軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第229話 平和な街の不思議な情報

「うまい!」

「そうじゃろ!」

俺はモーリス先生の薦めてくれたクリーム麺と揚げ鳥パンを夢中で食っていた。

クリーム麺はパスタとうどんの中間くらいの太さの麺で、濃厚クリームスープにジャガイモと鶏肉が乗っている。揚げ鳥パンはチキンフライがはさんであり味の濃いソースが最高だった。

どちらも高カロリーだ。

「そしてこの量!すばらしいです!」

「そうじゃろそうじゃろ!」

えっと・・こんなこってりずっしりしたのをモーリス先生は食うのだろうか?若かりし冒険者時代ならいざ知らず・・食べられるわけが・・

ガツガツ食っていた。

「先生。味が濃いですね。」

「この国の北西は海に面しとるからのう。塩がとれるんじゃよ。」

「そうなんですね。しかもこのクリームも濃厚で美味いです。」

「この国は牛の放牧もやっておるんじゃよ。牛を知っておるか?」

「牛。モーってやつですよね。」

「おおよく知っておるな。」

「見た事は無いですが。」《この世界では》

「勉強熱心でよろしい。」

・・・勉強したんじゃなくて前世の記憶だけど。

「もしかしたらここの特産ですか?」

「そうじゃな。牛の乳というのがこの料理の特徴じゃ。」

「他の地域でもこういうクリームのような物を食べたことがありますが・・」

「この国は牛の乳を固形にすることができるのじゃよ。乾燥させることで腐らずに運ぶことが出来るのじゃ。ラウルがほかで食ったのは、ここから輸出された固形乳を使った料理じゃろうな。」

なるほど。前世でいうところの古代の【蘇】みたいなもんかな。

「固形乳ですか・・凄いですね。」

「うむ。」

「他にシュラーデンの特産はあるんですかね?」

「うーん。このあたりにはグレートレッドベアーといって、普通のレッドベアーよりおっきくて危険な熊が多数生息しておるからのう、薬草とかはほとんど採れないのじゃ。まあグレートレッドベアーといってもセルマほど巨大ではないがの。」

《普通のレッドベアーでもデカいもので8メートルくらいある。もっとでっかいとか・・どんな熊なんだろう。まあ20メートル級のセルマを見たらどれも可愛く見えそうだけど・・》

「そうなんですね。あんな低い市壁で大丈夫なのでしょうか?」

「大丈夫じゃ、人里にはグレートレッドベアーは降りてこんよ。森か西の山脈あたりにおる。」

「なるほど。だからここでは薬草や魔獣の毛皮が重宝するわけですね。そんなのがいたんじゃ人間は森に採取しになど行けない。」

「そういう事じゃな。あと・・シュラーデンの特産と言えば、このクリーム麺に入っている芋もこのへんで採れるものじゃ。」

これも特産か・・この芋はジャガイモのようだ。食感も味もそのものずばりだった。

「芋も美味いです。」

「そうじゃろー。ラウルが喜ぶと思ったんじゃ!」

モーリス先生が孫に対するように目を細めて言う。

「ありがとうございます。」

「あと、麺はほとんどがサナリアの小麦じゃろうて。ん?そういえば・・なぜまだシュラーデンに小麦がはいってくるんじゃろう?戦後はほとんど流通していないと思うたが・・」

「それは今サナリアに、バルギウスから徴用された民がいて作ってもらっているからです。」

「ほう・・しかしその者達はバルギウスやファートリアの為に作っとったんじゃろう?」

「その通りです。しかし私がサナリアを奪還しラシュタルを復活させたために流通が始まったんだと思います。ルタンも街道の町も全ての拠点は押さえましたし、グラドラムには流通促進の組織があります。魔人達を各拠点に配置していますので、素早い商品の流通が可能になりました。」

