軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第210話 情報整理と作戦指示

崩壊したユークリット王都にいながら俺は各拠点に念話を繋いだ。

これからの動きをどうすべきか情報を整理する必要があるからだ。

まずはグラドラムに残して来たタピに念話を繋げる。

《タピ!》

《はい。ラウル様》

《ルタンからデイジーは来たか?》

《はい来ています。ですが着いた途端に、ミーシャさんと常に研究所にこもりっきりになって出てきません。》

《そうか・・ミーシャまた危ない事してなきゃいいけど・・》

《不思議な光を発する棒のようなものを作っていました。》

《不思議な光を発する・・棒?薬じゃなくて?》

《薬じゃないそうです。》

彼女らは一体何を作っているんだろう?凄く気になるが今はそれを確認する術はない。

《他の魔人達の様子はどうだ?》

《都市の強化に励んでおります。街も巨大になり新しい建物も増えました。》

《ドワーフのバルムスはどうしてる?》

《ミーシャさんやデイジーさんと一緒に籠る事が多いです。》

《バルムスもか!》

いよいよ怪しい。どうやらバルムスも変態的な創作に混ざっているようだった。あの3人が集まって作る物・・一体何なんだろう。

・・・気になる!!

俺はすぐにでもグラドラムに行きたい衝動を抑えて話を続ける。

《そうか。母さんは?》

《最近は魔人達の為に娯楽として、シロとイチローニローたちグリフォンを操って見世物をしております。》

《見世物?》

《はい。シロはドワーフの作った巨大な玉に乗って転がったり、グリフォンに乗ったダークエルフが弓矢で的を射たりしています。》

サーカスのようなものをしているという事か・・イオナ母さんは本当にどういう人なんだろう。

《ミゼッタは?》

《癒しの風呂という浴場を経営しています。》

《えっと・・何?》

《浴場を経営しています。》

《それは・・どういう。やましいものとかではないよな?》

《労働者の傷をいやす風呂です。》

《それはよかった。》

俺はホッとした。ミゼッタに限っておかしなことをすることは無いと思うが、癒しの風呂とか聞いてちょっと焦る。

《ポール王は元気か?》

《精力的に活動をしておられます。残った数百名の人間に仕事を与えたり、ラウル様からいただいた貨幣をグラドラム内で流通させています。魔人達に通貨の概念を教え込むことが目的とか?あとはラシュタルより物資が届きました。》

《もう貿易をしているのか?》

《そのようです。トラックでグラドラム、ルタン、ラシュタルを繋ぎ物流が始まりました。》

《そうか。近いうちにグラドラムとルタン、ラシュタルに赴いてトラックを大量召喚する必要があるな。》

《それは皆喜ぶと思います。》

《他には?》

《ミーシャさんデイジーさんバルムスさんの所だけは、機密保持のためなにも知らされておりませんが、他の部分に関しては順調だと思います。》

《わかったありがとう!引き続き情報の把握をお願いする。》

《わかりました。》

タピとの念話を閉じる。

えっと・・

俺はグラドラムで起きている事にめちゃくちゃ関心があった。しかし今は優先順位低いと判断した。皆いろんな事をどんどん始めているようだし問題はない。

《でも2週間やそこらの話だ。魔人やドワーフ、ミーシャやデイジー、イオナもミゼッタ・・そしてポール王までもが精力的に活動している。ずいぶん革新的な人達ばかりなんだが・・》

次にラシュタルの森林基地のナタに連絡をした。

《ナタ》

《ラウル様!》

《そちらの状況は?》

《森林基地はかなりの作りになったと思います。》

《ラシュタルから使者は来るか?》

《はい業者が物資を森の入り口まで運びそれを我々がもらい受ける形です。基地にはエリックや騎士が時折くるのと、昨日ティファラ王女とルブレストとクルス神父が初めて来ました。》

《3人は元気にしているか?》

《はい。敵から解放されて街にも活気が出てきたと言っておりました。》

《それは良かった。魔獣や敵の動きは?》

《今のところ無いようです。脅威を発見次第すぐにご連絡いたします。》

《頼む。他には?》

《ラシュタル兵達を魔人兵に稽古してもらいたいと、ルブレストさんから頼まれていますが?》

《ああ要望に応えてやってくれ。》

《人間が我々の訓練に耐えられるでしょうか?》

《あの・・ほどほどに頼む。》

《かしこまりました。それでしたら今はそれぐらいです。》

《わかった。引き続き頼む。》

《はい。》

どうやらラシュタルは順調に復興に向かっているようだ。住民がほとんど残っていた事やティファラ王女、ルブレスト、クルス神父、エリックと騎士たちの働きが大きい。ラシュタルに関してほぼ問題ないだろう。

