軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第186話 エルフのおもてなし

エルフのケイナが俺達についてきてくれることになった。

どうしてそうなったのかは分からないが彼女の意志だ。

彼女の薬草の知識はかなりの物らしかった。

「では・・よろしくお願いします。」

「ええこちらこそよろしくお願いします。」

「エミルもよろしくね。」

「ああ。」

ケイナは微笑みながらエミルにも挨拶をした。エミルの返事はあっさりしたものだったが、ケイナはまだエミルを見ていた。

「あの・・よろしく。ケイナは相変わらずだね。」

「ふふっエミルもね。」

なんだなんだ!この二人のただならぬ雰囲気は?

「二人は顔見知りか?」

「ああ子供のころから俺の遊び相手をしてくれていたんだ。」

「なるほど・・それでか。」

とにかくありがたい。

そして俺にはここに来た一番の理由があった。

「長老様・・もう一つ。二カルス大森林に補給基地を作りたいのですが許されるものでしょうか?」

「うーむ・・それは二カルスの主に聞かねばなりません。私共に決定権はございませんので・・」

《そうなのか・・あの木の爺さんに聞くとよかったってことね。》

「では一緒に主の所に交渉しに行っていただけないかと思います。」

「わかりました。しかし我らの願いを聞き入れてくれるかどうかは・・かなり難しいと予想されますが。」

「その時は諦めます。」

コンコン

「失礼します。」

美人のエルフがぞろぞろと入って来た。どうやら料理を持ってきたようだった。

「できましたらお食事などしながらお話を。」

「これはありがたい。」

次々とテーブルに並べられる料理。

《すっごいおしゃれ!なんだこれ!うまそうだ。》

色とりどりに盛り付けられた料理が俺達の目の前のテーブルに並ぶ。

小さなパテのようなものの上に、ぱらりと木の実がかかり黒いソースがかけてあるもの。

新鮮な野菜が盛り付けてあるサラダ。添えてある色のついたスティックもどうやら野菜のようだ。

そしてクリーム色の液体に豆色が差してあるスープ。

香ばしいサクサクしそうな焦げ目のおそらくパンだと思われるもの。

レモンのようなものが乗っている焼かれた魚。

何の肉か分からないが焼けたステーキの上にバターのようなものがのせてある。

そして剥いたフルーツが盛り付けてある皿。

超豪華な料理をずらりと並べたテーブルの上は圧巻のひと言だった。

「いきなり来たのにこんな料理を!なんとお礼を言ったらよいのか。」

「エミルがあげた光玉を確認してすぐに作らせておりました。」

「誰が来たのか分からないのにですか。」

「あの光玉は客人が来た合図ですから。」

なるほど光玉には意味があったのか。そして外部から人が来ることは戦い以降は無かったろうからな・・かなり重要な客として迎え入れてくれたという事だろう。

「それではみなさんでいただきましょう。私共もご一緒させていただきます。」

「いただきます。」

「ラウル。驚くかもしれないがこれがエルフのおもてなしだ。俺も食った事が無い。」

「素晴らしいよ。うちも真似をしたいものだ。」

「ラウル様。私が味などを覚え指導するようにいたしましょう。」

「アナミスは料理が得意なのかい?」

「マリアにさんざん習いましたから・・人間の料理ならある程度は。」

「俺の知らない間にみんな成長しているんだな。」

そして俺達は料理を食べ始める・・その料理は!!この世界に来てからだけではなく、前世でも食べた事の無い最高の料理だった。

「凄くうまい!こんな料理を食べた記憶が無い!」

「エルフの里にいたころにも食べたことないよ。ラウルを連れてきてよかったー!」

「お気に召していただいて何よりです。これは来賓用の特別な料理ですから・・エミルも食べたことはないでしょう。」

ケイナが言う。すると長老が思いついたように話す。

「そういえばケイナもある程度はエルフの宮廷料理が作れたな。人間では難しい事もあるので向こうで教えて差し上げなさい。」

「はい。」

皆で素晴らしい料理を堪能し会食が終わる。終わったところでまたネクターがふるまわれた。

「皆様はいつまでおられるのでしょうか?」

「はい長老様。それが・・すぐにでも発ちたいのですが・・」

「休まずにですか?」

「はい。」

「さすがに二カルスの主を説得するお時間をいただきたいです。夜間になれば魔獣がうろつきますし交渉する事も難しくなるかと。」

「そうかと思うのですが、既に別部隊が我々の連絡を待っている頃なのです。」

「そうなのですか。ただ・・私たちも危険な旅に出る二人のために、精霊降臨の儀を執り行いたいと考えております。」

「精霊降臨の儀?」

「はい、この旅の二人のエルフの無事を祈って、彼らに精霊を宿したいと思うのですよ。」

精霊の儀と言われても良く分からなかったがどうやら役に立つ事らしかった。

《それならやってもらった方がいいのかね?》

《はいご主人様この二人は弱いです。戦闘の時の護身のためにも強化はありがたいかと。》

《ラウル様。私もそのように思います。先ほどのトレント戦のように彼らを守りながらでは限界がある戦いがあるやもしれません。》

シャーミリアとカララからも助言をもらう。

「分かりました。それでは明日の朝に立つことにいたします。」

「ありがとうございます。」

しかし俺は一つだけ今やらなきゃいけないことがあった。

「あの・・長老様・・」

「どうされました?」

「ここは外界とは連絡が取れないようなのですが・・」

「はい。この空間は向こうとは繋がっておりません。」

