軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第292話 運命の再開は突然に

ルフラに連れられてエミルとオージェが待つという部屋に来た。

コンコン

「どうぞ!」

部屋は程よい広さの客室だった。部屋にはテーブルが置いてありエミルとオージェが座って俺を見ている。

ルフラに目配せして帰るように促す。

「わかりました。何かございましたらお声がけください。」

ルフラがドアを閉めて出ていく。

「どうも。俺に用があると聞いて来ました。」

「ラウルお疲れ様。会議の前にいろいろ話をしたいと思ってね。」

エミルが声をかけてきた。

「ああ作戦についての助言とか?」

「違うよ。それじゃあオージェさんからどうぞ。」

するとオージェが険しい顔で俺に向き直る。

何だろう…

「すみませんねえ。実はあなたの部下に負わされた怪我などについてね、皆の前では場を収めるためにああは言いましたが、さすがにあれではすまされないなと思いましてね。」

《そう言う事か。それはそうだよな腕の骨を折って指の欠損って、カトリーヌがいなけりゃ本当に一大事だった。簡単に謝って済む問題ではないよな。》

「はい!やはりそうですよね。大怪我をさせたのに何も無しと言うのはどうかと思っていたんです。オージェさんの気が済むようにしていただければと思うのです。」

「そうですか。本当に私の気が済むようにしてよろしいのですか?」

「もちろんです。それだけの事をしたのですから。」

すると一呼吸おいてオージェが言う。

「そういえばシャーミリアさんからビンタをされるという話をしていましたよね?」

「ええ。そういいました。」

「それならよかった。」

《えっと、何がよかった?オージェさんは何をするつもりなんだ?》

「ではラウルさん。私の全力のビンタを受けていただけますか?」

「えっ!?」

「いやだから私の全力ビンタを受けてもらえますよね?」

《いやいやいやいや!ファントムと互角以上の力を持つオージェから全力ビンタ?さすがにそれはありえねえでしょう!》

俺は顔から血の気が引いていくのが分かる。恐らく真っ青になっているだろう。

「えっと…全力で?」

「はい全力です。」

「いやあのう。」

「まさか受けれないというのではありませんよね?私にあれだけの事をしておいて。」

「も、もちろん。でもそれ以外の罰はありませんかね?さすがにオージェさんの全力ビンタでは死ぬんじゃないかと。」

「まさか。ラウルさんともあろうお方が私の全力ビンタごときで死ぬだなんて、だって魔王の息子なんでしょう?これぐらい耐えられなければこれから魔人達を守っていけるのですか?」

「う、それは。」

「なら問題ないですね。」

《やっべぇ、てかエミルは何でシラーっとした顔でそこに居るんだよ。》

俺がチラリとエミルを見る。

「まあラウルならきっと大丈夫でしょう?だって魔王の息子なんだから。」

「エミル…」

エミルが俺を見限った。

「うっ、わ…わかりました。あの万が一がありましたらカトリーヌを呼んでくれますか?」

「もちろんですよ。ただし即死したらおそらく蘇生は難しいかもしれませんがね。」

「そ、即死!本気で全力で行くんですか?」

「そうじゃないと罰になりません。」

《マジか!ま、まあそれだけの事したんだしな。と!とにかく俺の魔力のフルパワーで全身強化して、更に受け身を取れば何とかなるかもしれない。》

「わ、わ、わかりました!それで許していただけるのであれば!それでシャーミリアもファントムも許されるんですよね?」

「もちろんです。主が責任を取ったのなら部下にはもう責任はありませんから。」

「では罰を受けます。」

「そうでなくては!さすが魔王子のラウルさんだ!ではすぐにやりましょう。」

「えっ!いま、ここで?」

「ええ、いまここで。」

「わかりました。」

するとオージェの闘気がものすごい勢いで吹き付けてきた。

「くっ!」

その威圧は物凄いものでそこに立っているだけでも魔力が消費される。

エミルはそそくさとオージェの後ろに隠れた。

《あいつめ…》

しかしオージェは凄いパワーだ、この鬼闘気の前に平常心で長く立っている事は出来そうもない。俺はその闘気につられ自分の魔力が上昇してくるのが分かる。

「目をつぶり歯を食いしばれい!!」

オージェの大声がびりびりと部屋を震わせる。

「はいぃ!」

ボッ

俺は全魔力を身体強化に向けて、体にどんな衝撃が来ても耐えられるように備える。

《しかしながらオージェの全力に耐えられるわけないよな。絶対首取れるよね?…えっまってまって!俺こんな罰で死ぬの?でもシャーミリアとファントムを守るにはそれしかないか。》

