軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第145話 先制攻撃

次の日の夜は晴れて月夜になった。作戦はそのまま決行する。

きっと敵陣営は城壁の上で消えた敵兵の事で騒ぎになっているはずだった。

《これ以上敵に時間を与えると、警戒して厳重な罠を仕掛けてくるかもしれない。作戦は予定通り決行する。》

《《《《《はい!》》》》》

それぞれが所定の位置についていた。

ポイントは3ヵ所。

南門、兵舎、王城。

南門の外にミノス、ドラン、ラーズ、マリアが待機。

王城付近にカララ、スラガ、セイラ、アナミス、ゴブリン隊長5名

兵舎の門正面にファントム、周りを囲むようにギレザム、ガザム、ゴーグ

兵舎上空にシャーミリア、マキーナ、ルピア

そして昨日の夜に俺が実戦で使えるかを試用運転した、ルフラアーマーをまとうカトリーヌ。もちろん俺の時と同じく目だしの全身タイツのように目と鼻しか出ていない。あとの穴という穴に少し入り込み神経を繋いで身体能力を共有している。

《あの感覚を・・カトリーヌも味わっているのか。いかん・・良からぬことを》

《ラウル様・・》

しまったカトリーヌに念話が聞こえてしまった。カトリーヌがルフラスライムをまとっているため、念話が丸聞こえだった。

《ルフラ!カトリーヌを頼むぞ!カトリーヌはこのままルフラと城壁の上で待機だ。怪我をした者がいたらすぐさま向かってカトリーヌが回復魔法をかけてくれ。》

《はいラウル様。あの・・カトリーヌの方が神経を繋ぎやすいようです。やはり女として意識が近いからでしょうか、体にも入り込みやすいですし。》

カララが言うがそれは良く分からない。身体的な構造の違いが理由かもしれないし・・

《いかん・・また良からぬことを。》

《ふふ・・ラウル様は余裕がおありですね。でも確かに・・あっ・・》

カトリーヌに笑われてしまうが、最後の・・あっ・・が気になる。

気を取り直して!

《すまない。それじゃあ作戦を決行するまであと3分!一斉に行動開始だ。》

《《《《《はい!》》》》》

俺はルフラスライムをまとっているカトリーヌと一緒に、城壁の上から暗視スコープで兵舎上空のシャーミリア達を確認していた。シャーミリア、マキーナ、ルピアの航空戦力が兵舎上空を飛んで待機中だった。

《じゃあシャーミリア、マキーナ、ルピア準備はいいか?》

《《《はい》》》

シャーミリア、マキーナ、ルピアの3人は羽のついたドロップのような形をしたものをぶら下げて飛んでいる。

ナパーム弾だった。

俺達は戦争をしているつもりだが、もちろん敵は俺達を正式な国家などと認めてはいない。それどころか知られてもおらずに、この世界では間違いなく反政府ゲリラだった。

そのつもりで、こちらも宣戦布告などしてはいない。

しかし俺達、反政府ゲリラの方が兵器の威力や性能、兵士の身体能力が高すぎるのが前世とは違うところだろうか。ナパーム弾の目標は敵の兵舎だった。

シャーミリアとマキーナは2個のナパーム弾を、ルピアはその重量故に1個のナパーム弾を抱えていた。シャーミリアから送られてくる視界では、兵舎の屋根が透過されて人間達が眠っているのが見える。

では始めるとしますか。

《新高山登レ1208》

もちろんあの有名な暗号文を使っている・・

《《《《はい!》》》》

シャーミリアとマキーナ、ルピアが一斉にナパーム弾を敵兵舎に投下した。

ヒュー

と暗闇の中に5個のナパーム弾が落ちていく。

そのころ南の正門では。

マリアが遠くの地面に伏せてドラグノフ狙撃銃を構えていた。セミオートマチックライフルで7.62x54mmR弾の連射が可能だった。

ミノス、ドラン、ラーズがマリア周辺の茂みに身を潜めてマリアを護衛していた。

メイド服姿で寝そべっているので汚れてしまいそうだが、マリアは全く気にしていないようだった。第二世代パッシブ方式の暗視スコープで南門を覗いているため、夜間でも門番の動きはハッキリと捉える事が出来ている。

《新高山登レ1208》

ラウルからの指示が出た。

ズバゥッ

ズバゥッ

ズバゥッ

ズバゥッ

当然のごとく4人の門番の眉間やこめかみ、後頭部に7.62x54mmR弾が吸い込まれていく。頭に命中し糸がきれた操り人形のように崩れ落ちた。

その瞬間

ドゴーーーン

都市の内部から爆発音が聞こえてくる。シャーミリアの部隊が敵兵者をナパームで爆撃した音だった。その音に気が付いて門の見張り番詰め所から兵士が慌てて出てくるが、町の中を見渡す事もできないまま

ズバゥッ

ズバゥッ

ズバゥッ

ズバゥッ

糸がきれた操り人形のように崩れ落ちていく。自分の仲間が足元に転がっている事も分からぬうちに。

「制圧したわ。進みましょう。」

「わかった。」

ラーズがマリアの装備を持ち、4人が一気に南門へ駆けつける。すでに誰も見張りはいなかった。門の扉の後ろに立ち街の中を見渡す。

「敵はいない。」

ミノスが言葉を発するのに合わせ、全員がラータル内に入り込む。1度街を歩いているので方向感覚は分かる、町の中心部を見ると火の手が上がっていた。シャーミリア達の爆撃の炎だった。

パラララララ

パラララララ

パラララララ

町の中央から銃声が連続して聞こえてきた。

そこでラウルからミノスに念話が入る。

《そちらはどうだ?》

《マリアが制圧しました。》

《よくやった、外部からの侵入者があるかもしれないからそこで待機だ。ミノス、ドラム、ラーズが持っている12.7㎜重機関銃を設置して内外からの敵の襲撃に備えろ。マリアには町の中から逃げてくる可能性のある敵兵を狙撃するよう伝えろ。》

