軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第251話 砂漠サメ一本釣り発破作戦

「イカーン!」

ザッシャー

砂の中からデカいサメが出てきて、小便中のケイシー神父を襲おうとしていた。

俺はケイシー神父の首根っこを掴んで放り投げた。

「ワーッ!」

放物線を描きながら飛んでいく神父。

《でかまだ出してるし!》

ケイシー神父の股間からキレイなアーチが描かれている。

トラメルは自分で横に飛んで避けていた。

「トラメル様!そこに止まって!」

動くとヤツらに感づかれる。

ズオッ

砂漠サメがケイシー神父を投げ飛ばした俺に襲い掛かる。

「あっぶな!」

俺は目の前に迫る砂漠サメを前回転の宙返りでギリギリかわした。

そして・・そんなアクロバティックな動きをしながらも、何故この砂漠サメが俺達の周りに発生したのか分かった。

小便だ。

アンモニア臭に誘われてきた可能性がある。さっきのトラメルがしたやつと、今回のケイシー神父がしたアンモニアの臭いに誘われて集まって来てしまったようだ。

それが証拠とばかりに、ケイシー神父が小便をまき散らしてしまったあたりには、また砂漠サメの背びれが集まって来た。

《やっぱり・・》

見るとまたケイシー神父に1匹襲いかかりそうだった。

俺はケイシー神父に駆け寄って抱きかかえ飛ぶ。するとケイシー神父が消えて何もなくなった場所に大口を開けた砂漠サメが出現した。

空振りしたサメはまた砂の中に潜っていった。

「・・・とりあえず”それ”しまってください。」

俺がケイシー神父に言うが彼は引きつった顔で固まっていた。

ガクガクガク

「あわわ・・」

「神父!それしまって!」

「あ、はい!」

神父がパンツとズボンを上げる。そして俺達は動きを止めた。

「動かないで!」

「はい。」

するとサメの背びれがまた俺達の周りを回遊し始めた。だが見つかるのは時間の問題だ。

《ううむ・・どうする。トラメルがどうしたらいいのか分からず俺の方を見ている。距離にして10メートルくらいか・・》

「ケイシー神父は、ここにいてください!」

「は・・はい!」

俺は体を低く低く沈ませ体に力をみなぎらせる。体中を魔力が回るようにイメージ。さらに集中して足の筋力を上げるようにイメージする。

《イメージは・・そう。シャーミリアのように。もっと溜めて呼吸を整えて・・》

息を止める。

《いけるか!》

シュッ

俺はケイシー神父の傍から消えた。

助走無しで10メートルを一気に飛ぶ。放物線を描いて上空を飛びトラメルの元へと。

スッ

細心の注意を払って足音を立てないように着地する。

トン

俺はトラメルの横におりた。

「ワッ」

突然飛んできた俺にトラメルは声を上げそうになる。

《やはりシャーミリアやファントムの様にはいかないな・・あいつらは10メートルなんか瞬間で直線的に静かに動くもんなあ・・まるでテレポートのように。》

俺のかすかな足音に反応して砂漠のサメは俺とトラメルの周りを回遊し始める。

《それにしても敏感だな。さっきの大サソリといい・・砂漠の魔獣の特性かもしれないな。》

「あのトラメル様。その剣は親の形見とかだったりします?」

「いいえ。兵士が使っている鉄剣と一緒よ。」

「貸していただいても?」

