軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第118話 デモン出現

ルタンの街についた頃はまだ0時にもなっていなかった。

「南方の部隊はどうだった?」

街の南側にいる部隊に通信がつながったので連絡を入れる。

ギレザムが通信に答える。

「すみやかに制圧しラウル様の御到着を待っておりました。」

「待たせてしまったか?すまないな。」

「いえ。」

「それじゃ次の作戦を開始しようか。全員計画通りだ。いったん銃火器の使用をやめる。一般の住民に被害が出るのを防ぐのと住居を破壊しないようにな。」

「「「「はい」」」」

「剣、槍、短剣、俺が召喚したダガー、それぞれの攻撃方法でやれ。すでにガザムとゴブリン隊長が敵兵を確認している、彼らを頭に6つの隊に分かれて潜伏しルタン町の中にいる敵兵を暗殺しろ。」

「「「「は!」」」」

「作戦開始だ」

魔人達が一気にルタンの街に潜入していく。

「よしトラック隊はここで待機だ。トラックを見張っててくれ。シャーミリア、マキーナ、ルフラ、ファントム!俺達も潜入する。」

「「「かしこまりました。」」」

「・・・・・」

ファントムだけ返事が無い、こっちも見ていない・・どこかを見ているが間違いなく命令は伝達されている。

それから1時間の後、ルタン町内の衛兵や兵士を全て抹殺した。

すぐに獣人のニケに渡していた無線機に連絡する。

「ニケ」

「は、はい!」

「東と南そしてルタン町内の敵兵は全て殲滅した。獣人を町内に戻していいぞ」

「えっ?もうですか?」

ニケは驚いていた。

それもそのはず作戦開始から4時間程度しか経過していない。にわかに信じられないようだった。

「ああ、終わった。問題ない。当初の予定通りに獣人を街に戻して町内の警護にまわってもらいたいんだ。」

「わかりました。皆を呼んできます。」

ニケとの連絡が終わり30分が経過した。この時間がもどかしいが仕方がない、彼らは訓練をつんでいない素人だ。すると俺を見つけた獣人たちが周りに集まってくる。

「ラウル様!もう兵士をかたずけたんですかい?」

熊の獣人のテッカが声をかけてくる。

「いや・・まだ西の駐屯地は終わってない。あそこにも魔法陣があったので早急に作戦を進める予定だ。」

「西だけ?ほかは終わったって事ですか?」

「ああそうだ。」

「これが・・魔人のちからですか。」

「ああ。そしてここで問答している時間はない、敵兵から剣や槍を回収した。この武器で獣人たちに街の警護を頼みたいんだが引き受けてくれるか?」

「も・・もちろんだ。」

熊の獣人テッカも猿の獣人も犬の獣人もすべての獣人が頷いた。

俺は獣人たちに街の警護を任せて、いったんニケが働く宿屋に向かう。

宿屋は3年半前と変っていなかった。昔からお得意様を贔屓する店だったが、今もそのポリシーは変わっていないとの事。ただそれを気に入らないファートリアバルギウスのやつらが、強制的に泊まったりしていたのだとか・・

「ご主人お久しぶりです。」

「おお!あなたはニクルス商人と来ていた少年ですな?」

「覚えていてくれましたか。」

「はい。そちらのお嬢様もおぼえておりますよ。」

「マリアです。お久しぶりでございます。」

「お元気そうで何よりです。なんだかとてもお美しくなられましたな。」

「ふふ・・ありがとうございます。」

マリアが照れたように笑う。

ご主人は相変わらず禿げたおっさんだったが人が良さそうで変わっていないようだった。

「俺達はファートリアバルギウスに宣戦布告するため魔人を引き連れて戻ってきました。」

「それはニケから聞いております。敵は強大です・・勝てるのでしょうか?」

「わかりません・・ですが、また昔のように自由に商いが出来る世界に戻しますよ。」

「それはありがたいです。我々ルタン町の住人は奴らにかなり苦しめられてきましたからな。こうして決起してくれる強者がおる事は本当に心強い。」

「はい。では今は作戦行動中のため、すみませんがそろそろまいります。」

「はい、平和な世界を取り戻したら、ぜひまた当宿屋をご利用くださいませ。」

「その前に1つだけ、ご主人にはお願いがあって来たのですよ。」

「はい。出来る事でしたら。」

「あの・・車を預かってほしいんです。7台ほど。」

「車でございますか。それでは当店の裏手に広い場所がありますので、馬車ならそちらに・・」

「いえ馬車より大きいものですから、店の前の通りに置かせてほしいのです。」

「はあ・・それは構いませんが・・」

「大丈夫です。盗まれたりしません、鍵が無いと動きません。」

「わかりました。」

そして俺とマリアは宿屋を出た。

早速トラック部隊を引き連れて宿屋に戻ると・・

宿屋の主人が腰を抜かした。

「は・・はあ?これは?なんです?」

「鉄の馬車です。」

「大きい!これはすべて鉄で出来ておるのですか?」

「まあそうです。で申し訳ないのですがここに路駐させてください。」

「ろちゅ・・」

「ここに停めさせてください。」

「わかりました。店員を見張りに立てましょう。」

「いえ、獣人たちが見張ってくれるそうです。御主人はそのまま商いを続けてください。」

「は・・はい・・」

《こんな状態で商売が続けられるかどうかは疑問だが、夜明けまでだ問題はないだろう・・たぶん。》

俺は急ぎ魔人のもとに向かい作戦の継続を促す。

「作戦終了まであと3時間だ。それまでに西側の拠点をおとす。」

「「「「はい!」」」」

「出発!」

魔人はトラックに乗るよりも、走ったり飛んで行動したほうがはるかに速い。トラックはあくまでも航続距離を稼ぐのと物資の運搬のために使うものだった。

全員で漆黒の森の闇の中を走っていた。西の駐屯地をやり過ごし魔法陣があった場所へと近づいて行くと、魔法陣の方角が光っていた・・どうやら魔法陣が発動しているようだった。

