軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第458話 湧き出るデモン

俺は聖都南東の上空から双眼鏡を用いて市街戦の様子を監視していた。

30体のゴーレム部隊は魔法使いやデモンに囲まれながらも淡々と交戦している。ゴーレムは生命の危険などを感じず恐れもない為、建物に隠れることがない。体をさらして戦うため、敵の攻撃をもろに被弾しやすいようだった。ミニガンで応戦しているものの、そろそろ弾丸が切れてきている個体もいるようだ。

「グレース!ゴーレム隊なんだが、そこから300メートルほど西に進むようにしてくれるか。バラバラだと個別で撃破されるので固まって動くようにしてほしい。」

俺が無線で伝える。

「了解です。」

するとゴーレムの動きにすぐ変化が起きた。まるで相手の攻撃に耐えかねて逃げて行くようにも見える。敵はそれを追撃するように後ろを追って攻撃を仕掛けていた。ゴーレムをひと固まりにしてミニガンを乱射させながら、聖都の中心部へと位置をずらしていく。

「シャーミリア。さすがに魔法使いとデモンの組み合わせは厄介だよな。」

「人間とデモンが与するなど、どうなっているのでしょう?」

シャーミリアが言う。

「やっぱりおかしいのかい?」

「はい。さらにあれほどの魔獣まで使役しているとは、異常であると言わざるを得ません。」

「なるほどね。」

シャーミリアだって大量のヴァンパイアを眷属にできたり、グールを作り出したりしてるから十分異常だと思うけどな…

まあそれとは理が違うとでも言いたいんだろうけど。

「とにかく敵が動いた。」

「そのようです。」

「シャーミリア。あの光の柱には気をつけろ。」

「かしこまりました。」

シャーミリアがBLU-118サーモバリック爆弾を抱えて飛びながら返事をする。

「いけ。」

「は!」

シュッ

サーモバリック爆弾を抱えたシャーミリアが聖都の方に消えた。戦闘機並みの速度なのですぐに聖都上空に現れる。

真下にはゴーレムを囲い戦う魔法使いの集団とデモンの集団がいた。

ヒューン

シャーミリアの手を離れて爆弾が落ちていく。

BLU-118サーモバリック爆弾は地面に落ちる手前で信管によって起爆された。

次の瞬間。

眩い光と共に物凄い爆発の光が聖都の中心に現れる。

建物はなぎ倒され人間達は一斉に吹き飛び、辺り一面が火の海になった。

「核の次に破壊力のある爆弾とは良く言った物だな。」

恐ろしいほど大きなキノコ雲がもくもくと上がる。

「ご苦労さん。」

シャーミリアが戻って来た。

「凄まじい物です。」

「ナパームとはまた違うからな。」

「さらに連結でご主人様の魔力が乗っていますから。」

「だな。」

通常のサーモバリック爆弾の数倍の爆発により、ファートリア聖都は半壊してしまったのだった。中心部分にまともな住居はほとんどなく、その爆発に巻き込まれた者は、騎士も魔法使いも一般人も、爆散し焼き殺され酸素欠乏により窒息ししてしまった事だろう。

