軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第191話 面倒な50万人の処理

M61バルカン M134ミニガン M240中機関銃の音がなり始める。

ファントムは俺の目の前で門に向けて。

シャーミリアは一キロほど東方面に進み構えている。

アナミスは一キロほど西方面に進んで構えている。

キュィィィィィィ

ガガガガガガガガ

ババババババババ

大量に都市内から出てきた敵兵が、将棋倒しのようになぎ倒されていく。

ファントムがもつM61バルカンには20㎜M53徹甲焼夷弾を装填している。M53徹甲焼夷弾は距離100mで2センチの装甲板を貫通する。毎分6,000発で吐き出される弾丸は人間を相手に使用するものではない、対艦または対航空機やミサイル迎撃を目的としている。重量は給弾装置を抜いても112 kgあり通常は艦艇や航空機に搭載されるが、ファントムは給弾装置や弾丸ラックを含めて数百㎏以上あるそれを軽々と振り回す。

徹甲弾は前面に盾があっても、数十の人垣が出来ても、構わず貫いてどこまでも飛び城壁に当たった。

この兵器は1人の人型の者が持てるような代物ではなかった。ファントム以外では巨人化したスラガやマズルに扱わせている。

「もっ戻れぇぇぇ!」

門を出る兵士が壁外で倒されていく者達を目撃して後退するように言うが、騒音で後ろには状況が伝わらないため、突撃して押し寄せてくる兵から戻ろうとする者が外に押し出され、片っ端から撃たれて死んでいく。そんなことは関係なく、ファントムはただ淡々と動くものに照準を合わせて引き金を引く。

東西から来る兵士も同様に壁の曲がり角を曲がるまで気が付かずに、曲がったところに死体の山が築いてあるのに気が付き、戻ろうとするのだがその前に撃たれて殺されていく。東のシャーミリアは効率よく殺す事を心掛けているようだ。西のアナミスは面で攻撃しておりそれほど効率を気にしていない。

《性格なんだろうなあ・・シャーミリアは几帳面なところがあり、アナミスはだいたい殺せればオッケー見たいに見える。》

シャーミリアが持つM134ミニガンは7.62x51mm弾を毎分4000発吐き出す。重量18kgだが、稼働用大容量バッテリーと多数の弾薬が詰まったバックパックを含めると100㎏をゆうに超える。弾丸射出時の反動も人間には到底制御できるものではなく、普通の人間が単体で扱えるような兵器ではない。通常はヘリのドア付近につけて制圧に使うか、機種部分に固定して装備されるものだ。シャーミリアはこれを軽々と振り回し、更にはこれを持って飛ぶ。

小回りが利く上に、人が入れるスペースなら入り込んでいけるため、航空機の比ではないほど有用に使用できる。同じヴァンパイアのマキーナ、ミノタウロス、ライカン、オーガ、オーク、達にメインの兵装として扱わせている。

アナミスが持つM240中機関銃は重量12㎏で、中機関銃としては最も軽く前世でも人間の歩兵が持ち運ぶことが出来る銃だった。アナミスは人間よりははるかに力があるが、ファントムやシャーミリアの様に数百㎏を持つことは出来ない。7.62x51mm弾を毎分800発撃つことができる。

M240バックパック装備は主にハルピュイア部隊に配備しており、魔人軍航空部隊のメイン火器となっている。さらにダークエルフにも同じ兵装を使わせることもあるが、ダークエルフは射撃の名手が多いためスナイパーライフルを持たせることが多かった。

「おっ押すなあああ」

「ぐあああああ。」

もどれぇぇぇぇ

オォォォォォォ

イケェェェェェ

場内からは兵士たちのさまざまな雄たけびが上がり我先に壁外に出ようとするのだが、外から戻ろうとする兵士とぶつかり門付近が混雑し始めた。門中の空間に狙いを定めてファントムはM61バルカンを淡々と叩き込んでいた。

城壁の東の曲がり角にもシャーミリアのミニガンに撃たれて、だんだんと人の死体が積みあがっており、戻る兵がバタバタとたおれるのでどうやら兵の足は止まったようだった。おそらく壁の角で止まっているか退却したかもしれない。