次に俺はフラスリア領の制圧に向かったマキーナとルピアに念話を繋いだ。

《マキーナ、ルピア》

《ご主人様!》

《ラウル様!》

二人は喜んで念話に答える。

《そちらの状況はどうだ?》

《バルギウスファートリアに反抗していた森の勢力と話を付けました。》

《理解してくれているか?》

《はい。どうやらそれらの反抗勢力を率いていたものは、このフラスリア領に縁が深いもののようです。》

《というと?》

《女の長なのですが、フラスリア領を納めていたルスラ・ハルムートの娘トラメル・ハルムートだと申しております。》

《おお!領主の娘が生きていたのか!》

《そのようです。》

《そしてどうなった?》

《領を敵から奪還し領民の元にトラメルを連れて行きました。どうやら相当に慕われていた様子で、彼女が生きていたことに涙する領民がたくさんおりました。》

《そうか。それでは統治はトラメルさんが出来そうと考えていいのかな?》

《おそらくは。ただいつ敵が攻めてくるかが分かりません。おそらく森の反乱分子だけで敵勢力を抑えることはむずかしいかと。》

《わかったマキーナ。それならばドラグの隊と共にそのままフラスリア領の護衛の任務につけ。》

《はい。》

《ほかに変わった事は?》

《はい。その一団のなかにファートリア神聖国の神父だったというものがおりました。》

《ファートリアの神父?》

《はい反乱軍と共に一緒に保護しておりますがいかがなさいましょう。》

《危険そうか?》

《いいえ。臆病な男でファートリアに厄災がおきて逃げてきたのだと言っております。》

《十分警戒しておけ。ルピアが張り付いて変な動きをしないか監視しろ。》

《わかりました。》

《引き続き駐留している間、俺が訪問するまでルピアは神父に関して逐一報告をくれ。》

《はい。》

《気になる所は以上か?》

《ドラグが基地の設置場所を確保すべきではと言っております。》

《そうだな。トラメルさんと交渉次第になるが候補地を先に探す事は許そう。》

《伝えます。》

《以上か?》

《はい。》

俺はマキーナとルピアとの念話を切った。

うむ・・ファートリアの神父ね・・大丈夫かな?マキーナの情報からすると問題はなさそうだが、一応警戒は必要だろうな。ルピアには逐一報告してもらう必要があるかもしれない。

次は・・ギレザム隊か。

ギレザムに念話を繋ぐ。

《ギル》

《はい。ラウル様。》

《マリアとカトリーヌの様子はどうだい。》

《二人とも息災でございます。》

《よかった。他の魔人は?》

《誰一人怪我もしておりません。》

《バルギウスファートリア兵との戦闘では?》

《逃がすことなく潰しております。エリクサーも使用しておりません。》

潰す・・か・・虫程度を駆除する話のようだ。イケメンだし仕事は出来るし節約まで出来るのか・・気遣いもできるし、もう言う事ないな・・ギレザムは。

《ファミルは?》

《ファミルはマリアさんと仲良くしておられます。気心しれた旧知の仲という事で支え合っているようです。》

《セルマにも会いたいだろうな。》

《クマになった事をお伝えしたら驚いていましたが・・》

《そうだな。でもファミルは獣人だから、もしかすると意志の疎通ができるかもしれないとか思ってるよ。》

《なるほどそうかもしれません。会う時が楽しみですね。》

《ああ。》

《して、その後なんですが、かなりの領民やサナリア領民を救助しました。各村や町にそのまま残してきておりまして、魔獣や敵兵の襲撃があればひとたまりもないかと。》

《そうか。だがおそらくは安全だよ。バルギウスやユークリット王都からの敵の進出は無いと思っていい。俺達が制圧したからな。注意するべきは西の山脈からの魔獣の進出だな。》

《さすがでございます。西側の山脈を警戒するだけとなると、我々の作戦行動中でも対応できそうです。》

《そうしてくれ。他には?》

《西の山脈とユークリットとバルギウスの中間地点に森があるのですが、そこに逃げ延びた人々がいるという噂程度の話を聞きました。》

《森に人間がか・・》

《はい。村人たちの話によりますと、そこから食料などの物資を買いに、ファートリアバルギウスの兵の目を盗んで受け取りに来ていたものがいるという事です。》

《なるほど。だとここからは南西の方向にある森だな。そこはバルギウスに向かう時上空を通過したところだ。》

《そうでしたか。》

《かなりの高度を取って飛んだから気が付かなかった。》

《森に潜んでいるそうですので。》

《分かったありがとう。ほかに何かあるか?》

《元の冒険者ギルドに所属していた冒険者たちが、その地点に向かったとの情報も聞いております。》

《そうか・・やはりなにかあるんだな。》

《そう思われます。》

《わかった。ギルあとどのくらいで西の山脈に到達するかな?》

《討伐と救出を兼ねておりますので、10日はかかるかと。》

《わかった。これから俺はその森に向かいその足でシュラーデンに向かう。そろそろシュラーデンに向かったマーグの部隊が王都に到達する頃だろう。》

《かしこまりました。》

《10日後に西の山脈付近で落ち合おう。》

《は!》

俺はギレザムとの念話を切る。

どうやらユークリット内の民はかなり生き残っているらしい。殺されたのは王族や貴族と王都の人々サナリアの人が多かったようだ。敵はユークリットの女神であるイオナを探していたらしいから、重点的にイオナの生家があるユークリット王都と嫁ぎ先のサナリアがやられたようだ。