「いいわ。」

俺はトラメルから鉄剣を預かる。

そして俺は右手にある物を召喚した。

《これが効いてくれる相手であればいいのだが・・》

トラメルに借りた剣を右手にし、左手にはある物を持って走り出す。

すると俺の足音に反応したようで背びれが多数俺を追いかけて来た。

俺が立ち止まるとそこにめがけて1匹のサメが飛びかかって来た。

「はっ!」

その場所から飛び退きつつ振り向きざまに左手の武器のボタンを押す。するとそこからワイヤーが射出されてサメにくっついた瞬間、強烈な電流がサメに流れた。

パチパチパチパチ

そう・・テーザー銃を使ったのだった。

動きが止まったのはほんの一瞬で身をよじって線を外した。人間と違って動きを止める事は無かった。

《でも!一瞬動きが止まったぞ!》

俺が走り出すとまた背びれが多数ついてきた。砂漠サメの泳ぐ速度はだいぶ早い。これではトラメルやケイシー神父ではあっというまに追いつかれてしまう。

俺が立ち止まると砂漠サメはまた飛びかかってくる。

そして間髪入れずテーザー銃を射出したと同時に、ダッシュで砂漠サメに剣を突き入れる。

グシュゥ

《刺さった!》

サメの目の後ろから深々と剣が突き刺さり、柄の部分しか出ていない。

しかし・・

サメは止まらなかった!そのまま砂の地面にまた潜り込もうとする。

俺はすかさずAS Val特殊消音アサルトライフル(コードネーム:シャフト)を召喚した。ソ連が開発した特殊部隊向けのアサルトライフルだ。消音効果は抜群で9x39mm弾を軽快な音と共に射出していく。

パパパパパパパパパ

《まるでサバゲのモデルガンの様な音だな》

9x39mm弾は400メートルの距離でも5㎜の鉄板を貫通する。それをゼロ距離で脳天のあたりに喰らった砂漠サメは絶命した。

ドサ

サメは地表に落ちてピクピクしている。

俺が剣にテーザー銃やシャフトなどを併用して戦っているのは、あくまでも戦闘音を響かせないためだった。

サメから剣を抜いて思いっきり飛びのく。

すると死んだ砂漠サメを他のサメが食いちぎりやがった。あっという間に無くなっていく死んだ砂漠サメ。

《共食いとはあさましいねえ。》

俺はまた走り出す。

《もう一回うまくいくとは限らない・・次は・・》

俺が走り出すとまたサメがついてくる。

「単純だな。知能は低いらしいな・・どうすればいいのか見えてきた。」

走りながらアサルトライフルのシャフトを腰にぶら下げる。

次に俺はトラメルから借りた、砂漠サメに刺して血がたっぷりついた剣を地中深くに突き刺した。

柄だけが地表から出ている。そしてタングステンのワイヤーを召喚して柄の部分に幾重にもくくりつけた。

そう・・

釣りだ。

しばらくすると剣がズボっと地表に沈んだ。

物凄い引きだった。タングステンのワイヤーがコイルからどんどん伸びていく。

俺は腕にワイヤーを巻き体中に魔力をめぐらせた。さらに腕に集中的に魔力をそそぎワイヤーが巻き付いている部分を硬くした。

ワイヤーが伸びきるとぐんと俺が引っ張られる。しかし砂に膝まで潜らせて堪える。

ブワァァァァァァ

《あれ?踏ん張れない。》

それもその筈。足場はどこも砂だから止まれないのだ。

俺はまるで水上スキーをするように砂漠の上を滑り始めた。

「ひゃっほぅーぃ!」

気持ちいい!

