軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第351話 魔力の恩恵

西に出現したデモンはラーズ隊のみで討伐したらしい。俺の連結LV2が遠距離でも使えるようになったためだ。

以前の俺達は中隊規模単位で行動していたが、今作戦で数千人規模の魔人達と行動する事により、かなり楽に戦う事が出来た。デモン追撃に際し念には念を入れて、3方向から1000人単位の魔人軍で包囲したが、その必要はなかったようだった。

俺達は今、デカいテントに入って作戦会議をしていたところだった。異世界組と付き人たち俺の直属の配下達がここにいる。

「本当にデモンは強いんだよな?」

「ああオージェ、以前はそう感じたんだ。だが戦い方ひとつでこうも違うとは思わなかった。こんなに楽に討伐できるなんて思ってもみなかったよ。」

「それでもまだラウルは覚醒していないんだろ?」

「ルゼミア母さんが言うにはそうだ。」

「方々を回って神格化した俺達はいったい何だって話だよ。」

「いやそんなことはないよ。純粋に強さで言ったらお前だろ?さらに分体がレヴィアサンとか言う龍じゃないか。エミルはどんな属性の精霊術でも使えるようになったし、精霊を自由に使役している。グレースなんか人が乗れる虹蛇が本体なんだぜ!何でも飲みこむように格納できるし。俺は魔人達が居なければそれほど強くないんだよ。」

「だけど実際は魔人がたくさんいて魔力量がハンパなく上がってるじゃないか。」

俺は魔力連結LV2が北の大陸全土に及んでも有り余るほど魔力が上がってしまった。おかげで念話も全ての魔人と繋がるようになってきた。どこにデモンが現れても配下達だけで討伐する事が出来そうだった。更にフラスリアからの3000人の魔人と、ラーズ隊の魔人1000人が進化したために、かなり俺の力が上がったのが分かる。

「ネックは兵器が消滅する期限が30日と言う事さ。」

「うん、確かにそう言われるとそうだな。」

これまでの経験から考えるとこうだ。

デモンを討伐すると容量(シャーミリアは魔力だまりと呼んでいる)が拡大する。人間を殲滅した時には魔力がガンガン溜まっていくようだ。人間を殲滅してパンパンになると中からじわっと容量が膨れる感じだが、デモン討伐すると大きく拡張される感覚だ。そして魔人達との系譜の経路が太くなった気がする。だが兵器の30日の使用期限だけは解消されないのだった。

しかし今回のデモン戦ではデータベースは変わらない。

場所 陸上兵器LV5 航空兵器LV3 海上兵器LV4 宇宙兵器LV0

用途 攻撃兵器LV7 防衛兵器LV4

規模 大量破壊兵器LV3 通常兵器LV7

種類 核兵器LV0 生物兵器LV0 化学兵器LV3 光学兵器LV0 音響兵器LV2

対象 対人兵器LV7 対物兵器LV6

効果 非致死性兵器LV3

施設 基地設備LV4

日常 備品LV5

連結 LV3

各項目のレベルの上限がいくつか分からないが、宇宙兵器、核兵器、生物兵器、光学兵器がいまだ使えないままだった。もしかすると覚醒とやらをすればここも使えるようになるのかもしれない。だが今の戦いから考えればそれも必要なさそうだ。

「失礼します。」

テントの外から声がかかる。

「入れ。」

「ただいま戻りました。」

「おおギル!ご苦労様。」

ギレザムが帰って来た。

「いえ、我は何もしておりません。」

「ラーズ隊だけで片付けたんだってな。」

「はい、我が到着したころにはデモン軍団など跡形もありませんでした。」

「すげえもんだな。」

「はい。」

フラスリアから送ったギレザムを総大将としたドラグ部隊の1000人が戻って来た。サナリアから送ったウルド隊は1000人の魔人を連れて、そのままバルギウス帝都に向かってもらう事にした。ラーズ隊はユークリット王都にとんぼ返りしてもらい復興の続きを行ってもらう。

「ガザムもすまないな。」

ガザムもギレザムと一緒に帰って来させた。

「私は主の命ずるままに動くのみです。」

「俺がバルギウス迄も念話が飛ぶようになって、お前が行く必要なくなったんだ。」

「はい。」

ガザムには他の仕事をしてもらうために呼び寄せたのだった。

「今度は少し危険な任務になりそうだ。」

「期待に応えてごらんに入れます。」

うお!ガザムはイケメンだけど仕事も出来てカッコイイ。

「まずは今回フラスリアから来た魔人が1次進化した。その魔人の中からお前のお眼鏡にかなうやつを20人招集して、隠密行動が出来るように鍛え上げろ。人選は任せる。」

「御意。」

「そいつらをある程度の水準に上げたら教えてくれ。俺の兵器を持たせてファートリア地内の哨戒行動を行ってもらう。最初に俺がやりたいのはここから南下して、二カルス東の街道迄までの安全な道の確保をすることだ。」

