軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第194話 恐ろしいゴーストの攻撃

先の大規模戦闘から2時間後。

テントにいるエルフの二人、エミルとケイナに声をかける。

「どうだ?」

「そこそこ休めたよ。まあさっきまでヘリに座っていただけだから、それほど疲れてもいなかったけど。」

「それは良かった。ただ戦闘待機も疲れるからな少しでも休息は必要だろ。」

「ラウル達は横にならなくて大丈夫なのか?」

「俺達は座ってるだけで十分・・っていうか元々まったく疲れていない。鼻血が出そうなくらいだ。」

「は?15万人も倒してるのに?逆に大丈夫かよ?」

「いやいや逆に充填しちまったんだ。ゲップが出るくらいだ。」

「・・よくわからんが・・ならいいや。」

「パーティーはこれからだ。」

「ふふ、そうだな。」

エミルだけがウケていた。

そして俺は自衛隊の戦闘糧食を二人の目の前に召喚する。

「じゃあこれ。戦闘糧食で悪いが食ってくれ。」

「自衛隊の缶めしか!じゃあ俺は五目飯缶とマグロ缶とたくあん缶もらうよ。」

「すみませんラウル様。おすすめは?」

「じゃあケイナはとり飯缶とハンバーグ缶と念のため乾パンか。」

「わかった。じゃあそれにしますわ。」

二人はおもむろに戦闘糧食を食べ始める。

「おお!十分食えるな。すこし塩味が強いか・・たくあんの歯ごたえもパリパリだ。」

「ええ、味が濃いけどおいしいわ。ハンバーグと言うのですね?作ってみたいです。そしてこれはポロポロとしてるけどおいしい・・」

「ケイナさん。それはご飯と言うものだよ米で出来てるんだ。」

「米?でございますか?」

「俺の国の食いもんだよ。」

エミルが少し微妙な顔をした。エミルとケイナは同郷のエルフだが、エミルだけが米を知っている事を言い出せないからだ。

「エミルのそれは?」

「ああケイナさん。それはたくあんって言うんだよエミル彼女にあげてみて。」

エミルが一切れのたくあんをケイナにあーんした。

ポリポリポリ

「しょっぱい。けどなんていうか味があるわ。」

「それは大根だよ。」

「えっ!大根で出来てるんですか?」

「そういえばエルフの里に大根植えてあったね。グラドラムなら塩がいっぱいあるから作れそうだ。」

「作ってみたいです。」

「いつかやってみよう!」

「はい。」

俺はエミルとケイナが食事をしている間に二人に戦闘の説明をする。

「エミル。俺達は再びバルギウス帝都を攻める。」

「それで、俺たちは?」

「いままでと同じだ。ヘリで待機していてくれ。」

「また待機か。これが必要な時はすぐに呼んでくれよ!本当にな!」

エミルがAH-1Z ヴァイパーを指して言う。

「わかったって。」

エミルはどうしてもヴァイパー戦闘ヘリの性能を試したいようだった。だがこれが来ちゃったら俺のやる事が無くなってしまう気がする。戦ってるって気がしないし。

「もっと必要な時に呼ぼうと思っているんだ。」

「わかった。この迫撃砲は置いて行くのか?」

「ああ荷物になるからな。ばらそうと思ってる。」

「カララさんか・・」

「そうだ。」

エミルは・・迫撃砲も撃ってみたいのか?わかるわぁ・・

「今度撃たせてやるから。」

「絶対だぞ!」

やっぱり・・

時計は20:50を指していた。そろそろ作戦行動に移行する。

「じゃあセルマはここに残ってヘリを警護してくれ。ヘリが必要になってエミル達が飛び立ったら俺のところに来い。」

くおぉぉん!