「くぉぉ」

オージェから声が上がる。

「こんな魔力初めてだ!では行くぞ耐えろ!」

ググググッ

俺は全力で歯を食いしばり全身に魔力をめぐらせて最大強化する。

「行くぞ!」

「ぐぐぐぐぐ」

俺は魔力をさらに強化し連結LV3を発動させた。

「うおおおお。」

オージェからの殺気が思いっきり叩きつけられる。

《あーだめだこりゃ。わかる…絶対無理だ。俺は死ぬ。》

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

《あれ?》

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

《全然来ねえ!なんだ俺はもう死んでるのか?どういうことだ。》

おかしいなと思い俺は恐る恐る目を開ける。

すると拳法家のように構えたオージェがオーラを出して立っていた。そして次の瞬間おもむろに言った。

「お前はもう死んでいる。」

「?」

俺は何がどうなっているのかさっぱり分からなかった。だたオージェの後ろでげらげら笑っているエミルがなんだか憎たらしかった。

「あーはっはっはっはっ」

「なに?なに?なになに?」

俺は本当に間抜けな顔をしていたに違いない。

「きさまには地獄すら生ぬるい!」

オージェがまたどこかで聞いた事あるようなセリフを吐く。

「えっえっ!?ちょっとオージェさんビンタは?罰は?」

「あーはっはっはっはっ!!」

「おいエミル!他人事だと思って何笑ってんだ!」

するとオージェがまさかのセリフを吐いた。

「はいー!ドッキリ大成功!」

「ど、どどドッキリ?オージェさん何を言ってるの?ドッキリって。」

「嘘だよーん。高山!俺だよ俺!」

「俺?」

俺はオージェをみてエミルを見る。

「高山?」

《ってなんで日本名?いや、このいたずらっぽい笑み。何か…どこかで…》

・・・・・・・

・・・・・・・

「ま、さか。まさか!」

「はいー!そのまさかでしたぁ!」

「本当に本当にそうなのか!?」

エミルもニコニコとして嬉しそうだ。

「高山会いたかったぞ!まさかラウルが高山だったとは!」

「えっとお前は皆川なのか!?」

「ピンポーン!」

「うっそ!皆川?うそだろ!まさかオージェが?マジか?嘘だろ!嘘だろおい!」

「はははははは。」

俺の目にうっすらと涙が浮かんできた。

「おいおい、せっかくドッキリが成功したってのになに泣いてんだよ。」

「だって、だってよお!皆川ぁ、まさかオージェが皆川だったなんてよぉ。」

「だから泣くなって。」

「何言ってんだ。皆川も泣いてんじゃねぇか!」

「わはははは。泣けてくるよなぁ」

「泣けてくるわ!」

すると横のエミルが声をはさむ。

「なーに大の大人が泣いちゃってるんだ?」

「ん?エミルも泣いてんじゃん。」

「もらい泣きだよ。」

「本当だエミルまで泣いてどうするんだっつーの!」

「てか大の大人って何だよ!俺ら3人ともまだ13才だっつーの。」

「えっ!皆川もまだ13才なの?」

「そうなんだよ!なんかおっさんみたいだけどな、龍にうまれてまだ13年なんだよ。」

「うわうわ!13でおっさんとかやだなあ。」

「ラウルは良いよなあ。白髪と赤目が厨二っぽいけど少年って感じだもんなあ。」

「厨二いうな!」

「田中はなんで190センチもあるエルフなんだって話だよ。」

「えっ?こっちに飛び火する?」

「皆川もそう思う?」

「ああ、ずるいよなこんな美形に生まれるなんて不公平だよ。」

「だよなあ。ずるい!」

「さっきまでビンタに本気になって魔力全開にしていた人に言われたくねえー。」

「まあ確かにな。どう?高山びびった?」

「びびったに決まってんだろ!龍人のフルパワーのビンタなんて笑えねぇわ!」

「てか魔人のフル魔力もびっくりしたよ。高山はあんなので戦ってんだな。」

「二人はいいよー。俺なんか精霊の力はあるけど二人のパワーに吹き飛びそうだった。」

「すまんすまん。」

そして俺は気になった事を言う。

「ところでどうしてエミルはオージェが皆川だってわかったんだ?」

「言ってきたのは皆川の方だから。」

