軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第456話 聖都襲撃

俺達はあと十数分で聖都攻略作戦を開始する。

本来であれば大聖堂付近に出て来た敵の首領を、マリアのTAC50スナイパーライフルによる遠距離狙撃で暗殺するつもりだった。だが敵の大将が出てくる気配がない、それならばと最初に決めていたB案を遂行することになった。

「やっぱり敵は俺の兵器を見て警戒しているのかもしれないな。」

「まあ見られていたとすれば警戒するだろうな。」

「ああ、だがオージェ。まさか敵もその大砲を担いでくる事は想定してないはずだ。」

「たしかにな。俺自身もM777榴弾砲を担ぐ事になるとは思わなかったけどな。」

「よろしくな龍神。」

「わかってる。」

オージェ用のM777榴弾砲は既に召喚済みで、砲弾はファントムに飲みこませてある物を装填して使うように言ってある。したがってオージェとファントムがツ―マンセルで動くことになる。M777榴弾砲は4トンもあるので振り回せるのかどうか知らないが、あのゴーレムを十数キロ先まで投げ込むことができるのであれば問題ないだろう。そしていざとなればこの二人ならどこからでも帰って来れるはずだ。

「グレースのゴーレムはどうだ?」

「なんとか残りも動けるようにしましたよ。」

「すごいな。」

「まったく人使いが荒いですよね。」

「お前ならやれると思ってな。」

「あーはいはい。」

「よし!魔人のみんなとマリアも聞いてくれ!武器弾薬はグレースが供給する。弾薬関係が切れたらグレースの元へと来てくれ。」

「「「「は!」」」」

グレースは後から取り出したゴーレムに対して、すでに最低限のコマンドを仕込んでいたらしい。戦闘で切れた武器弾薬はグレースが出す手筈になっているので、弾薬が切れたものはここに戻ってくる事になる。本当にグレースのおかげでかなり戦闘の幅が広がった。

そしてカーライルとオンジはグレースの護衛に着く。敵が来た場合は逃げる時間を稼ぐために戦い、いざとなれば竜人化薬を飲んで脱出を図る事になっている。

「カトリーヌとルフラの二人は武器を携帯して待機、怪我をした者はここに戻り回復してもらう事になる。まあシャーミリアとマキーナはいらないと思うがな。」

「は!ご主人様!お気遣いありがとうございます。私奴らはいざとなれば敵兵にて補給します故。」

「り、了解だ。」

「ファントムも万が一破損した場合そのように。」

「頼む。その心配はないだろうがな。」

「はい。」

シャーミリアとマキーナが膝をついて礼をする。

「あの、私はおそらくオージェ様と行動したほうが良いと思います。」

セイラが言う。

「それはいささか危険な気がするが…。」

「私のささやきによってオージェ様の力が何倍にも跳ね上がると思います。」

「え!そうなの!」

「いやあ…そうなんだよね。」

オージェが言う。

「やっぱ眷属の力ってやつなのかね?」

「俺もよくわからんが力が出るのは明らかだ。」

「なら一緒に行動するのはいいだろうけど、もしオージェが森から出て都市に突貫するような事があったら、セイラは森の中でグレースたちと居ると約束してくれるか?」

「ラウル様のご命令とあらば。」

「じゃ、それで。」

まさかのオージェとセイラのセットでパワーが倍になるという。そう言えばまえにセイラのレヴィアサンを鎮めた事もあったな。あれと同じ効果かな?

そして俺はカララを見る。

「カララは後方部隊の護衛となる。グレースとカーライルとオンジ、そしてカトリーヌとセイラは後方支援となるから、カララは彼らに敵の攻撃が及ばぬよう、この地域一帯に入って来た敵は全て掃討しろ。」

「かしこまりました。」

カララの糸に操られた千丁のUZIサブマシンガンがジャキン!となる。

「トライトンさんは敵地周辺で観測をお願いします。敵の動向に変化があればすぐにオージェに知らせてください。位置を教えてやってくれればオージェが榴弾砲を撃ちこみます。」

「わいも頑張って役に立ちませんとな。」

「十分役にたってますけどね。」

「まだまだこれからです。」

トライトンが見様見真似の敬礼をする。異世界の人が敬礼をするのを見ると若干の違和感を感じるが、トライトンのその形は素晴らしいものだった。さすがはオージェが仕込んだだけある。