「まったく・・おぬしのやっている事は常識をはるかに超えておるわい。」

「いち早くすべての民が自由な暮らしを出来るようにしたいのです。」

「ラウルよ・・おぬしは・・神にでもなるつもりか?」

「いえ。私はそれらを全て達成したらイオナ母さんと余生を送りたいです。神になどなりたいと思いません。まあ・・先生のような冒険者にもなってみたいですけどね。」

「ふふ・・つくづく面白いのう。」

「そうでしょうか?」

「面白いわい。普通は野心でそのような事を起こすものじゃ。」

「野心ですか・・私は先生とこうしていつまでも美味いものを喰って、みんなで同じ食卓を囲んで子供たちの成長を眺めて・・そんな暮らしを夢見ているのです。」

「慎ましやかな事よ・・じゃが・・それもラウルの本心じゃという事が痛いほどわかるわい。」

「ありがとうございます。先生にはわかっていただけると思っておりました。」

するとモーリス先生はテーブルの上の料理を眺める。テーブルの皿には料理は既に無くなっていた。

「おやラウル?もう食ったのか?なら・・お嬢ちゃん!」

モーリス先生がウエイトレスを呼んだ。

「揚げ芋の大盛りをくれんか?」

「かしこまりましたー!」

揚げ芋・・・だいたい想像がついた。美味いに決まっている。

しばらくして俺の前に出てきたのは・・

そう・・フライドポテトだった。

パクっ

まんまそうだった。

「美味いじゃろ?」

「はい。」

ここまでくるとコ○ラが欲しくなる。まるでファーストフードだ。

「それで先生。この後なのですがシュラーデンの平和が本物なのかを探らねばなりません。そしてファートリアバルギウス兵がいない理由も探ります。その原因が危険な物であれば排除しますし、民に問題ないのであればそのままにしようかと考えています。」

「そうじゃな。この店も活気にあふれておるようじゃ。特に問題がなさそうに思える。」

「ええ。あの、では次に・・武器屋に行きたいのですが?」

「武器屋?お主は武器に困らんだろう?」

「あの・・いままでの旅で突破口はほとんど武器屋にありました。きっと武器屋には何かがあると思います。おそらくギルドが消滅したいま、その一部を武器屋が補っているのではないかと思うのです。」

「なるほどのう、たしかに遠くは無いかの。よし!それでは腹も膨れた事じゃし武器屋にまいろうか。」

「はい。」

そして俺達はマーグたちが用意してくれていた毛皮や薬草を売ったお金で、この食べ物屋さんの払いを済ませる。なんとこれだけ食って銀貨2枚だった。

たぶん・・安いんだと思う。

「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」

「うまかったわい。」

「本当に美味しかった!ありがとう!」

「い・・いえ・・お客様からありがとうと言っていただけるとは光栄です。」

店のお姉さんから深々と頭を下げられる。

「あのこのあたりに武器屋はありますかね?」

「はい武器屋さんでしたら、ここを左にまっすぐ行って十字路がありますのでその角です。」

「ありがとうございます。」

そして俺達3人は店を出て、言われたとおりの方向に歩いて行く。

すると街をゆく人たちが・・シャーミリアをちらちらとみる。特に男の視線はくぎ付けだった。どうやら目立ってしまっているようだった。

歩く男はシャーミリアを見続けて前を見ていなかったために、バケツに足を突っ込んで転んでいた。

もう一人の男はあまりにシャーミリアを凝視しすぎて、横にいた奥さんらしい人から腕を引っ張られていく。途中で「知らない!」と言われてプンプンと進んでいく奥さんを追いかけていた。

「シャーミリア。ちょっとお前は目立つようだ・・フードをかぶれ。」

「かしこまりました。申し訳ございません!ご主人様の作戦の妨げになるところでした!気をつけます!」

「いやいや・・そんなにかしこまらなくていいけどさ。とりあえずフードをかぶっていてくれよ。」

「はい!」

「ふぉっふぉっふぉ!美しすぎるというのも大変な事じゃな。」

「まったくです。」

「も・・申し訳ございません!!」

「まあ謝ることじゃありゃせんがな。まあ作戦行動中じゃ目立たぬようにするのは大事じゃ。」

「かしこまりました。」

シャーミリアは正直に言うと可憐で美しい。しかし俺は美女ぞろいの魔人達の中にいて麻痺しているため、シャーミリアが目立ってしまう事を失念していた。美しい人間のカトリーヌでも魔人の中に立つと引けを取ってしまう。イオナ母さんも美女ではあるがどこか人間っぽい。魔人の美しさは人間を超越しているのだ。

