軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第348話 デモンの襲来

山頂を超えてファートリア国に向けての行軍は続いた。

車両は全て街道を進んでいるために長い列を作っており、歩兵たちは森林地帯や渓谷沿いに散らばって前進している。俺とオージェとグレース、そして俺の配下達は街道を進む車列の先頭にいる。

「あのどんどん広がっているのがデモンの群れか?」

オージェが聞いて来る。

「ああ。」

「相当な数がいるようだな。」

「ユークリット王都でもすげえ居たんだよ。ゾンビとグールとか言うバケモノがわさわさと。」

「あそこにいるのがそれか。」

「たぶんあそこにいるのはまたそれとも違う、頭がガイコツなのに筋肉隆々の猿っぽいヤツだ。」

「しかし…気味が悪いですね。」

グレースが言う。

「どんな奴なのか分からないだけに不用意に手が出せない。」

「あとあの双頭の龍に乗って飛んでる天使ですか…。」

「あれが一番不気味だ。」

「そうだな、見るからにおかしい。」

オージェの言うとおりだ。天使のような風貌のイケメンが白い羽を広げて、凶悪な顔をした双頭の龍に乗って飛んでいるのだ。どう考えてもヤバいヤツだ。

「こちらの射程に入ったら19式の155mm榴弾砲をぶちかましてやろうか?」

「どうなんだろうな。大丈夫なものかね?」

「前のデモン達には効いたからいけそうなんだけど。」

《いや!いっけねえ!もっと真剣にやるって決めてたんだった!気を引き締めて行こう!》

「とにかく慎重に行く。俺達は必ず全員が生きて戻る。」

「ああ、もちろんだ。」

オージェがにんまりと笑う。

《ご主人様!》

シャーミリアからの念話だった。

《ああミリア敵軍に動きがあるようだな。》

相手に動きが出たため連絡をしてきたようだ。

《そのようです。》

大量に増え続けたデモンとその仲間の群れが、こちらの存在に気が付いたらしい。一気にこちらの山に向かってその群れが駆け上がり始めた。

蟻の大群が絨毯のように迫ってくるようだ。

俺は全軍に指示を出す。全軍が俺と繋がった状態なので全隊に一気に伝えられる。

「全隊止まれ!敵がこちらに進軍を開始した。作戦通りに迎撃するぞ!武器を構えろ!」

全隊に俺の指示が一気にいきわたる。

「19式の部隊はその場に固定!155㎜榴弾を装填せよ!」

榴弾砲は上空を飛んでいる双頭の龍に向けられていた。

「機銃は全て登ってくる猿にむけろ!」

前方の車両が全て機銃を猿に向けている。車列の並びから後方の車両は撃つことが出来ない為、後方車両には待機を命じた。敵が近づいてきた場合には攻撃するようになっている。

「敵との接触まで、およそ600秒だな。」

オージェが言う。相手のスピードと距離を見て到着時間が分かるとは、さすが訓練された自衛隊のレンジャーは違うな。

「峠の向こうに現れ次第、射線に入った敵を全て撃破しろ!」

魔人全員が敵に集中しているのが分かる。系譜のつながりで分かるのだが、さらに魔人の一人として恐怖を感じている者がいなかった。ここらが人間とは違うところだろう。

「ラウル。敵の数が凄いな…10万体はいそうだぞ。」

「だな。だがそれもユークリット王都で経験済みだ。あの時は数十名で対応したが今回は車両250と兵士3000だからな、俺達の攻撃が効いてくれるならかなり有利なはずだ。」

「わかった。いざという時は俺が対応する。」

「まあオージェに怪我をされても困るから、それは最後の手段としてとっておこう。」

「敵との接触まで500秒。」

オージェが言う。

前方の峠の盛り上がった部分に、先頭の猿のバケモノたちが顔を出して突進して来た

俺は全軍に向けて号令をかける。

「全軍!攻撃開始!」

言いざまに俺は連結LV2で全軍の武器に魔力を送り込む。

キュィィィィィィィィィィィィィ

ダダダダダダダダダダダダダダダ

ガガガガガガガガガガガガガガガ

ズババババババババババババババ

ドゴン!

ドゴン!