「じゃあぼちぼち所定の位置につこう。」

「「「「「「「了解!」」」」」」」

そしてそれぞれがそれぞれの持ち場に分かれて行った。

俺のそばにはマリアとシャーミリアとマキーナが残る。

「ほっ!」

ドサッ

ドサッ

俺は彼女らの武器を召喚する。シャーミリアとマキーナにはM240中機関銃と弾倉バックパックを、そしてマリアを乗せて飛ぶようにストレッチャーを、マリアにはTAC50の弾丸が入ったリュックを渡す。マリアはもともと与えていたTAC50を抱えていた。

「定刻になったら都市の上空をぶんぶんと飛び回っている翼竜を打ち落とせ。」

「分かりましたラウル様。」

「シャーミリアとマキーナは、マリアを頼んだぞ。」

「お任せください。」

シャーミリアとマキーナが深々と頭を下げた。

そう告げると俺はヴァルキリーに入る。

ガシャン

《我が主。いよいよですね。》

《ああ、どんなもんかね。》

《我は主と大暴れできるかと思うと嬉しく思います。》

《そうか。》

泥棒髭に比べて何て軽いんだろう。何も着ていないかのような錯覚に陥るが、これも俺の分体が定着しているおかげなのかな。

《よし、グレースの所に向かう。》

《はい。》

俺はヴァルキリーを着てグレースの元へと向かう。

「グレース。バーニアを出してくれ。」

「了解です。」

グレースが収納からバーニアを出してくれた。

ガシャン

バーニアを装着する。

「ラウルさん‥‥めっっっっっちゃカッコいいっす。」

「マジ?」

「なんていうかもともとラウルさんの兵器が異世界っぽくないんですが、その鎧とそのバーニアを装着した姿はもっと異世界っぽくないです。」

「異世界っぽいってのが良く分からんが、とにかくこれのおかげで飛べるんだよ。」

「凄いです。」

「バルムスやミーシャたちに感謝だ。」

「まったく…。」

「M134ミニガンとバックパックも頼む。」

「了解です。」

そしてグレースが出したM134ミニガンを装着する。

「ヤバイです。」

「そう?」

「かっこよすぎて。」

「いやあ…客観的にみたいわあ。」

「カメラでみれますよね。」

「はは、とりあえず決戦前だから今はやめておくか。」

俺とグレースの話し合いを聞いてカーライルとオンジが笑う。

「本当に、ラウル様やグレース様の豪胆さには度肝を抜かれます。」

「本当ですな!いまから真の敵との命のやり取りを行う者だとは到底思えません。」

「まあ、命のやり取りをするつもりもない。俺は一方的に刈り取ろうと思っているからな。」

するとカーライルとオンジが顔を見合わせる。

「本当に恐ろしいお方だ。」

「それを本当に行うのだから、我々人類はラウル様の手の中にあるようなものですな。」

「そんな大それたもんじゃない。とにかく俺は本当に平和な世界にしたいだけなんだ。誰でも暴力に怯えることなく生きれる世界が作りたい。」

「もちろん私もそれに賛同して合流したのです。」

カーライルが言う。

「これからカーライルの祖国を蹂躙する事になる。本当にすまないと思っているが、俺は既に後戻りできないところに来ている。わかってくれるな?」

「もちろんです。」

そして俺はオンジを見る。

「私はグレース様に死ぬまで付き従う事を定められた家に生まれ、そしてこのような世界を変える戦いにご一緒させていただけることになった。それが虹蛇様から課せられた使命であるなら全うするだけです。」

