっとりますがな。」

「ああ。」

ここの絆もだいぶ深いらしいな。阿吽の呼吸で何をすべきか伝わっている。

「マキーナ、退却の時はあなたが殿を務めるのですよ。」

「仰せのままに。」

シャーミリアもマキーナに指示を出した。

「では行って来る。」

俺達6人と日本人3人は、ファートリア神聖国の聖都地下にある通路に入っていくのだった。

ピチョンピチョン

地下に入ると川の側と言う事もあってか、水がしたたり落ちているような音がした。外と違って中はだいぶひんやりとしているようだった。しかし何かがいる感じはしない。

「カララ。糸で鏡面薬をつかい転移魔法陣が仕掛けてないか調べてくれ、転移罠は直ぐに魔法石を使って発動させ無効化する。シャーミリアは物理罠が無いかを確認してくれ、見つけ次第破壊してくれるとありがたい。」

「かしこまりました。」

「は!」

鏡面薬は召喚物ではないのでファントムが収納から出す事になる。ファントムの体から生えて来た鏡面薬のカプセルを、カララが糸で器用に受け取って俺達が進む先へと運んでいくのだった。

「あ、あの!」

キチョウカナデが言う。

「どうした?」

「まったく先が見えません。私たちが迷子になる可能性があります。」

「あ、そうか。カララ!シャーミリア!待っててくれ。」

「はい。」

「は!」

俺は3人分のENVG-B暗視ゴーグルとヘルメットを出してやる。

「えっと…。」

「なんだ?」

今度はナガセハルトが言って来る。

「あの…これはゴーグルとヘルメットですよね?」

「そうだが?」

「そうですか…。」

「行くぞ。」

「ちょ、ちょっと待ってください!あの、前の駐屯地にあったのは…装甲車ですよね?」

「そうだが?何か問題でも?」

「いえ!問題とかそう言うわけではありません!ですが…その皆さんがもっているそれは…銃ではありませんか?」

「そうだ。」

「えっとすみません。自分たちが居た世界の武器に似てるものですから、どうしてなのかと思いまして。」

「あ、そうか。そういうことか、記憶はきちんとあるんだもんな。」

「記憶?そうですね?普通にありますけど。」

「えーっと、気にするな。ちょっと似てるだけだろ?この世界にもこういうのあるんだよ。まあ持ってるの俺達だけだけどな。」

「あ、失礼しました!そうなんですね!前の世界でもテレビでそう言うの見た事あった物ですから。」

「奇遇だな。」

「き、奇遇ですね。」

ナガセハルトが頭をかいて苦笑いをしている。それもそうだ、どう考えたって前世にあった物と瓜二つなんだから。

「とにかく行くぞ。」

「わ、わかりました!」

3人に暗視ゴーグルを着けさせて奥に進むことにする。

「えっと、ラウルよ。いまの説明は無理が無いか?」

「いやオージェ…戦略上の重要機密だ。教えるわけにいかない。」

「わかった。まあそうだな。」

日本人3人以外はこの暗闇でも、昼間と同じように見えているはずだ。魔人の中で一番身体能力が下のはずの俺でも見渡す事が出来ている。オージェはどう見えているのか分からないが、おそらくコイツは目を瞑っても気配を感知して見えているように歩いて行けるだろう。

度重なる爆破で地下の酸素が無くなっているかと思ったが、そう言う事もなさそうだった。恐らく機密性はそんなに高くないらしい。

俺達は慎重に暗い地下をさらに奥へと進んでいくのだった。