「よろしかったのですか?」

「ああ、シャーミリア。どうせ血塗られた道だ。」

シャーミリアが俺の心に触れ、一般人を巻き込んでしまった動揺を読み取ったらしい。心配そうに俺を見ている。

「ご主人様。一度カトリーヌの元に戻られた方がよろしいのでは?」

「いや、いらん。元より覚悟の上だ…光の柱とデモンをかいくぐって市民の救助などしていたら、こちらに被害が出てしまう。」

「かしこまりました。」

「誰一人として仲間を死なせる事はしない。」

「は!」

シャーミリアに合わせてマキーナも深くお辞儀をした。

「しかし…まだまだ動く者がいるな…。」

聖都を見ると爆発に巻き込まれなかった奴が右往左往しているようだった。

「はい。その中に数体のデモンを確認しております。」

「確かにな。どうやら今の爆発であぶり出されたようだな。」

「そのようです。」

するとオージェとグレースから同時に通信が入る。

「やったのか?」

「ゴーレムからの通信が切れました!」

「ああ、サーモバリック爆弾を使用した。」

「そうか…。」

オージェが静かに答える。

「恐らくゴーレムは全滅ですね。」

「すまんな。囮に使わせてもらった。」

「いえ、そのために出撃させたものですから。僕にとってドローンのような扱いです。気にしないでください。」

「ああ。」

「敵は?」

「まだ殲滅しきれていない。人間の兵士はかなり殺ったと思う。」

「そうか。」

「それが証拠に、かなりの光の柱が立ち登っている。」

「まるで墓標だな。」

「だな。」

サーモバリック爆弾が爆発した一帯にかなりの数の光の柱が立ち登っていたのだった。大勢の人間に何らかの仕掛けをして泳がせていたらしい。

「オージェ、俺がここから射弾観測を行う。M777榴弾砲で砲撃を試みてくれ。」

「了解だ。」

「そこから西に向けて一発撃ちこんでくれ。射角と方角を伝える。」

「わかった。」

ズドン!

森の中から榴弾砲が射出されて壁を飛び越え、聖都内に着弾した。

ドゴン!

「だいぶ北西に落ちたな、左に15度、射角を8度上に修正。」

「了解。」

ズドン!

ドゴン!

次弾が動き回っている兵士たちの元へと着弾して爆発した。

「そのあたりにドンドン撃ち込んでくれ。」

「了解。」

森から次々に榴弾砲が撃ちだされて聖都にいる兵達を吹き飛ばしていく。住居もガンガン壊れているので恐らく一般市民も巻き込んでいるだろう。

その砲撃に合わせ、俺は再びミニガンを捨ててM81バレット狙撃銃を召喚した。

スコープを除くと右往左往するデモンのしもべたちがわんさか湧いて来た。それはまるで蟻塚を壊された蟻のようだった。

「やはり‥‥。」

湧き出たデモンはユークリット王都と同じように、人間を糧にしてデモンのしもべを大量に呼び出し始めたようだ。屍人や進化グール、そして猿のような悪魔、角の生えた羊の顔の人間、でっかい蛆虫まで湧き出した。

「デモンはどこだ。」

スコープを除きながらデモンを探す。

「いた。」

恐らくそのしもべたちの少し上に浮いているやつがデモンだ。

ペリカンのような顔に人間の体。それが手を振ると次々と家々から、しもべたちが湧いて出てくる。

ズバン!

躊躇なくM81バレットを撃った。

するとそのペリカンのような顔が粉々に吹っ飛んで地面に落ちていく。

「しもべの流出が止まったようです。」

「しもべを呼び出しているやつを仕留めた。」

そして再びスコープで市内を見渡すと南東のこちらに近い方からも、しもべが湧き出してきているようだった。

「オージェ。左に更に10度射角を上に15度で砲撃してくれ。」

「了解だ。」

ズドン!

ドゴン!

そのしもべが流出しだしているところに着弾して、でてきたばかりのしもべは爆散していく。

俺もそれに合わせてスコープを除く。

すると…

ワニに乗ったでっかいドワーフのような奴が、槍を片手にのそりのそりとでてきた。俺がスコープを除いていると、その乗っているドワーフのようなヤツがきょろきょろしているのが見える。恐らく攻撃して来た相手を探しているのかもしれない。

ズドン!

M81狙撃銃を撃つ。

音に反応し、そのワニに乗っているドワーフのようなデモンが、こちらに気づいてスコープ越しに目が合った。

バグン!

だが次の瞬間そのデモンの顔面が吹き飛んで、またがっていたワニから落ちる。先に撃っていた銃弾が届いたらしい。

「しもべの流出が止まりました。」

「次は。」

「南西の地域にも一体。」

俺がスコープを除くと、南西にも次々としもべが噴き出てきている。だが何回も狙撃をしているので今度のデモンは俺達の位置に気が付いているようだった。

「あ、バレてる。しかも飛ぶ奴だ。」

フクロウみたいな顔をして手足が人間みたいなやつが、翼を広げて飛び立とうとしている。

俺が慌てて次弾の装填をして撃つ。

ズドン!

外れた。

「やっべ!飛ぶ標的は難しい!」

そんなことを言っている間にデモンが飛んでこっちに近づいて来る。

次弾を装填して撃つ。

ズドン!