「はは、オンジ。そんな大げさに考えることないよ。俺とラウルさんはそれほど重く考えてはいないよ。本当に自分たちの感情のままにやりたいことをやっているだけだ。」

グレースが言うとオンジが深く頭を下げた。

「グレース様のお気持ちのままに。」

そして俺は時計を見た。

作戦開始まで5分。

《皆!作戦まであと5分だ。集中!》

《《《《《は!》》》》》

《マリアの狙撃音を合図に総攻撃をかける!くれぐれも無理はするな!》

《《《《《は!》》》》》

「じゃグレース持ち場をよろしくな。」

「はい。」

そう言って俺は森を西に向かって走る。バーニアを着けていてもヴァルキリーの装着感は軽かった。M134ミニガンもヴァルキリーの補正のおかげで全く重さが無い。

森のはずれ迄来ると、聖都を囲む城壁が見渡せた。俺はその場所で攻撃開始の音が鳴るのを待つ。

「10、9、8、‥‥」

「3、2、1!」

バスッ

バスッ

バスッ

バスッ

俺が上空を見ると翼竜たちが降って来た。マリアは正確に翼竜の弱点を狙撃して落としているようだ。

「っと。」

その音と同時に聖都に向かって空高く飛んでいく岩の塊があった。

ズンッ!

オージェがゴーレムを投擲して聖都に投げ入れたようだった。

ズンッ!

1体2体と投げ入れられるゴーレム。

「あれ…ほんとに投げ込めるものなんだ…。」

親友の龍神を怒らせることだけは絶対にしないようにしよう。

俺は心に誓った。

そして俺はヴァルキリーのバーニアを噴出して、瞬間的に聖都のはるか上空へと舞う。

《すっげええな!》

《我は飛んでいるのですか!?》

《そうだ。》

そして俺は聖都を見下ろした。

「オージェ、コントロールいいな。」

次々投げ込まれていくゴーレムは、聖都の中心地点に正確に落ちていく。建物を破壊しつつ着陸したゴーレムは体を持ち上げて、M134ミニガンをぶっ放していく。動く者は全て容赦なく撃ち殺していく姿に、俺は身震いした。

「まるで…ター〇ネイ〇ーだな。」

シャーミリアとマキーナがもつストレッチャーに乗ったマリアは、聖都の中に居て慌てて防戦を始めようとする魔法使いを、正確にヘッドショットを決めて仕留めていく。ゴーレムを攻撃しようとする魔法使いは次々と糸の切れた操り人形のように倒れていく。

そんな場所に次々と投げ込まれていくゴーレム。

「…50体は多すぎたかな…。」

しかし作戦は始まってしまったのだ。オージェはお構いなしに次々とゴーレムを聖都へと投げ込んでいくのだった。

敵が市壁を出て外に出る気配はまだないな。

20体目のゴーレムが投げ込まれたときだった、ようやく敵の兵士達や魔法使いの大軍がゴーレムの掃討に這い出て来た。だがゴーレムに魔法攻撃を繰り出そうとしても、マリアのヘッドショットの餌食になってしまう。騎士がゴーレムに斬りかかろうと思っても、ゴーレムのミニガンの掃射を受けてバラバラに飛び散ってしまうのだった。

「乱戦になって来たな。」

ズン!

それでも淡々とゴーレムを投げ込んでいくオージェ。

《敵はまだ外に出てきてはいないな。》

《ご主人様。爆撃を開始しますか?》

《いやシャーミリアまだだ。引き続きゴーレムが壊されないように、マリアに魔法使いを仕留め続けさせろ。》

《はい。》

まだか…

俺達が待っているのはデモンの出現だった。聖都に人間だけの戦力だけじゃないはずだ。さらに転移罠やインフェルノなどの罠が設置されているはずだった。

俺は肩のアタッチメントの部分にM134ミニガンをセットする。

「よ!」

そしてバレットM82を召喚した。

ゴーレムの攻撃に逃げまどう兵士達、一般市民のように見える民、屋根の上にふせている魔法使いと市中は乱戦模様となっていた。

俺が狙うのは伏せてバルコニーから監視をしているやつらだ。

バシュッ

上空から垂直に脳天を撃ち抜いて行く。その破壊力に頭蓋は爆発し上半身を炸裂させながら倒れ込んでいく兵士たち。

‥‥さながら天空からの雷のように思うだろう。

どこから攻撃されたのかも分からずきょろきょろしている兵士達。だが俺はお構いなしに次々と兵士たちを狙撃していくのだった。

「早く出てこい…。」

そうつぶやいた時だった。

都市から上空に向けて何かが上ってくる。俺はそれを慌てて避けて、聖都の上空から離れた。

上って来たそれは…

光の柱だった。