なんて言ってる場合じゃない。どんどん引っ張られてあちこちをぐるぐると回り始める。

すると突然引きがなくなった。

プッ

剣が砂から吐き出されて出てくる。

ヒュン

俺はタングステンワイヤーを手繰り寄せるようにして剣を手元に引き寄せた。

《釣りは失敗だ。》

剣にはまたべっとりと砂漠サメの血がついていた。どうやら飲みこんだ奴の腹の中で暴れたらしい。

ザマアミロ

俺はその剣をまた地面に突き刺す。

シュー

剣についた血の臭いにつられて他の砂漠サメが剣に飛びついてくる。

俺はワイヤーを巧みに操り、砂漠サメが咥える直前に空中に剣を浮かび上がらせた。すると砂漠サメはそれにつられて大口を開けて空中に出てきた。

「ほい!」

俺は瞬間的にその砂漠サメに近づいて口の中にある物を放り込んだ。

砂漠サメはまた地中深くに沈んでいく。

ボスッ

鈍い音を立てて砂漠の砂が舞い上がる。

もちろん俺が口の中に放り込んだものはM67手榴弾だ。

地中の砂漠サメの腹の中で爆発すると音はほとんどしなかった。

「攻略法ゲーット!」

俺はまた砂漠サメの血がついた剣を釣りの要領で放り投げる。

するとまた砂漠サメが群がってきて剣に飛びつこうとするので、タングステンワイヤーをうまく操って剣を空中に浮かび上がらせた。

ガバー

砂漠サメが大口を開いて地表に出てくる。

「はは。馬鹿だ。」

俺はまた瞬間的に近づいて大口にM67手榴弾を放り込む。砂漠サメは地中に潜っていった。

ボスッ

また地中で爆発したようだった。

《これなら音もしないし効率的だな!》

そして俺はまた剣を放り投げた。

結局それを何度もくりかえして17匹の砂漠サメを仕留めた。そしてあたりをじっと見まわすが・・もう砂漠サメはいないようだった。

俺は剣からタングステンワイヤーを外して手に取る。乾いた剣からは血なまぐささに混ざってアンモニアの臭いがした。

《やはり・・アンモニアか。これからの旅路でトイレは少し考えなければいけないな。》

そう思いながらトラメルの所に近づいて行く。

トラメルとケイシー神父の二人は、俺が戦闘で離れる前と同じところで固まっていた。

「トラメル様。もう動いて大丈夫だと思いますよ。」

「・・もういないのかしら?」

「ええ。17匹ほどいましたが・・もう静かになったようです。」

「凄いわ・・」

「そしてこの剣。ありがとうございました・・ただ、砂漠サメの血で汚してしまいすみません。」

「いえ。大丈夫よそのための剣ですもの。」

「ありがとうございます。」

そして俺はトラメルと一緒にケイシー神父の所に行く。

「あの・・あの魔獣は!?」

「もういないと思います。ただ油断はできません。」

「そうですか・・この土地は・・一体何なんですかね・・」

「ええ。死の砂漠ですね・・人間だけなら生き残るのは難しいかもしれません。これなら敵兵は私達の生死を確認しに来るのも一苦労だと思います。人間だけの追手は無いとみていいかと。」

「人間以外なら?」

トラメルが聞いてくる。

「はい。敵には魔獣を使役する者もいると思いますので、空を飛ぶ魔獣などなら追跡が可能かと思います。」

「空を飛ぶ・・魔獣・・」

「フラスリアにも来たのですよね。」

「ええ。」

敵は使役した魔獣を使って追跡してくるかもしれないし、もしかしたらデモンが出現するかもしれない。

とにかく慎重に動くしかなさそうだ。

「そして・・お疲れの所申し訳ないのですが、もう少し西に動きます。」

「もちろんそうしたほうが良さそうね。」

「こんな恐ろしい所から一刻も早く離れたいですよ。」

トラメルとケイシー神父が同意してくれた。人間なのでかなり疲れていると思うが、恐ろしい魔獣を前にそうもいっていられない。

「では。またこのスコープを見ながらの前進となりますがよろしくお願いします。」

「ええ。」

「はい。」

あんがい恐ろしい月の砂漠自体が罠なのかもしれない。

《こんな場所にサイナス枢機卿とケイシー神父達が送られたら、数時間も生きる事が出来なかっただろう。一緒に飛ばされたのが俺で本当に良かったよ・・》

それからまた1刻(3時間)ほど歩くとようやく岩場のようなところが見えてきた。

「あそこなら地下からの襲撃はなさそうです。」

「そうね。」

「やっと・・やっと休めるんですね。」

「たどり着いたら飯にしましょう。」

しかしこの時はまだ気が付いていなかったが・・

この砂漠の過酷さは魔獣だけではないと思い知らせるのだった。