ドゴン!

大量の前面の大型魔人達からM134ミニガン、飛翔した魔人からM240中機関銃、先頭車両からは52口径105mmライフル砲、12.7mm重機関銃M2、155mm榴弾砲がそれぞれに掃射された。AKー47を構えたゴブリン隊は銃をおろし、後方から120㎜榴弾砲を次々に装填して敵の群れに打ち込んでいく。

現れた敵は前方の谷の上であっというまに四散していった。

RPGやAT-4の砲弾が一直線に敵の群れの中に飛び込んでいく。

つぎつぎに派手に爆散していくガイコツ頭の猿たち。

更に155㎜榴弾が双頭のドラゴンに直撃して、ドラゴンの胴体に穴が開いた。さらに片方の首に直撃して首がもげ落下していく。上に乗っている天使のような奴がたまらずにドラゴンから離れ飛翔した。しかし慌てて飛翔してバランスを崩したところで、喉と胸にスナイパーライフル2発をめり込ませた。スナイパーライフルを撃った本人はマリアだ。

それでもガイコツ頭の猿たちは恐怖が無いのか、波のようにどんどんこちらに押し寄せて来る。しかしそれ以上前に進むことは出来ないようで、頭が吹き飛び腕がちぎれ足が吹き飛んだ。

「過剰な火力だな。」

オージェが言う。

「いや!何があるわからん!徹底的にやるぞ!」

ズドドドドドドドドドドドド

ガダダダダダダダダダダダダ

パララララララララララララ

ボズゥン

ドズゥン

ついに双頭のドラゴンが落ちてしまったため、狙いを変えた155㎜榴弾砲はガイコツ頭の猿の群れめがけて打ち込まれた。物凄い爆発と衝撃に跡形もなく飛び散っていく。

俺が近くの19式に近づいて、サーモバリックを装填させた。次々19式の車両に移動してはサーモバリック弾を装填させていく。

バフゥドッゴーン!!

ドッガーン!!

バッガーン!!

こちらより低い位置にいるデモンのザコたちが恐ろしいほどの威力のサーモバリック弾に、跡形もなく木っ端みじんになって行った。

そんなことを続けて10分ほどが経過した。すでに弾丸が切れてしまった魔人も出てきた。

「撃ち方止め!」

俺が魔人達を止める。

俺達から見える範囲の土地は草木も生えない焦土と化していた。そして動く物は何もいない…あれだけいたはずのデモンのザコたちがどこにも見当たらなかった。

「えっと、ラウル。もしかして全滅しちゃったんじゃないの?」

「いや…オージェまだ分からんぞ!油断はできない!」

ガガガガガガガガガガ

ドズゥン

ドズゥン

やっぱり!

