軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第265話 春の草原を旅する虹蛇と3人

シン国の南端についた。

虹蛇のおかげであっというまに・・

魔獣がはびこる恐ろしい砂漠をくつろぎながらやって来た。ソファーに座りお茶を飲みビスケットを食べて、気がついたらシン国の草原に降り立っていた。

信じられない。

「虹蛇様!本体は?」

「見えぬだけ。天空にいて見守っておる。」

「空に・・。私達は乗って移動出来ないのですか?」

「出来ない。」

「私達は乗れないと。」

「そう言う事だ。神格化した我に人が乗る事は出来ぬ。化身のグレースならば一緒に飛べるだろう。」

《なーんだ。蛇の姿のまま飛んでくれたらなあ・・神隠しにあった女の子みたいに乗れたらいいのに。あれは川の主だったか・・神様みたいなもんだよな。この世界では乗れないのかな?いや前世でも乗れないか・・あれアニメだもんな。》

「あのここからは私が虹蛇様をお連れいたします。ただその前に安全な場所まで行って、この2人を休ませようと思います。」

「わかったそうしてくれ。」

俺はスッと手を前に出す。出さなくてもいいのに。

ドン!

召喚したのは、陸上自衛隊 輸送防護車・MRAP【ブッシュマスター防護機動車】だった。6気筒ディーゼルターボチャージャーエンジンと強固なボディの堅牢な装甲車だ。やはり冷暖房は欠かせない。

《この重厚な感じがたまらなくいい。》

「わぁ!またでた!」

虹蛇が驚いている。

「ぜひお乗り下さい。」

「すまんな。」

ガパン!

俺は後部ハッチを開いた。運転席や助手席にドアがないので乗降は後部ハッチから行う。

「じゃあトラメルさんとケイシー神父は後部座席へ。」

「砂漠で乗ったのより広いわね。」

「ええ、あれとは種類が違います。こっちのほうが大きいです。」

そして二人を後部座席に座らせる。

「虹蛇様はどこに乗りたいですか?」

「進む方向に座りたい。」

虹蛇を助手席に連れていく。

「これ鉄で出来ているのか?」

「ええまあ・・そうです。」

「凄いなあ。」

虹蛇様もご満悦の様だった。

「少しお待ちいただいてもよろしいですか?」

「ああ、大丈夫だぞ。」

《やっと砂漠を抜けたし虹蛇なる凄い味方をつけた、ただ気になるのは虹蛇の潜在能力や戦闘力だった。》

俺は後部座席に行って上部ハッチを開け、5.56mm機関銃MINIMIを召喚しLAV銃座に搭載する。これなら前方をシールドで守るような形になり、敵の攻撃を避けつつ銃を撃つことができる。

「えっとトラメルさんちょっといいですか?」

「なにかしら?」

俺の隣にトラメルが来る。上部ハッチから二人が上半身を出した状態になる。

トラメルとの距離が近い。

「えっと。これも武器なんです。」

「そうなのね。」

そして俺はトラメルの体を銃の前に持ってくるように触る。

「あっ・・」

「ああすみません。これから銃の打ち方を教えます。」

「大丈夫よ。」

心なしかトラメルの頬が紅い。

「ここをこうもって、こうやって・・」

トラメルが素直に俺の教えに従って動く。

「これを外して。ここをひいてください。」

パタタタタタタタン

「これで鉄の弾が連発出てて敵を倒します。」

「わかったわ。」

「よく狙って撃つようにお願いします。」

「ええ。」

「次にケイシー神父。」

「はい!」

そしてケイシー神父が上部ハッチから出て来る。

トラメルの時と同じように5.56mm機関銃MINIMIの打ち方をレクチャーする。

「わかりました。敵が来たらこれで倒すんですね。」

「ええお願いします。」

そして俺とケイシー神父が後部座席まで降りて来る。

「トラメルさんとケイシー神父は交代で天井ハッチで見張りをしてください。後方の確認をお願いしたいのです。一人が見張りをしている間は一人は座席で休むようにしてください。」