「全隊とまれ!」

魔人達が一斉に森の中に停まり魔法陣の方向を見ている。

すると・・魔法陣の中から敵影が現れてきた。

「なんだ・・・?人間か?」

ズッズズズズ

魔法陣から浮かび上がってくるのは・・おかしい。

《蛇を撒きつかせてる?いや・・手が蛇になっている。そして周りに出てきたやつらは猿?いやガイコツか?燃えているぞ》

出てきたやつらの中心にいるやつは手が蛇になってうごめいていた。周りでぴょんぴょんと猿のように飛び跳ねているガイコツは目や口から炎が出ている。明らかに人間ではなかった。

「シャーミリア!あれはなんだ?」

「アンドロマリウス様というデモンでございます。36の悪魔を引き連れた悪魔の伯爵にございます。」

「なんだって?」

「ご主人様が内に秘めた元始の魔人様より下位に存在しますが、魔人達からみれば神に等しい存在にございます。」

「まずいな・・魔人が誰一人動かなくなってるようだ。」

「デモンに手を上げるなど恐れ多いと考えております。」

「シャーミリアはどうなんだ?」

「私は!ご主人様一筋にございます!仰せとあらばすぐにでも戦えます。」

「他の奴らは?」

「マキーナは私の眷属ゆえ問題ないかと、ファントムはご主人様と同様ですので攻撃できます。あとあやつと同格に戦えるのはカララかと思われます。マリアとカトリーヌは人間ゆえ問題なく攻撃できますでしょうがだいぶ危険です。カトリーヌの光の魔法は有効です。」

《ここにきていきなりの同族の神様のような奴が出てくるとは思ってもみなかった。魔人達の攻撃が効かないかもしれない相手だとすれば・・厄介だな。》

すると相手が話を始めた。

「おほほほ。なんだ?森の中に下僕どもが潜んで居るようだが、お前たち出てこんか?」

「シャーミリア!いきなり見つかったぞ!」

「千里眼にございます。」

「そうか・・見つかったのなら仕方ない。全軍森からでろ!」

俺と大隊全て45名が敵の前に姿をさらす。

「おお、下僕どもよ。お前たちがあの男の魔法陣を消したのかい?」

「魔法陣?なんのことだ?」

アンドロマリウスは男なのか女なのか性別が分からない。あるいはどちらでもないのかもしれないが。

「マルヴァズール様より聞いておる。こちらの魔法陣が消されてしまったと、唯一あったこの魔法陣でここに来て見れば不思議なやつらがおるではないか?お前たちは何者だ?」

「ああ、たまたま通りかかった旅人だが、ここを通してもらえるとありがたいんだが。」

「おほほほほ。こんな夜更けに魔人の集団が旅をするのか?それを信じるとでも思うたか?」

「いやー信じるとか信じないとか、こっちには関係ないんでね。もし通さないって言うんなら力ずくで通るだけだが?」

「ほう、何だお前・・人間か?人間・・風情がデモンに勝てると思うておるのか?従えておるのが下僕どもではどうする事も出来まい。」

「マリア」

パン!

マリアが手にしていたP320でアンドロマリウスの眉間を撃ち抜いた。

しかし・・そよ風ほどにも感じないようだった。

「ん?なんじゃ?いま石を投げたのか?我を通過したものがあるぞ」

《あらぁ・・銃が効かないときたもんだ。どうするか?》

「石ならこう投げたらどうじゃ?」

アンドロマリウスの蛇の手が伸びて地面から石を拾う。

ビュン

蛇が振られた。

「グア!」

「くっ!」

二人の魔人が膝をついた。

ボタボタボタ

二人の腹から血が出ていた。

「全員撃て!」

全員のM240機関銃やM61バルカンから一斉に火が出る。

ガガガガガガガガガガ

ダダダダダダダダダダ

ズドン!ズドン!

パンパンパン!

射線がデモン達に飛ぶが一向に倒れなかった。

「ふ・・うはははは。いったいなんじゃそれは?」

アンドロマリウスが嘲笑する。

猿のような炎のデモン達に穴は開くのだが、しばらくすると穴は塞がった。まったく倒れる気配はなかったのだ。

「そうか・・お前たちがマルヴァズール様の復活を妨げようとしているやつらだな。アヴドゥルから聞いていた技を使う。」

《効かないか・・》

「全員撃ち方止め!」

全員が銃を撃つのを止めた。

「ほぇ?なぜに人間のいうことを聞く?お前たち魔人が・・どうなっておる?」

「答える必要があるのか?」

「まあよいわ。おまえたちこの魔人どもを皆殺しにしろ!」

ギャーギャー

ゲースゲーゲ

ガー

炎をまき散らす猿のようなガイコツ達が一斉に飛びかかって来た!

「カララ!カトリーヌとマリアを守ってくれ!」

「はい」

「全魔人とにかく死なないように自分を守れ!あとは俺達がなんとかやってみる!」

「「「「「は!」」」」」

全員が銃を捨てて自分の武器を手に取り応戦し始めた。

俺とシャーミリア、マキーナ、ファントムがアンドロマリウスへと向かっていくのだった。