《どうした!》

《は!ご主人様!双頭のドラゴンがまた生きておりましたので、とどめを刺しました!》

《他に動く物は?》

《双頭の龍に乗っていたと思われる白羽が瀕死の状態でおります。》

《それがこの敵の長だと思うんだけど。》

俺は近くの車両に寄り無線でAH-1Zヴァイパーで待機しているエミルに連絡を取る。

「エミル!」

「よし!俺の出番が来たか!」

「いや、そっちにも敵が行くかもしれんから臨戦態勢を取っていてくれ。」

「わかった!」

エミルは早くヴァイパーの戦闘力を試したいようでウズウズしていた。

《シャーミリア!マキーナ!敵の様子はどうだ?》

《全体的に沈黙しました。》

《とにかく油断するな!》

《かしこまりました!》

《デモンにも近づくなよ!》

《はい!》

それからさらに様子を見つつ10分が経過した。

「あのー、ラウルさん。もしかしたらなんですけど、相手に何もさせないまま終わったんじゃないでしょうか?」

グレースが言う。

「いやいやグレース。ユークリットでカオスドラゴンを見たろ?ああいうのが来るって。」

「わかりました。とにかく警戒態勢で待機ですね!」

「そうだ!」

それから10分。

「やっぱりラウル。もう敵は全滅したとみていいのでは?」

オージェが言う。

「えっとそうかな?あれ?もしかしたら終わっちゃった?」

「ラウル様。」

「どうしたカララ。」

「私とシャーミリアとマキーナで敵地を探ってまいります。」

「わかった!任せる!」

そしてカララがその場から消えた。

更に10分。

《ご主人様!》

《何かあったか!?》

《いえ、動く敵はどこにもいません。》

《え?》

「ラウルさん。さすがにあの攻撃で生きてる方が無理じゃないですかね?」

グレースが言う。

《そうなのか?》

「よし!全軍周囲を警戒したまま前進しろ!」

ブロロロロロロロロ

車両たちが再び動き出した。それに合わせて歩兵部隊も前へと動き出す。数分後に敵の群れが居た場所にたどり着くとそのあたりに、猿の腕や足や割れた頭蓋骨が散乱していた。

「動く者もいるようです。」

ギレザムが伝えて来る。

「全員でとどめを刺してやれ。」

「は!」

俺の指示により魔人軍たちはまだ少し蠢いている、ガイコツ頭の猿の脳天に銃撃を浴びせていた。

《敵デモンを捕獲しました。》

カララから念話が入る。

《生きてるのか?》

《反撃されそうでしたので四肢に銃を叩きこみ、更にシャーミリアが全て切断しました。》

《すぐいく。》

「オージェ!デモンを見にいくか?」

「いく。」

俺はオージェを連れてシャーミリア達が捕獲したデモンの所に行く。デモンは四肢をもがれカララの糸で縛られてそこに転がされていた。

「お、おまえたち!なんなんだ!あの攻撃は!一体!こんなの聞いてないぞ!」

捕らえられたデモンは俺を睨みつけてギャーギャー叫び始める。

「お前はなんなんだ?」

デモンに聞いてみる。

「無礼ものめ、吾輩はデモンの62代総裁である!控えろ!」

「やっぱデモンか。なぜユークリットに侵入しようとした?」

「大量の供物と引き換えに契約を交わしこの地に降り立ったのだ!北の大地の人間どもを滅ぼしてほしいとな。」

《やっぱそうか。これまでのデモンもこうやって呼び出されて戦わされていたって事だろうな。》

「誰と契約を交わしたって?」

「それを言う事は出来ない。言いたくても言えないような契約になっておる。」

「わかった。」

俺はデモンの前から離れて後方に下がる。

「魔人のみんな!俺の下に集え!車両に乗っている者はドアを閉めて車内で待機しろ!」

《《《《《は!!!!!》》》》》

俺の配下を含めた魔人歩兵が全て俺の元に集まって来た。すべての歩兵が集まって来たので全員に伝える。

「デモンは危険だから、いますぐ殺害する。それによって皆が眠りにつくことになるだろう!ここには龍神もいるから魔獣の襲撃の危険性はないが、全員それに備えるように!」

「やった!」

「もしかして、これが例の?」

「とうとう俺達も…。」

「目覚めた時には…。」

魔人がそれぞれに嬉しそうな表情になる。相当楽しみにしてきたようなので無理もない。

俺が再度デモンの所に戻ってきてデモンに聞く。

「これから死ぬが、何か言いたい事はあるか?」

「お前…、そしてなぜこの吾輩の傷は治らんのだ?」

デモンが怯えた表情をしている。

どうやらこんなことは初めての経験らしい。俺の魔力の籠った武器にやられれば、デモンは直ぐに再生が出来ないのだった。

「悪いが俺もよくわからん。」

「お前はなんだ!?」

「俺か?俺は魔王の息子だよ。」