「少しだけ開けていただくことは可能ですか?」

「ええ私達長老3人の権限ですぐにでも。」

「では連絡をとらせていただきたい。部隊が待っているものですから。」

「では精霊の広場に移りましょう。」

長老たちが立ち上がって部屋から出て行こうとするので、俺達もみんなその後ろについて行く事にする。

祭壇のような石造りのステージがあった。その上に何やら紋章のようなものが描かれている。

「外からの侵入も考慮しなければなりません。」

ラッシュ長老が言う。

「大丈夫です。何が来ても数瞬で捕らえるか殺せます。」

「わ、わかった。それでは。」

3人の長老が3方向に分かれ何やら唱える。

外部から入って来た時のような光の輪が現れた。

「空きました。」

「少し時間をください。」

「はい。」

急いで配下達と念話をはじめる。

まずはユークリット王都攻略組へ。

《ミノス、ティラ!他のみんなも聞こえるか?》

《ラウル様!!ご無事で!いきなり気配が消えてしまいどうされたのかと!》

《ああミノスすまない。実はいまエルフの里にいるんだが異空間らしいんだ。おそらく再び念話と系譜のつながりが断たれるだろう。いまどこだ?》

《ユークリット王都が見渡せる荒野にある丘におります。》

《明日まで待機だ。》

《わかりました。》

《交戦はあったか?》

《はい道中に2度、完全に始末をし1人も逃がしておりません。》

《こちらに怪我人は?》

《かすり傷ひとつありません。》

《了解だ。引き続き警戒して待機していてくれ。また連絡する。》

《は!!!!!!!!!!!!》

ユークリット組は順調に事を運んでいるようだな。しかも想定より早い。

次はフラスリア領攻略組だ。

《マキーナ!ルピア!》

《ああ!!ご主人様!!》

《すまない系譜が途絶えた。》

《いかがなされたのですか!?》

《エルフの里と言うのが異空間でな、系譜のつながりがきれた。》

《そうだったのですね。シャーミリア様とも念話が届かなくなり心配しておりました。》

《マキーナ。》

《シャーミリア様!》

《あなたはいかなる時も冷静でいなさい。ご主人様の命令を遂行する事だけを考えればよいのです。》

《かしこまりました。》

《よし。それでマキーナ状況は?》

《はいドラグ隊長と合流し、すでにフラスリア領は制圧しました。》

もう?という事は人間の兵士しかいなかったのか?

《デモンの存在は?》

《いえ、おりませんでした。サナリアと似た状況かと》

《バルギウスの民がいたのか?》

《いえ、こちらはファートリア神聖国の民が強制的に連れてこられております。》

《それならばドラグ隊にもサキュバスがいる。対応はサナリアと同じに。》

《かしこまりました。》

《他には?》

《ここを陥落させたあとで、周辺の森で暗躍している集団を見つけました。》

《どういうやつらだ?》

《元のフラスリア領の民との事です。反乱軍だと申しておりますが?》

《そいつらはどうしたんだ?》

《捕らえております。何も致しておりません。》

《サキュバスに真実か突き止めさせて、真実なら解放してやれ。》

《かしこまりました。》

《そして謝罪をしそれなりの対応を。》

《はい。特に乱暴に扱っているわけでもございませんのでご安心を。》

《上出来だ。引き続き頼む。》

《はっ!》

シャーミリアに叱られたけどマキーナは俺が求める以上の仕事をしている。フラスリア領も順調に進んでいるようだが・・反乱軍か・・気になるな。

そして最後に西の領地の調査隊のギレザムに連絡をとる。

《ギル!》

《おお!ラウル様いかがなされました。》

《ああ異空間に居て繋がらなかった。》

《まあ想定内でしょうか。》

《さすがだ。そちらの隊の状況は?》

《はい、2つの旧領地を回りました。多少のファートリアバルギウスの兵がおりましたが掃討しました。》

《それで?》

《領地民の扱いは最低でしたが生きておりました。さらにサナリアの民が数名おりましたぞ!》

《そうか!!サナリアの民が!マリアが知っている者は?》

《はい!3名のうち2名が市民でしたが、一人はマリアが知っておりました。》

《だれだ?》

《ファミルという獣人です。》

《ファミル!!ファミルが生きていたのか!?》

《はい。ラウル様のお世話係だったとか。》

《そうなんだよギル!よかった!本当に。》

《辺境の領地の森に潜んでおりました。》

《不自由かけてしまった・・すまないと伝えてくれ。》

《わかりました。》

《引き続き捜索を頼む。またしばらくは念話が途切れるだろうマリアとカトリーヌによろしくな。》

《はい。念話がきれた事も伝えておりません。》

《相変わらず優しいなギルは。》

《いえ。》

《じゃあ頼むよ。》

《御意》

すげえなあ・・ギレザムはそういうところが凄いんだよな。気遣いと判断力が優れていて、何よりも俺を最大限信頼してくれている。参謀としては一流なんだろう。イケメンだし。

「それでは長老様ありがとうございます。配下全てに通達する事が出来ました。」

「それはよかった!それでは閉じます。」

光の輪がスゥと閉じかけた時だった。

タタと走って光の輪を抜けようとするやつがいた。

「ミリア!」

シュッ

光の輪を抜ける直前にシャーミリアに羽交い絞めされ捕らえられたものがいた。

長老の息子ルカルだった。

光の輪が閉じたのでシャーミリアが手をはなす。

「ゴホゴホ」

「すみません・・つい反射的に。」

「ルカル!どうしたのだ?なぜ二カルスの森に!?」

「くっ」

ルカルは胡坐をかいて不貞腐れるのだった。