「は!」

「たのむ。」

ガザムが一礼をして俺の前から消える。とにかくファートリア神聖国内の情報が必要だった。

「だけどさ、ミリア。今回の魔人達の進化はそれほど大きくなかったように感じるんだ。」

俺はシャーミリアに話す。今回のデモン討伐では、俺の直属の配下達の時のように大きな変化は見れらなかったのだ。

「はいご主人様。そのようでございます。」

「それについてどう思う?」

「それでしたらカララの推察をお聞きください。」

「じゃあカララ、言って見てくれ。」

シャーミリアがカララに目で促す。

「はいラウル様。おそらく部隊の規模ではないでしょうか?」

するとシャーミリアの隣に座っていたカララが話し出す。

「部隊の規模?」

「我々が戦った時は、十人から数十人程度の人数でデモンを討伐しました。」

「そうだな。」

「今回の戦いは数千人規模でした。恐らくでございますが、その討伐に対する功労のような物が、薄く分配されたのではと愚考します。」

ふむふむ、そんなことを思いつくとは凄いなカララ。と心の中でつぶやく。

「ラウルさん。」

「なんだいグレース。」

「もしかしたら経験値の分配じゃないですかね?」

「ゲームの要素の?」

「ええ、少人数で戦えば危険性は伴いますが、経験値もアイテムも皆が十分に享受する事が出来ます。でも大人数だと安全に敵を倒す事はできますが、経験値の分配は少ないって事じゃないですか?」

「なるほどね。そうかもしれないな。」

ゲームオタクでもあったグレースが言う経験値の分配。ネットゲームのボス戦などでそういうシステムの物があったらしい。

「あの。」

「どうしたルピア。」

「さらにはラウル様に近い者達のほうが、多くその恩恵にあずかるように思います。」

「確かに直属のお前たちの方が進化する度合いが高いような気がする。もしかしたら系譜的に俺に近い者から、その影響を濃く受けると言う事なのかな?」

「それはあるかもよ。」

エミルが言う。

「それはどうして?」

「精霊の話になるけどな、精霊神が直接加護を授けた方がより強い精霊の力を手にするんだ。エルフの長老たちの誰かを介して精霊を宿すのとは、力の強さが違う事が分かったんだよ。」

「そうか。エミルが精霊神になった事でそんなことが分かったのか?」

「あとは精霊神の俺が使うと、さらにダイレクトにその力が使えるしな。」

「なるほど。俺が直接兵器に魔力をそそいでハンパない破壊力になるのと一緒かもな。」

「そうじゃないか。」

俺に近い魔人達がより恩恵を受けるというのは、あながち間違っちゃいないように思える。

「そしてラウル様がすでにお気付きの通りなのですが。」

「なんだいギル。」

「常に系譜の力を感じるようになりました。」

恐らく俺が連結LV2を常に展開しているからだろう。

「あえて、そうしているからな。」

「この状態で魔人達が行動すると物凄い力が出るのです。」

「俺の兵器の破壊力だけじゃなく?」

「身体の強度が尋常ではないようです。」

「そうなのか?」

「ご主人様。私奴もギレザムの言うとおりかと。」

「私も思います。」

「私もです。」

「我もそのように感じます。」

直属の魔人達がそれぞれに力を感じ取っているようだった。

「魔人が大勢で動くことで、こんなに恩恵があるなんて気が付かなかったよ。」

「私奴どももご主人様のお力になれているのだと感じ幸せにございます。」

シャーミリアが言うと皆が頷いた。

「羨ましいですわ。私たちはその感覚が分からない。」

カトリーヌが言う。

「そうですね。魔人のみんなが言うような恩恵は、私達には無いように思います。」

マリアが言う。

「いやマリアそれは違うぞ。」

「ラウル様?それはどういう?」

「マリアもイオナ母さんもミーシャもミゼッタも普通じゃないだろ。」

「普通じゃない?」

「普通の人間には出来ない事を平気でやっているじゃないか。お前のスナイプショットだってイオナ母さんの魔獣使役だって、ミーシャの魔改造や発明、ミゼッタの光のシャワーなんて魔法は普通の人間ではあり得ないだろう。」