「魔王?」

「そうだ。」

「あ、あ、あ。」

デモンが俺の顔をまじまじと見て焦ったように言う。

「どうした?」

「お前…いえ、あなた様は人間ではございませんね?」

「魔人だ。」

「いや、魔人でもないような‥‥」

「とにかくお前は終わりだよ。」

俺がデザートイーグルを構えてデモンの眉間に銃を突きつける。

「お前の名前を聞いておこう。」

「私めはヴォラクと申します。わ、私はあなたに召されるのですね?」

「俺に召される?どういうことだ。」

「何と光栄なことでしょう。このような事ならもっとおめかしをしてくるんだった。」

「言い残す事はそれだけか?」

「もちろんです。いえあなたにこのような口をきいてしまい申し訳ございませんでした。」

《どういうわけかこのヴォラクと言うイケメンの天使は、俺に対して物凄く好意を持っている?平伏しているようにすら感じる。》

「えっと、俺の事を知っているのか?」

「いえ存じ上げませんが、あなた様から見れば、私などは山の麓にいる蟻のような物。天上におられるあなたのような存在の視界に入る事すら許されるかどうか。」

言っている意味がよく分からないので、質問を変えてみた。

「なぜ大量のリュート人を殺した?」

「殺したのは私ではございません。私は与えられただけでございます。」

「誰にだ?」

「契約で口が動きません。」

「そうか…。」

どうやら本当に誰に呼ばれたかを話す事は出来ないようだった。俺はふと気まぐれにこのヴォラクと言うイケメンのデモンに聞いてみた。

「俺の軍門に下るか?」

「いえ、その様なおこがましいことは出来かねます。何卒!何卒あなたの一部としていただけますれば!」

「というと?」

「抹消してください。」

俺とデモンの会話を聞いていた周りの魔人達が、目で俺に促す。

《消せって事か?》

《はいご主人様。それが妥当かと。》

《わかった。》

俺はデザートイーグルを連結LV3にあげて、周りのみんなに言う。

「出来るだけ離れろ。」

魔人達が俺のそばから離れ、グレースやマリアも魔人達が引きつれて行った。

カチ

デザートイーグルの引き金を引いた。

魔力直結された弾丸がヴォラクに着弾する。

するとヴォラクが居たところから20メートルくらいの範囲の地面が吹き飛んだ。ヴォラクはひとたまりもなく消滅してしまった。到底ハンドガンの威力ではない。

ヴォラクが消える。

俺がめまいに似た症状でふらつく。俺の直属達もガクと膝をつくがそのまま起きて俺を見ていた。

パタパタと倒れていく魔人達。

3000の魔人達は一気に眠りに入ってしまった。

「魔人が!大丈夫なのか?」

オージェが言う。

「ああ、俺達は今回どうやら眠らずに済んだようだ。初めての進化を体験すると寝てしまうんだ、俺は3度目まで眠ったが今回は眠らずに済んでいる。」

「進化か…。」

オージェが、俺が吹き飛ばしたヴァラクがいた場所を眺める。

「お前たちは大丈夫か?」

シャーミリア、マキーナ、ギレザム、カララ、ルフラ、ゴーグ、セイラ、ルピア、ドラグが俺の周りにいた。

「はいラウル様。」

ギレザムが言う。

「俺も大丈夫なようです。」

ゴーグが言う。

「ご主人様。どうやら数回経験すると混沌に落ちないようです。」

「そうなんだな…。」

「恐らくはご主人様と我々の魔力が膨大になっているからではないでしょうか?進化はその魔力を糧にしているのかと。」

「進化は魔力を食うと?」

「はいそのように感じます。」

「なるほど、そうかもな。」

俺達の周りで眠る数千の魔人達を見ているとそう言う感じがしてきた。直属の配下は恐らく魔力量がかなり多いのだろう。しかしそれでも俺は一瞬ふらついた。デモンとの戦闘はこれが怖い。

「ラウルよ。俺とトライトンが護衛をする。」

オージェが言う。

「微力ながら私達も護衛させていただきます。」

車両から頭を出したオンジが言う。

「そうか、ならば俺達魔人は少し休ませてもらうよ。」

「ああ、安心して休んでくれ。」

「ラウル様。私はお側におります。」

ルフラにくるまれたカトリーヌが言う。

「私もおそばに。」

マリアが俺のそばに跪いた。

その言葉を聞いて俺は地面に座り込んだ。他の魔人も全員がその場に座る。

ファントムとシャーミリアとカララだけは平気なようだった。

「ご主人様、私奴もおりますのでご安心を。」

「ラウル様私もいますわ。」

「ああ、すまないな。それじゃあ少しだけ。鎧脱着解除!」

ガシャンガシャン

魔導鎧の後ろ側が開く。

「ふう。」

やっぱ魔導鎧を脱ぐと楽だった。

俺達は魔人が目覚めるまでそこに待機する事にしたのだった。