「シャーミリア。東の角はどうだ?」

「角の死角の所に敵兵が待機しております。」

「そうか。じゃあいったんやめて、城壁で矢を放ったり魔法を放ったりしてるやつをきれいにしてくれ。カララが魔法や矢の処理してるからカララの手を空けたい。」

「かしこまりました。」

すっと飛びあがり上空から城壁の上の兵士たちを掃討していく。

俺は状況を見つつ12.7㎜重機関銃を召喚して東の角に狙いを定めておく。

「アナミスはどうだ?」

「まだ出てきますが、今のところこちら迄到達できそうな者はおりません。」

「よし、そのまま銃撃を続けろ。」

・・・凄い量の魔力が俺に流れ込んでくるのが分かる。今までの戦闘の比ではない。

そして手の空いたカララに俺は指示を出す。

「よしカララ。城壁の外で死んでいる者に糸を飛ばして、ここまで一斉に引っ張ってくれ。」

「かしこまりました。」

カララの糸がふわっと俺達を中心にして敵の死体めがけて広がっていく。

ず・・ずずずず・・

死体がずるずると引きずられて動き出した。

俺達のもとにバラバラになった体が全て近づいてくる。そんなおぞましい光景を見ているにもかかわらず・・俺は熱を感じていた。

「暑いな。」

今はバルギウスも冬でむしろ寒い。暑いわけはないのだが・・とても暑い。

「ラウル様。お美しいですわ。」

カララが俺を見て惚れ惚れと言う。

「俺がか?」

「はい。綺麗に発光しております。 御髪(おぐし) も・・伸びて美しい。体中に元始の紋章が・・」

「物凄い魔力が入ってくるんだ・・」

そんな話をしているうちに、シャーミリアから念話が入る。

《ご主人様。壁上を掃除いたしました。》

《了解。戻れ》

《かしこまりました。》

キュゥゥゥゥゥ・・・

ファントムのM61バルカンの音が止まり、アナミスが撃ちこんでいたM240の音も止む。

「よし。」

俺は早速ファントムのM61とシャーミリアのM134の弾丸を補給し、アナミスのバックパックを交換する。

「1万はいったかな?」

「はい。おそらくは。」

シャーミリアの体感でも1万が死んだらしい。おびただしい死体の中でもうごめく人間は数名いて手で這い出ようとしていたり、のたうち回ったりしているようだった。

無線をとり連絡をする。

「エミル。」

「出番か?」

「いや・・まだ森で待機だ。」

「状況は?」

「1万の死体の山だ。」

「いちまん・・か・・それで?」

「これから敵に降伏勧告を出してみる。まあ・・あと49万の兵がいるからどう出るかわからないがな・・あとなにか隠し玉があるかもしれん。」

「わかった。連絡を待つ。」

俺は傍らに目を向ける。

「じゃあファントムとりあえずすべて取り込め。」

するとファントムは四つん這いになり、肩から上が全部牙の有る口になった。そしてゴオオオオオオとまるで掃除機がゴミを吸い込んでいくように地面を綺麗にし始める。遺体やまだちょっと生きている人間が、ブラックホールにでも吸い込まれるようにジャンジャン入っていく。

ガリュ

バキン

ゴキュ

グチュ

たまに門の中から人がこちらを確認するために顔を出したり、城壁の上に顔を出してこちらを確認するので、シャーミリアがそれを逐一俺に報告してくる。その都度俺はSVDスナイパーライフルで仕留めていく。

ズドン!

ぱきゅっ

ズドン!

ぱきゅっ

俺とシャーミリアで細かい殺害をくりかえしているうちに、ファントムは1万人をすべてかたづけてしまった。ファントムの筋肉が脈打っているように、モゾモゾとうごめいていたがそのうちに収まり元にもどった。

《魔力の増大など感じないからよくわからないんだが、おそらく死体の量からして今までで最大パワーアップしたはず。》

「さーてと!」

ドン!

俺はLRAD長距離音響発生装置を召喚してそこに置く。

高角で設定をして最大ボリュームで相手に話しかける。シャーミリアとカララ、アナミスにはスピーカーの後ろに下がってもらう事にする。

「えー、私は皆さんを圧政から解放するために来た革命家です。」

LRADのスピーカーからバルギウス帝都に向けて大きな声で話す。

「これ以上の無駄な抵抗はやめて投降する事をおすすめします。兵士の皆さんも騎士の皆さんも悪いようにはしません。すみやかに投降してください。」

シーンとしているので俺の言葉を聞いているはずだ。

さて・・どう出るかな?

降伏勧告を拒否するように、城壁の向こう側から槍と炎の玉が飛んできた。

全て空中でカララが糸で分解し水蒸気のように消える。

消えたそばから第2波が飛んできた。

それも再度カララが粉砕した。

「えっと。降伏はしないというお返事でしょうか?」

シーンとする。

一度LRADのスイッチを切る。

「ファントムこれを出すからジャンジャン城壁の向こうに投げてくれ。」

M67破片手榴弾を召喚しピンを抜いてファントムに渡すと、フッと手がぶれるほどに振られ遠く城壁の向こうへと飛んでいく。ピンを抜いては渡しピンを抜いては渡し、ファントンはブンブンと手榴弾を投げていった。

ボンッ!ボンッ!ボンッ!ボンッ!ボンッ!

手榴弾が炸裂する音が聞こえてくる。

「ぐぁぁぁぁ」

「うわっぁぁぁ」

「にっ逃げろおおお!」

「だ、ダメだあああ」

城壁の向こうからなんやかんやと声が聞こえてくる。

「うーん。外で1万人しか仕留められなかったから・・都市内に潜られると困るんだよな。市民が巻き添えになるのは避けたいんだが・・」

「ご主人様。城壁外を一周してみるというのはいかがでしょうか?」

「バルギウス帝都の周りをぐるりとか。とりあえずそうしてみようかね。」

俺は後ろに控えているセルマ熊にまたがる。

「まるで金太郎だな。」

「きんたろーとはなんです?」

カララに聞かれてしまう。

「ああ、物語の主人公の名前さ。」

「なるほどです。」

俺はセルマの背にまさかりではない、12.7㎜重機関銃を乗せSVDスナイパーライフルを構えた。LRADを横に置き出発するのだった。20メートルもあるセルマ熊の背中は象よりかなり大きそうだ。

「まずは東から行こう。」

のっしのっしと歩き出すセルマの周りを配下達が護衛しながらついてくる。上空にはアナミスが監視役として飛んでいた。

SVDスナイパーライフルのスコープを覗き込んで東の壁面の角を見る。東の角をスナイパーライフルを覗き込んでみていると、ちらちらとこちらを覗き込む者がいたので狙撃して仕留めておく。

ズドン!

頭を出していたものはそのまま地面に倒れ込んだ。

「あーあ、50万の兵って・・やっぱり面倒だなあ・・」

俺は独りごちた。