たぶん。わかりましたって言ってる。

「じゃあエミル。十分注意しろ。」

「ああ大丈夫だ。風の精霊の加護のおかげで、生き物や人間の気配などがすぐにわかる。」

「また風を読んでいるのか?」

「そうだ。まあ・・気配をな・・」

なるほど・・カララの蜘蛛の糸を広げたような状態か。

「エミルはどのくらい先が読めるんだ?」

「まだあまり使いこなせていないが、1キロは読めていると思う。」

「すごいな。」

「情報が多くて少しめまいがしそうだよ。飛ぶときは凄く便利だけどな。」

「良い力をもらったっていう事か。」

「そのようだ。」

精霊はエミルとケイナになにかを感じ取って降りてきてくれたのだろうか・・その人の特性に近いものが備わるのかもしれない。

「月が出ているな。」

「ラウル。夜襲をかけるのには不利では?」

「いや、相手に俺達を認識してもらおうと思っているからいいんだよ。」

「そうなんだな。」

「じゃあ行って来るよ。」

「朗報を待ってるよ。」

どうやらエミルは自分に出番が回ってこないと思っているらしい。

《なんかかわいそうだ・・やっぱり出番を作ってやろうかな。》

俺達は再びバルギウス帝都に向かって進んでいく。

東の戦闘していた場所につくが特に何も変わった動きはなかった。ファントムがきちんと掃除したようで死体は全くない。

・・・あれがすべて・・・おれの・・

「ウッ」

「ご主人様、どうされました?」

「いや・・いいんだ。ここには敵がいないな。シャーミリア上空に飛んで周辺を索敵してくれ。」

「はい。」

シャーミリアは、100キロ以上あるM134ミニガンとバックパックを背負って月夜の空に飛び立った。

「今日の月は満月かな。」

「そのようです。」

カララが答える。

月に重なるシャーミリアがめっちゃカッコよくて・・見惚れてしまう。

《M134ミニガンをもって飛ぶ黒い羽の生えた可憐なドレスの女性・・金の巻き髪がなびいて幻想的だ。》

美しく見える。間違いない・・俺は変態だ。

次の瞬間シャーミリアは消えた。

すぐに念話で彼女に話しかける。

《どうか?》

《はいご主人様。敵は夜襲を警戒しているようです。都市内の各場所で兵士たちが待機しています。》

《変わった動きは?》

《都市内に灯りは一切ありません。全て消されております。》

なるほど・・

シャーミリアとの視界の共有がなされて内部が見えてきた。俺が見るとシャーミリアとは感覚的なものが違うのか、薄暗くハッキリ何をしているのか見れないところもある。だが兵士たちが各所で待機している様子はわかった。

《他にも見てくれ。》

《北門の外に多数の魔術師が・・いえ・・祈祷師でしょうか?何か祈りを捧げるような・・》

共有視界では確かに門付近で大勢の人間が何かをしているように見える。座って土下座をするように何度も何度も頭を地面にこすりつけているようだ。

《何をしているのか分かるか?》

《いえ存じ上げません。》

《よし降りてこい。》

《かしこまりました。》

シャーミリアがほとんど待たずに俺の側にスッと現れる。

「北門で何かをしていたな。せっかくだから見にいって見よう。」

「ご主人様。何が行われているのか分かりませんので念のため警戒を。」

「分かっている。」

「ラウル様。ご興味がおありになるのは分かるのですが、お気を付けなさるようにお願いします。」

「カララも心配してくれてありがとう。ちょっと様子をみるだけだから。」

「ラウル様・・敵は追い詰められておりますゆえ何をしてくるかわかりませんよ。」

「アナミスも心配しすぎだ。俺はそんなに好奇心旺盛な少年じゃないから。」

「「「えっ!」」」

3人がビックリしたように俺を見る。

「えっ!」

俺って好奇心旺盛な少年だと思われていたのか?

ファントムもその俺達のやり取りをただ黙って見て・・・なかった。相変わらずボーっと突っ立って遠くを見ている。

俺達は北に回り込んでいく。

ザザザザ

ズサササ

壁内から人がたくさん動く音が聞こえた。俺達が動くのと同時に城壁の中の人間も動いているようだ。

火矢がこちらに飛んできた。

シュ

シュ

シュ

すぐにカララが全て落とす。

「やはり月明かりのおかげで俺達が来たのが見えたようだ。」

「そのようです。」

きたぞぉぉぉぉぉ!

準備しろぉぉぉぉ!

すると北門の外に出ていた人間たちが一斉に門内に下がっていく。

ガラガラガラガラ

バン!

門が閉められる。

「ラウル様・・彼らは何をしていたのでしょう?」

「分からない。」

「人間の行動はよくわかりませんね。」

「そうだな。」

俺達が北門に向けて歩いて行くと何やら祈祷するような、念仏のような声が壁内からたくさん聞こえてきた。

「これは・・なんだ?」

「警戒なさってください。」

「何をしようとしているのでしょうか?」

「不気味です。」

シャーミリアとカララとアナミスが声をそろえて言う。

《目の前には何もない・・敵もいない・・どういうことだ?》

うむ。なんだかさっきまで祈祷師のような者達が大勢いたところには、絶対いかない方が良さそうな気がしてきた。

「みんな止まれ!」

「はい。」

俺達は北門周辺に行く前に足を止める。

・・・・

何も起きないようだが?もしかしたら魔法陣か?

俺は鏡面薬の瓶をポケットから取り出して北門の方に投げる。

パリン!