なぜ・・イオナは執拗にねらわれたのだろう。いち貴族の女性にどのような価値があるのかがわからないが・・彼女はグラドラムから出すわけにいかなそうだ。

「さてと・・みんな。念話で伝わった通りだ。というわけでこれから隊を分割することになる。二個小隊の車両部隊を編成しタロスとドランが10名ずつを指揮し最前線のバルギウスに向かってくれ。そしてグレースに頼みがあるんだが・・そいつらと一緒にまたバルギウスに戻ってくれないか?」

「えっ!せっかく味方に会えたのに?」

「これからグレース指揮下にタロスとドラン以下20名二個小隊をつける。」

俺が言うとタロスとドランが答える。

「異論はございません!グレースさんよろしくお願いします!」

「いやいや!異論はあるある!」

グレースが慌てて拒否る。

「だめかな?」

「だって後は任せたとかってバルギウスをカッコよく出てきたのに、もう帰って来たって言われますよ!」

「あの・・大量の兵器とストライカー4台と10式戦車をつけるけど・・」

「もちろん!早速行ってきます。それ!もらえるんですか?」

「ただ・・30日で消滅するから期間限定だけど、30日以内にバルギウスに大勢の魔人を連れていくよ。そしたらまた俺達と合流しよう。だからさ・・バルギウスに魔人達が駐留する許可を得てきてほしいんだ。基地を作りたいんだよ。」

「あー、わかりました。言って見ればバルギウスと安保条約を結びたいという事ですね?それなら俺が行かないとだめですもんね。」

「そういう事だ。」

「絶対迎えに来てくださいよ!」

「約束は違えない。それじゃあオンジさん・・引き続きグレースをお願いします。」

「もちろんです。私の使命ですから。」

「そしてアナミスもバルギウス交渉部隊に同行して、バルギウス兵の精神操作が必要な時は行ってくれていい。まあ危険はないだろうがもめごとは面倒だ。」

「はい。わかりました。」

「なにかあっても、ほどほど・・・・にな。」

アナミスは軽く舌なめずりをしたように見えたが・・気のせいだろう。

「ラウル様。お任せください。」

「というわけで、グレースにはバルギウスに大量の魔人を送り込むために交渉しに行ってもらう。いいかな?」

「了解でーす。あの・・10式戦車俺が乗っても良いですか?壊してもいいですか?」

「かまわないよ。」

「はい!」

グレースは既に武器を触るのが楽しみで仕方ないらしい。

「そしてエミルとケイナさんはセイラ、マカと一緒にチヌークで一番近いルタンに飛んでほしい。ここを拠点として数機のチヌークヘリを置いて行く。ルタンにはすでにかなりの魔人が移住していると思うから、復興に必要な人員30名を第一陣として選出して連れてきてほしい。」

「了解だ。ルタンに着いたらセイラさんとマカ君に任せればいいのかな?」

「そのとおりだ。」

「セイラさん。マカ君よろしく頼むよ。」

「もちろんです。」

「よろしくおねがいします!」

セイラとマカがエミルに返事をする。

するとエミルとグレースが俺に向かって言う。

「ふふ。その冴えわたる采配がサバゲ隊長時代を思い出させるな。」

「ほんとですね。」

「二人のおかげさ。」

エミルにはユークリット王都を再建するための人員を連れてくるように頼む。これでユークリット王都に魔人達が住むための足掛かりをつけることにする。

次にミノスとラーズ、カララ、ティラ、ナタ、セルマ熊に向かって指示を出す。

「お前たちはエミルのヘリが到着するまでここでヘリの見張りを頼む。」

くるるるる・・・

セルマはどうやら俺についてきたいようだったが、今回は大型ヘリをルタンに飛ばすため連れてはいけなかった。

「セルマ・・頼むよ。」

俺はセルマを撫でながらお願いすると、納得したようだった。

「皆はいいかな?」

「かしこまりました。」

「問題ございません。」

カララとミノスが答える。

「首都は空っぽだが、この周辺にもファートリアバルギウス兵が潜んでいる可能性があるからな。敵を見極めて制圧するようにしてくれ。」

「はい。」

「お任せください。」

「かしこまりました。」

「了解です!」

「もちろんです!」

ミノス、ラーズ、カララ ティラ、ナタが返事をする。

「ラウル様達はどちらへ?」

ミノスが聞いてくる。

「俺とシャーミリアとファントムで西の森へ向かう。」

「3人だけで?」

「問題ない。」

「無理をなさらずに。」

「今回のバルギウス戦とユークリット奪還戦で、俺だけじゃなくみんなもかなりの進化を遂げた。かなりの事案にも対応できると思う。だから俺達の事も心配しなくていい。」

「はい。」

「それじゃあ。いったん飯にしよう。」

俺は人数分の3倍の戦闘糧食を召喚し、全員が寝れる用のテントを召喚してテント村を作る。

「飯が終わったら朝までみんなで休むことにしよう。」

「「「「「了解!」」」」」

日の出とともに新たな作戦を始める事にするのだった。