「確かにそうですね…。」

「そうなんだって。」

「はい。」

「ルゼミア王が言うには、それは俺のそばにいるかららしいんだ。」

「ラウル様のそばにいるから?」

「そうだ。魔人達の魔力を浴びてそうなっているんだろうってさ。マリアは俺が小さい時からそばにいるからな、俺の魔力の影響を強く受けてると思う。」

「そう言われてみればそうかもしれませんね…。」

マリアが納得したようだ。

「マリア、それは間違いないと思います。私もルゼミア様から聞きました。」

カトリーヌが言う。

「カトリーヌ様も何かお気づきに?」

「ええ、私もラウル様と一緒に戦ったりルフラをまといながら行動しているうちに、魔力量や強さが桁違いに伸びた気がするのです。」

「そうなのですね。」

「はい、軽いヒールでもかなりの怪我を治せるようになりました。」

「凄いですね。」

カトリーヌも自分の力の違いを感じ取ってきたようだ。

「だとすればだよラウル。」

「なんだオージェ。」

「いま大陸北は魔人基地が分布されているよな。」

「ああ。」

「そこで魔人達に鍛錬されている人間たちは強く影響受けるんじゃないのか?」

グラドラム、ラシュタル、ユークリット、ではすでに人間と魔人の訓練が盛んにおこなわれている。もしかすると第二のマリアやミーシャやミゼッタが生まれるかもしれない。

「あのラウル様。」

「ああどうぞオンジさん。」

「私たちがグラドラムで魔人兵に稽古をつけてもらったのを覚えておりますか?」

「そうでしたね。」

「我ら魔力の無い剣士は気を練って戦っているのをご存知ですか?」

「ええ知ってます。」

「それがですね。魔人と稽古をつけているうちに、魔力の流れを感じとれるようになったのですよ。」

「魔力の流れ?」

「魔人と戦う時の相手の魔力の流れ、それを見れば次の攻撃がどう来るのか分かるように。ただ分かったからと言って受けれるかは分かりませんが、一般兵の魔人の攻撃ならばある程度対応する事が出来ました。」

「それは魔人の攻撃をしのげるって事ですか?」

「もとよりゴブリンやオークの攻撃であればよけきる事は出来ましたが、ある程度の強さの魔人の攻撃も対処できるようになったのです。例えばオーガやスプリガンなどの攻撃です。あくまでも兵士になりたての一般兵に限りますが。」

「それは凄い。」

「でもグラドラムにいたタピさんの攻撃は避けれませんでした。気を溜めればその攻撃もしのぐ事は出来ましたが、彼が本気になれば私は直ぐに殺されるでしょうな。彼がゴブリンだなんて到底信じられませんよ。」

「ああ、それは仕方がありません。彼は何度も進化を経験していますから。」

「ただそれでも、何十回に一回は何とかしのげるようになったのですよ。」

「凄いですね。」

「さらにですが。」

「さらに?」

「特にカーライル殿なのですが。」

「カーライルさん?」

「ええ、彼はタピさんとも互角に戦います。」

「え!そうなんですか?」

「はい。彼はなんというか…天才なのでしょうな。」

「天才ですか?」

「相手の強さに合わせて自分の水準を上げる事が出来るらしいです。」

カーライルが何度も進化を経験したタピと互角とか、彼はいつの間にそんなに腕を上げたのやら。

「と、言うことは今カーライルさんはユークリットにいますが、今もラーズやスラガと訓練を続けているかもしれませんね?」

「ええ。まあそれでもラーズ様やスラガ様が、ここにいる方達の水準だとすれば勝てないでしょう。」

「それはやってみねばわからぬ。」

ギレザムが言う。

「いえいえ。ギレザム様…いかなカーライル殿でも、レッドベアーにカマキリが挑むようなものです。」

「だがおもしろい。それなら我が稽古をつければどうなるかわからんぞ。」

ギレザムがニヤリと口角をあげて言う。

「ふふっ。興味がありますなあ。」

オンジが楽しそうに言う。

「だとですよオンジさん。グラドラムに来ていたルブレストを見ましたか?」

「ああ…彼は恐らくそれ以上かと。人外の強さを持つ御仁でした。」

「彼がギレザムとやったらどうです?」

「うーん。それでもレッドベアーとネズミのような違いがございますな。」

「彼がギレザムと同レベルの魔人に鍛えられたとしたら?」

「ふむ。もしかするとレッドベアー対ファングラビットくらいには差が縮まるかもしれませんが、彼が生きているうちはそれも敵わぬかと。」

「そうですか…。」

とにかく分かった事は、人間が魔人達と訓練をつめばかなり強くはなれそうと言う事だ。

「しかし彼なら魔人軍一般兵の水準をはるかに超えていると思います。もしかするとこの地上で一番強い人間と言う事になるかもしれません。」

「だけど俺の直属の配下や隊長格とは比較にならないってことか。」

「どんな鋭利な刃をもって斬りつけても、ミスリル鋼を素手で殴るようなものです。」

「オンジさんの例えが分かりやすくて助かりました。ということは人間でもやり方によっては鍛える余地がありそうですね。そう…例えば幼少のころから鍛錬をかさねるとか。」

「ほぉ!それはとても興味深い。」

オンジが目を輝かせて言う。

「そしてもう一つ。魔人じゃなくて俺の親友に鍛え上げられたらどうなるかも見てみたい。」

「オージェ様ですか?」

「ああ、シュラーデンではバルギウスの一般兵が屈強な兵士になっていたからな。」

《まあ洗脳してルタン町で強制労働させてるけどね。》

「ん?ラウル。俺と魔人とで人間の子供を鍛えるって言うのか?」

「いやオージェ例えばだよ。」

「‥‥興味はある。」

「だろ?」

俺達は人間魔改造計画を考え始めるのだった。

オージェと魔人に鍛えられた剣士がどうなるのか?物凄く興味がある。

俺達がテントの中で話をしている間も、外ではコツコツと魔人達の基地建設が進むのだった。