《わかりました。》

「全員、今ラウル様から聞いた通りだ。12.7mm重機関銃を設置し敵の襲撃に備えろ。マリアは町の方向を見張り敵兵だった場合は射殺してかまわない、判断がつかない時は我に伝えろ。」

「了解。」

ラーズとミノス、ドランが転がっている敵兵の遺体を脇に寄せる。そこに12.7㎜重機関銃を設置し敵が来る可能性がある外と街の中を見張る。

そしてもう一つの部隊。カララ隊。

《新高山登レ1208》

《かしこまりました。》

カララが返事をしながら、敵の王城を囲む城壁内に上空から糸で全員を入れる。

スラガ、セイラ、アナミス、ゴブリン隊長5名が空を飛ぶように、城を囲む壁の中に入り込んだ。

その時。

ドゴーーーン

シャーミリア達の爆弾が兵舎に落ちたらしく軽い地響きがなる。兵舎が王城に近いため熱風がふきつけてきた。

城周辺を守るのはバルギウスの6番隊大隊長のドロス・マヌバという男だった。身長は190センチくらいあって筋肉の塊といった表現が正しいだろう。髪は長髪で額に傷があった。眼光が鋭く恫喝されれば震えあがらない物はいないであろう。

ドロス・マヌバは城の中にいた。今日の夜の警備は3番隊小隊長のカリルのはずだ。

ドロスは城の中で地響きを聞きつけ飛び起きた。2階自室の窓から外を見ると兵舎が焼け野原になっている。

「なんだこれは!なにがあった!」

ドロスは目を見開いて外を見ていた。

恐ろしい事が起きている。自分の兵たちの兵舎がゴーゴーという音とともに燃えているのだ。信じられない光景だった。火事ではなさそうだが、もしかすると魔法の攻撃を受けたのかもしれなかった。

ドロスは慌てて従者を呼び鎧と武器を用意させて身支度を始めた。

ドロスが城の1階に降りると、まだ兵士たちは少ししか集まってはいないようだった。城内警備の者たちが武器を構えて城の正面玄関の方を睨んでいた。

「どうした!?なにがあった!」

怒鳴るように聞くが誰も確かな情報を持っていないようだった。

豪華な階段を降りて兵士の元へ来る。

「なにがあった!」

もう一度聞くと兵士の1人が答えた。

「い、いえ!よくわからないのであります!」

バチーン

思いっきりビンタをはる。

すると兵士はとんでもなく吹っ飛んで行き動かなくなる。

「おい!そこのお前!なにがあった!」

「は・・はい!!おそらくは襲撃者かと!しかしそこに・・」

門の入り口の床を見ると良く知った男が寝そべっていた。

3番隊小隊長のカリル・トーレだった。カリルは腹ばいに寝ているのだが・・頭が天井を向いていた。

「カリル!どうしたんだ!これは?」

「それが、いきなり門が開いてカリル様が投げ込まれてまた門が閉められました。」

「外に何がいる!?」

「それが・・よくわからんのです。」

「とにかく城門を開けるんだ!」

「は・・はい!!」

兵士が2人、門のところに走っていき開ける。

すると少し開いた門の隙間から、何十個という丸いものが中に投げ込まれた。

カン

カラン

コロン

カラン

「ん?なんだそれは?」

ズガーン

ババーン

ドゴウ

ゴガーン

その丸いものはいきなり凄い音とともに爆発してしまった。

ドロスは距離があったため爆風が軽く届いたが、その放り込まれた丸いもののそばにいた兵士たちがゴロゴロと倒れてしまった。近距離で破裂した兵士は体中から血を流して死んでいる。

「な・・・」

バルギウスの兵達はそれを見た事が無い。

そう・・それもそのはず、バルギウス兵たちの前で破裂したのはM67破片手榴弾だった。外から大量に投げ込まれて爆発したのだった。しかし・・そんな武器を見た事が無いバルギウス兵たちは、なすすべなく死んでしまったのだ。

「全員外に出ろ!敵を倒せ!」

建物の奥から出てきた兵達と共にドロスが外に駆けだしていく。

すると・・月の光に照らされて浮かび上がるのは、5人の少年少女だった。

「なんだ・・お前ら!」

ドロスはすぐに殺せると思った。立っていたのは年端も行かぬ少年少女だったからだ・・

《こいつらはなんだ・・魔法を使ったのか?》

その少年少女は何か棒のようなものをもって構えている。

するとその棒のようなものからいきなり音がし始めた。

パラララララララララ

パラララララララララ

パラララララララララ

パラララララララララ

パラララララララララ

そう、それはAK47自動小銃だった。

ドロスの周りの兵たちがパタパタと倒れていく。

《なんだ・・何を見せられているんだ俺は・・》

痛っ

鍛え上げて闘気をまとった肉体に突き刺さってくるものがある。

これはなんだ!考えるのをやめ少年少女に突進する。

次の瞬間だった。体がいきなり動かなくなった・・前にも後ろにも・・首を動かす事すらままならない。ただ目だけを見開き少年少女を見ていた・・

カララが大隊長の体を糸で束縛していたのだった。

身動きが出来ない的になってしまったドロスに、5人のゴブリン、ティラ、タピ、クレ、マカ、ナタが一斉にAK47自動小銃を乱射し続けるのだった。

「ぐああああああああああ」

しかし痛みはそれほど長く続かなかった。

ドロスの首はカララの糸によってたち切られてしまったのだった。

ゴロン

ドロスの首が地面に転がった。