「ええ。」

「やります。」

これで後方確認は大丈夫だ。前方は俺が運転をしながら確認していけばいい。

そして俺は運転席に戻ってある事を試みる。

《ギレザム》

《シャーミリア》

《ミノス》

・・・・・・・

・・・・・・・

《うん?念話が通じない?まさかエルフの里に入った時のような状態?》

すると意外にも隣から声がかかる。

「えっとおぬしはラウルだったか。」

「はいそうです。」

「シン国と二カルス大森林を超えて念話をしようとしたのではないか?」

「念話をご存知ですか?」

「もちろん知っている。ここからでは二カルスの森を超えては届かぬぞ。」

「えっ!そうなんですか?」

「もし届くのであれば、すでに我が化身の居場所を察知しておるわ。」

《なるほど・・虹蛇ともあろう存在が化身を見失ったのだからな、俺の念話では届かないのも当たり前か。》

「そうだったんですね。」

「もしかするとラウルは系譜をもっているのか?」

「ご存知ですか?」

「なんと!系譜を持っている!やはりそなたは人間の貴族ではなかったか。」

「えっと、そうですね。人間の貴族だったこともあるんですが・・」

「・・父か母が魔人か?」

「父が。」

「やはり半魔だったか。しかし・・そんなおかしな力を持った半魔をはじめて見る。」

「虹蛇様はいろいろ分かっているんですね?」

「そりゃそうだ。人間の一部も我が作ったのだし。」

「!!えっ!!」

「は!?」

「そんな!」

その話を聞いた俺とトラメルとケイシーが一斉に反応した。

「なんだなんだ?そんなに驚く事なのか?勉強不足よな・・と言うか既に我を知る者もいないという事か?」

俺とトラメルがケイシーをじっと睨む。

《そう。コイツが勉強不足なのも問題だ。》

「えっ!?えっ!?いやいや。私の信仰する神が人間を作ったと学んでいます。」

「ああ、アトムか?」

虹蛇が言う。

「ええ!アトム神様ですが・・・あのぅ・・お知合いですか?」

「もちろん。一緒に人間を作ったし。」

「ええ!」

どうやら虹蛇とはものすごい存在らしい。

「あのう・・虹蛇様・・」

「なんだ?」

「デモンもお知り合いですか?」

「違うわ!あれは敵ぞ!あんな気持ち悪いもん作るかい!」

いきなり嫌な顔をされた。

「敵なんですか?」

「我もアトムもデモンには相当嫌われておるはずだが。」

「デモンに嫌われてる?」

「そう。」

そう言う事だったのか。

《てことはやっぱり虹蛇は神様みたいなものだったんだな。》

「たぶんですが・・私の敵はデモンをどんどん呼び寄せているようなのです。」

「そんな奴がおるのか!?人間がか?」

「はい。」

「とうとう・・そんな奴が現れおったか。」

「今まで居なかったのですか?」

「いや2000年前には居たかな。それが原因で人間とデモンが小競り合いをしとったわ。」

「人魔大戦・・・」

「そうそう。大戦とかそんな大げさなもんでもないと思うが、そんな戦いだったと思う。」

俺達3人は凄い真実を聞いているのかもしれない。

「虹蛇様ありがとうございます。こんな下々の者にお付き合いいただけるとは・・」

ケイシー神父がボソッと言う。

「おぬしらに付き合ってるのではないぞ。」

虹蛇が言うので俺がフォローする。

「ええ分かっています。化身様に会いに行くためですよね。」

「そうそう。」

「とにかく化身様がいる場所までは、御一緒出来るという事で間違いないですよね?」

「もちろんだ。」

よかった。とりあえず一緒に行ってくれるなら問題ない。

「そして念話なんですが・・ここからは届かないっていう話でしたね。」

「おそらくエルフの里あたりには通る場所があるはず。」