「そうなの?」

するとオージェが言う。

「そりゃそうだろ。だってチヌーク輸送ヘリが飛んできたんだぜ!そりゃ目ん玉飛び出るくらい驚いたに決まってんだろ!」

「あーそう言う事か!それで気が付いたんだ。」

「そう言う事だ。」

《俺も皆川も田中も林田も皆武器が大好きだから。やっぱり現代兵器がきっかけで正体が分かったという事だ。》

「しかし高山がアメリカ大会で死んだときは本当にショックだったわ。でもこうやって生きててくれてよかったよ。」

「俺もさ。田中から聞いていたけど飛行機が落ちたって、でももしかしたら皆川はこの世界のどこかで生きてんじゃないかって思ってた。」

「うん。生きてた生きてた。」

「しっかし俺達みんな人間じゃないけど、何の因果かまた巡り会えたというわけだ。」

エミルが言う。

「偶然って恐ろしいな。」

オージェが言うが、俺は虹蛇の言葉を思い出して言う。

「それが、この世界の神様的な一人が言うには必然なんだそうだ。」

「導きみたいなもんかね?」

「まあよくわからないけど、偶然にしては出来すぎてるからね。」

「だな。それぞれに役割があるってことかねぇ?」

「それもよくわからない。いずれにせよこうやって集まれたという事、二カルスの森には林田もいるし俺達は何かの為に異世界に呼ばれたのかもしれないな。」

「そうかもしれんな。」

最強のサバゲチームが最強の体を手に入れて集まった。その事に意味がないと思う事の方がおかしいかもしれない。

そんなことを考えていると

バタバタバタ

足音が聞こえてきた。

「ご主人様!いかがなさいました!物凄い力を感じました!」

「ラウル様!大丈夫なのですか?」

「ラウル様!部屋に入ります。」

ガチャ

バタン!

ガラガラガラガラ

ドアを閉めるのと同時に部屋の壁が四方に崩れてしまった。どうやらオージェの闘気に俺の魔力がぶつかって耐えられなかったようだ。ひびが入っていたらしい。

「これは・・・」

みんなが唖然としている。

「いいんだ。皆には心配をかけてしまったね。ちょっとふざけてたら部屋が壊れちゃって。」

「ふざけてた?」

カトリーヌがキョトンとした顔で言う。

「そうそう。なんていうかちょっとだけ驚かせられた的な感じだから。」

「びっくりしました。」

するとミノスが言う。

「それよりも物凄い闘気と魔力を感じました。建物が壊れるのではないかと思いましたよ。」

「そんなに?」

「そうですわ。でも魔力の方はラウル様のものでした。フラスリアに戻るまでかなりの修練を積まれたのではないですか?」

カララが言う。

「まあ微調整や精度をあげる訓練をやったかな。とにかく神経を使った記憶しかないけれど。」

「そうですか。まったく頼もしい限りですわ。」

「そうか。それはよかった。」

《というか俺はそれよりも皆川とのめぐり会いで頭がいっぱいのため、そんなことはどうでもよかった。》

「ご主人様。何か悲しい事でもございましたか?」

どうやら俺は涙を拭く事も忘れて感動していたらしい。

「ちがうちがう。いいんだこれは。」

「会議はいかがなさいましょう?」

ティラが聞いてくる。

「すまない!会議はまた明日という事で通達をしてくれ。俺はオージェさんとエミルと話す事が出来たんだ。」

「かしこまりました。では明朝よりと言う事で良かったでしょうか?」

「ああティラ。そうしてくれると助かる。皆も明日まで自分たちのすべきことをしていてくれ。」

「「「「「「は!」」」」」

直属の配下達がぞろぞろと部屋を出て行こうとする。

「あ!あの!この部屋も直しておいてくれるかな?」

「かしこまりました。」

セイラが言う。

カトリーヌがどうしたらいいのと言う顔で俺を見る。

「カトリーヌはルフラと一緒にフラスリアに行って、けが人などを治してあげてくれ。」

「はい。かしこまりました!」

ルフラとカトリーヌが部屋を出ていく。

「よし!それじゃあ3人で酒盛りしようぜ!」

俺が言う。

「いいね!」

「いこういこう。」

俺は皆川との合流祝賀会をすることにしたのだった。

まさかオージェが皆川だったとは。

運命だと思う。