そりゃそうだ・・

魔人なんだから。

そして言われた十字路に差し掛かる。

すると4つ角のどれもが同じ様な店がまえをしていた。

「はて?どれじゃろうな?」

モーリス先生が言うが俺は全く迷わない。

「あれです。」

「なぜわかるのじゃ?」

「あれが武器屋だからです。」

「だから・・なぜ・・」

モーリス先生がみなを言う前に俺がズンズン突き進んでいく。

ガチャ

ドアを開ける。

「ごめんくださーい。」

ほら。武器屋。

木剣や槍などが置いてあって、皮の鎧なども壁にかけてあるようだった。

「いらっしゃい!」

「あの・・武器って売ってますか?」

「もちろんですよ。まあ護身用程度ですけどね。」

「見ていっても良いですか?」

「どうぞどうぞ。」

そして俺達3人は武器屋に入って見始める。

「・・まあまあじゃな。」

モーリス先生が言う。

「業物や魔剣などは?」

「ないのう。」

「そうですか・・」

すると店主が俺達に近づいてくる。

「もしかすると道場に入門される方ですか?」

「道場?」

「はい。冒険者のいない今は、ここに来るのは道場入門者や経験者くらいですから。」

「面白いのう。道場とはの・・ラウルよちょっと覗いてみんか?」

「そうですね。」

「その道場と言うのはどこにあるのじゃな?」

「はい。今は使われていない城です。」

「城!?」

「はい。驚かれるのも無理はありませんが、大戦で王族や貴族は皆いなくなってしまいました。ここにも大勢敵が来ましたからね。」

「では・・城がなぜ道場に?そもそも・・その敵兵はどこにおるのじゃ?」

「ああ、よその人でしたか。それじゃあ城に行くと分かると思いますよ。」

「城には簡単に入れるのかいな?」

「ええ、全面開放されていると思いますが?」

なんだろう?全く何のためらいもなく城に行けと言う。危機感と言うか・・畏怖の念と言うか・・普通の一般市民の王城に対しての思いがないように感じる。

「あのー。ひとつ聞いてもよろしいでしょうか?」

「はい。どうぞどうぞ。」

「城が・・一般開放されているのですか?」

「そうですよ。」

「えっと・・ファートリアやバルギウスの兵はそこにいたりします?」

「ああ、いると思いますよ。きっと稽古をつけてもらってるんじゃないでしょうかね?」

「えっと・・敵・・ですよね?」

「そうですね。王家や貴族・・兵士たちを殺した極悪人です。」

「それが・・城にいる?」

「はい。でも彼らに自由はありませんけど・・」

「なんじゃと?兵達に自由が無い!?」

「そうです。おそらくは一人の男にしごかれていると思いますが?」

どゆ事?

一人の男が・・ファートリアやバルギウスの兵をしごく?なにいってんの?

「我々が行っても大丈夫なものなのでしょうか?」

「ええ。見学とかもできますよ。」

「け・・見学!?」

「まあ一見にしかずですよ。ぜひ見に行ってみてはいかがでしょう?」

「ありがとうございます。」

「そして・・もし道場に入門なさるのであれば、うちで防具のご購入などをご検討ください!」

「あ、わかりました。その時はお願いします。」

「おじい様もお孫さんの為にぜひ良い防具を!」

「ふむ・・わかった。その時は利用させていただこうかの・・」

俺とモーリス先生は狐につままれたような雰囲気になってしまった。

「あの・・先生・・とりあえずは・・」

「そうじゃな・・」

俺達は店を出た。

「先生・・どういう事でしょう?いきなり行っては危険でしょうか?」

「ふむ。何らかの問題はありそうじゃが・・いざとなればファントムとシャーミリア譲がおるじゃろ。」

「まあ・・大丈夫だと思いますが・・先に聞き込みをしてみませんか?」

「そうじゃな。数軒の店を回って聞き込みしてみようかの?」

「はい。」

するとその時ティラから念話がつながった。

《ラウル様!今はどこにおられますか?》

《町の中心の十字路からしばらく北に歩いたところだ。》

《あの・・どうやらこの街の原因がわかりました。》

ティラが何かを突き止めたようだった。

「先生!ティラが何かをつかんだみたいです。待ちましょう。」

「おお、それはきっと吉報じゃな。」

俺はティラから事情を聴くことにした。