《あ!それそれ!前にエルフの里で表に出た時に!ユークリットやフラスリアまで通じた!やっぱりあそこ迄いかないとダメなのか・・陸を進んでかぁ・・》

かなり時間がかかりそうだった。

「とにかく進みましょう。」

「わかった。あと・・我を守っておくれよ。」

「守る・・ですか?」

「本体なら問題はないが小身体は見た目通りに弱いぞ。」

ドヤ顔で言ってる。

「えっ!そうなんですね?」

「まあこの小身体が消えても問題はないが、この大きさに育つまで数年はかかるからな。」

「全力でお守りいたします。」

「私たちも十分気をつけましょう。」

「そうですね!僕も全力で頑張ります。」

「では出発します。」

輸送防護車・MRAPを出発させる。

どうやらシン国は春らしい、そのあたりに花が咲きとても美しい風景が広がっている。

「とにかくこの道を北に向かいます。」

ブロロロロロロロロ

北へ。

「しかし面白いな。まさか化身の友達が我の所に来てこうして一緒に旅をするとはな。」

「本当ですね。引き寄せと言っておりましたけど、どういうことですか?」

「ただのんべんだらりと生きていれば引き寄せられる事もないがな。思いが強ければ強いほど引き合わせられるもの。ラウルか・・化身の思いか・・何かがあるのだろう。」

「そういうものなんですね。」

「そういうものだ。」

外は綺麗な草原の風景が続いている。

「春ですね。」

「そうですわね。」

トラメルが答える。

「花が咲いています。」

ケイシー神父も上部ハッチから言って来る。

「そうですねー。気温もちょうどいいしドライブ日和です。」

「なんじゃ?どらいぶとは?」

「私の国で車で楽しく走る事を言います。」

「それはいい言葉だな。」

「ドライブ。虹蛇様はいかがですか?」

「楽しい。」

「よかったです。」

そしてそのまま進んでいくと上部ハッチのケイシー神父が言う。

「ラウルさん・・何か遠くに動いているものがいます。」

「本当だ・・」

四つ足の獣らしきものが草原に見える。

「あれは・・銀狼じゃな。」

「狼ですか。」

「そう。」

豆粒のような魔獣がシルバーウルフだと見えるらしい。

車を前進させていくと虹蛇の言うとおりシルバーウルフが近寄って来た。

「ケイシー神父。何匹くらいいます?」

「うーん、1,2,3,4・・・たぶん10匹以上います。」

「どうします?」

一応虹蛇に聞いてみる。

「わざわざ殺生するまでもあるまい。追い払えるか?」

「ええ。大丈夫です。」

一旦、車を停めて後部に行き、上部ハッチにいるケイシー神父にどいてもらう。

そして俺は音響兵器LRADを召喚した。

《こっちの世界に来てからこのデモ制圧装置を活用する事が多いな・・》

それを上部ハッチに設置して降りて来る。

「ケイシー神父、このマイクに向かって大声で叫んでください。狼を追い払えると思います。」

「わ、わかりました!」

そしてマイクを受け取ったケイシー神父が叫ぶ。

「こ、こら!近寄ってきちゃだめだよ!こっちには攻撃する気持ちなんてこれっぽっちもないんだから。」

ケイシー神父が・・威圧感ゼロの声で狼に囁きかけている。

「えっ?マジでやってんの?」

あ、いかんいかん!素になってしまった。

「あ、あの・・ケイシー神父大きな声で脅してください!」

「わかりました。」

スゥー

ケイシー神父が息を吸い込む。

「おい!お前たち!近寄ったら痛い目を見る事になるぞ!きちゃだめだぞ!」

俺達がケイシー神父をダメ人間を見る目で見ていると、虹蛇が言う。

「あのー近寄って来たぞ。」

「この作戦は失敗です。」

俺は再び運転席に座ってフル加速で走り出すのだった。