鏡面薬の瓶が割れて飛び散るが特に何も起こらない。どうやら魔法陣などの罠が仕掛けてあるわけではなかったようだ。しかし薬品が飛び散った方向に何かが大量に置いてあるのが見えた。

「シャーミリア。北門の前に大量に置いてあるものは一体なんだ?」

「ご主人様。おそらく人間の骨にございます。」

「あんなに転がっているぞ?」

「かなりの人数の骨があるようですわね。」

カララも確認したようだ。

「ご主人様いかがなさいましょう?」

「でも・・せっかく敵が何かを用意したんだし・・見ないで終わるのも今後の為には・・」

「左様でございますか。私はおそらく何かがわかりました。」

シャーミリアがそう言った時、骨の置いてある空間の周りに白い光のようななにかが・・フワフワと降りてきた。そのフワフワした白く光るものは、そのあたりを飛び回りながらどんどん増えていく。

すると・・そのフワフワした白いものがだんだんと形になっていく。

「騎士だ・・えっと馬もいる・・。」

「ゴーストでございます。」

「ゴースト・・」

「人の霊です。」

ゆっ幽霊!!うっそ怖い。

「えっ、はじめて見たよ。あれが霊なのか・・」

すると呪詛のような言葉が強くなってきたように思える。透けていた騎士たちが白くハッキリと見え出した・・それでも透けている。

「どんどん出てくるぞ!」

「そのようです。」

ぉぉお・・お・お・・お

うぅ・・う・うう・うう

あ”・あ・あ・・あああ

「なんか言っているぞ。」

「眠っていた魂を呼び起こされて怒りに満ちているようです。」

すると霊たちが俺達の方に飛び始めた。

「あのう・・シャーミリアあれに攻撃されることあるの?」

「もちろんです。霊獣などもおります。」

「きっ来たよ!」

俺は咄嗟に霊に対して12.7㎜重機関銃を置いて撃つ。

ダダダダダダダダダダダダ

「え!?貫通するんだけど!」

「はい・・霊体には実際の攻撃は効きません。」

「ゴーストに攻撃されると人間はどうなるの?」

「精神を直接攻撃されて消耗死するか、生きる事を止めてしまうと思われます。」

銃撃したことでフワフワしたものが俺達を完全にとらえて、猛スピードでこちらに飛んでくる。

「消耗死って!!逃げよう!銃が効かないんじゃ話にならない。」

「いいえご主人様。逃げる必要など・・」

「いや・・だっておっかないオバケきたよ!目が出てる奴いるし・・内臓ぶら下げてるやつも・・そもそも透き通って向こう側が見えてるじゃないか!」

「問題ないように思います。ねえカララ。」

「はいラウル様。逃げる必要を感じません。」

「その通りです。ドンと構えていて問題ありませんわ。」

「なんでお前らそんなに冷静なんだよ!」

「ご主人様。そんな慌てる事はございません。」

「ラウル様はいつも通りで良いのです。」

「相手は霊ですから。」

いやいやいやいやいやいや!

お前ら魔人だから余裕なんだって!

「う、うわぁぁぁぁ」

お化けがものすごく近くに来て髪を振り乱して俺にかかって来た。上からも地面からも出てくるし刀を振りかざしているぞ!

消耗死なんかしたくない!!

「に、にげっ!!!」

すると一体の大男の霊が俺に手を伸ばしてくる。

「成仏!成仏してください!南無阿弥陀仏!」

目を開くと大男の霊は消えていた。

「良かった!成仏したぞ!」

するとすぐに後ろから4体くらいの女の霊や男の霊が飛びかかって来た。

「うっぎゃぁぁぁ、ナムァ弥陀物、なっなむっ!」

また霊が消えた。

いや・・・霊が消えてるんじゃない?

シャーミリアとカララとアナミスが冷静に俺を見ている。どうやら慌てふためいているのは俺だけだったようだ。

「あの・・ご主人様。」

「お前たちなんで逃げないんだ!」

「私達に魔人にゴーストは危害を加える事は出来ません。そしてご主人様周りを見てください。」

「シャーミリア・・なにを・・・あれ?」

「大丈夫なのです。」

「霊はあんなにうじゃうじゃいたじゃないか!!」

シャーミリアとカララ、アナミスは本当にわからないのかな?みたいに目を見合わせた。

「ご主人様が全て吸い込まれました。」

「へっ・・」

「ラウル様。周りにはすでにゴーストの気配など、どこにもございませんよ。」

シーン

ほんとだ・・

「魂は全て元始の魔人様に・・・」

「あ・・もしかして兵士たちを殺した時と同じ事?」

「そうなります。」

「魂を吸うみたいな?」

「は、はい・・」

なんだ・・俺バカみたい。

めちゃくちゃ顔が赤くなるのが分かった。