「うわ!あてらんない。シャーミリアM240で迎撃。」

と俺が言った時だった。

パン

森の方から銃の音が聞こえた。

次の瞬間。

フクロウみたいな顔をしたデモンがひらひらと都市に落ちていくのだった。

「マリアか…。」

どうやら森の中の監視台からマリアがフクロウのデモンを狙撃で落としたようだ。

「良くあんな距離から飛んでいる標的に当てられるもんだな。」

「それはマリアですから。」

シャーミリアに言われて納得した。天才のマリアがこの距離であのデモンを撃ち漏らすはずが無かった。

そうこうしているうちに北西の角にもしもべが湧き出しているのが見えた。

「オージェ。北西の角にもしもべが湧き出した。」

「了解。」

「右に40度、射角は下に20かな。」

ズドン!

ドゴン!

「ずれた。右にあと2度、上に2度調整してくれ。」

「了解。」

ズドン!

ドゴン!

「命中だ。」

「あいよ。」

ここからは狙撃するには距離があるな。

「シャーミリア、マキーナ。迂回して北西にまわろう。」

「かしこまりました。」

「は!」

そしてヴァルキリーを着た俺と、シャーミリアとマキーナは反時計回りに都市を迂回して、反対側に着いた。

「いた。」

「そのようです。」

そして俺がスコープを除くとネズミ頭のゴリラ人間のような奴が、そのしもべたちの中心にいた。

スコープを除くとまだこちらには気が付いていないようだった。

ズドン!

スコープの中で頭を飛び散らせてぱったり倒れるネズミゴリラ。

「なんかめちゃくちゃデモンがいないか?」

「そのようですね。」

「次から次へと…。」

しかもあちこちでデモン達が呼び出したしもべたちが、司令塔をなくして暴れまわっているようだった。

デモンを先に殺したのが仇となったかな。

「あの地獄のなかで生き残れる一般市民はいないだろうな。」

「はい。ああなる事は既に我々が攻撃を仕掛ける前から決められていたようでございます。」

「想像はしていたが残念だよ。」

「はい‥‥また…デモンです。」

「わかった。」

俺はシャーミリアに言われる場所を見る。するとそこには蛇の体をした長髪の女の姿があった。そしてその周りの家々からどんどんしもべが湧き出してくる。

「シャーミリア。あのしもべっていったいどこからくるんだろうな…。」

「恐らくは聖都民でございましょう。」

「やはりか。」

餌にされ、しもべにされ、いらなくなれば殺され。聖都の人間達も、ユークリット王都の民と同じ運命をたどっているようだ。

「あの地獄を終わらせてやろう。」

「かしこまりました。」

俺とシャーミリアとマキーナは聖都から離れた場所へと降り立った。

「シャーミリアとマキーナは万が一のために護衛を頼む。」

「は!」

「は!」

「よ!」

俺が召喚したのはM270A1 MLRS多連装ロケットランチャーだった。

キャタピラーの上に多連装ロケットランチャーが付いている戦闘車両。砲弾は全てクラスター弾を装填していた。

《ヴァルキリー鎧から出してくれ。》

《はい、我が主。》

ガシャン

俺はバルキリーから出て、M270A1の砲手席にすわった。

コントロール・パネルから射角などを調整し、信管の設定を行っていく。

ウィーン

ミサイルの射角が上がり、ファートリア聖都の都市に向けて砲の向きを変える。

カチ。

おれは多連装ロケットに装填されているクラスターミサイルを全弾発射したのだった。

すぐに車両を降りて、再び隣にM270A1多連装ロケットを召喚した。なぜ新しい車両を召喚するのか?それはもちろん弾頭を装填している時間がもったいないからだった。すぐに砲の向きを調節し信管の設定をする。

カチ。

バシュバシュバシュバシュバシュバシュ

再びクラスターのロケットが発射された。

すぐに車を降りて、ふたたびM270多連装ロケットを召喚する。

カチッ。

おれはロケットランチャーによる聖都の絨毯爆撃をしているのだった。次々と射出されるミサイルによって聖都からは大量の黒煙が立ち上っている。それと同時にあちこちに光の墓標が立ち並んでいくのだった。

そして俺は再び車を降りて、次のM270多連装ロケットを呼び出すのだった。