軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第116話 地雷探知

俺達は森の奥にあるという彼らのアジトに行く。

太い大木のそばに獣人が二人立っていた。

「テッカ。そいつらはなんだ?」

「ああ、どうやら俺達と同じ目的でファートリアバルギウスに対抗しようとしてるらしい連中だ。」

「いきなり連れてきたのか?」

「彼らは全て魔人だ。俺達がどうあがいたってここは見つけられるさ。」

「魔人だって?」

「ああそうらしい。」

「こんなに大勢か?」

クマの獣人テッカと犬の獣人が話をしているので俺が割って入る。魔人全員が獣人の周りに集まってきた。

「どうも、俺が魔人を率いてきたライルといいます。」

「ん?人間の少年?」

「ご主人様を人間と一緒にするのをおやめなさい。元始の魔人様なのですよ。」

シャーミリアが少し怒りながら犬の住人を制する。

「いや・・悪気があって言ったわけじゃない、どこをどう見ても人間にみえる。臭いだけが人間と少し違うようだ・・。あと見えないがそこにも人間の女がひとりいるんだろ?」

「ええ。」

マリアにはまだ鏡面薬が効いているので匂いも隠れていると思うが、犬の獣人にはわかるらしい。

「デイジーさんの薬か?」

「ええそうよ、デイジーさんが試しにかけてみろっていうから。」

「ぷっ・・くくっ!デイジーさんらしいな。」

犬の魔人が牙をむいて笑う。

「確かに人間は一人だけのようだ。」

「とにかく夜に人間が森に入る事はないだろう?」

「まあそうだな。」

犬の獣人が警戒を解く。

木が鬱蒼と生い茂った森の奥に入っていくと、崖が現れそこには木々で隠された小さな洞窟の入り口があった。ここが獣人のアジトらしかった

「はいれ!」

テッカに言われて中にはいる。すると中に行けば行くほど広くなっていく。壁にはランプがかけてあり中には明かりが灯してあった。

中にはたくさんの獣人がいた。

「みんな!集まってくれ!」

獣人たちがぞろぞろと近寄ってきた。

「魔人達が来た!」

皆が集まったところで俺が話し始める。

「あー獣人の皆さん急に訪れてすみません。」

「あんたらどこから来たんだ?」

猿の獣人が俺に聞いてくる。

「グラドラムから来ました。」

「こんなにたくさんの魔人を初めて見た。人間のためにわざわざ反乱に加わるっていうのか?」

タヌキか猫の獣人の男が聞いてきた。

「いや・・反乱に加わるわけではないよ。」

「なに?では奴らに敵対するというのは嘘なのか?」

「敵対はする。しかし自分たちのためにだ。2000年前に奪われた魔人の土地を取り戻しに来た。」

「・・・そんなこと・・出来るのか?」

「お前たち獣人も住処を追われて不自由に生きてるんだろう?」

俺の問いに獣人をまとめているテッカが答える。

「それはそうだが、俺達は人間からそれを取り戻そうとしてはいない。ただ昔のようにこのルタン町で自由に生きれるように、そしてサナリアやラシュタル王国、シュラーデン王国にいる仲間たちがまた人間たちと暮らせるようにしたいだけだ。」

「ユークリットの首都やファートリア神聖国、バルギウス帝国では獣人は生きれないぞ?」

「それは当たり前というものだ。」

「なぜだ?」

「そこは人間だけが生きる場所、われらの生きていい場所ではない。」

「そうか、そう考えるのが普通だよな。しかし俺達はそうは考えないんだ、元は魔人も獣人も自由に生きていた。それが人間の数が増え、俺達は追いやられていったんだよ。ただそれを取り戻しに来ただけだ。」

「俺達には想像もつかない事だが・・やつらに敵対する事には間違いなさそうだな。」

「グラドラムとその先のグラウスには数万の魔人がいる」

「魔人がそんなに?」

「2000年のあいだグラウスの街で増え続けかなりの数となった。だが人間の数に比べれば小鳥の涙ほどだがね。」

「魔人が一人見つかれば数パーティーの冒険者の討伐隊が組まれたり、時には軍隊が送られたりするんだが・・それが・・数万?」

「そうだ、全員が魔人だ。」

「そんなことが・・その魔人達が反乱を?」

テッカには信じられない事のようだった。半信半疑で話を聞いている。

「ああ目的はあんたらと一緒だ。だが俺達は反乱じゃない。ファートリアバルギウス連合に宣戦布告する。それにはお前たちが今何をしているのか?そして仲間がどれくらいいるのかを知りたいんだ。さらに大陸にすむ魔人を解放する。」

「では我ら獣人の里である、二カルス大森林にも行くというのか?」

「行く予定だが、二カルス大森林には魔人はいるのか?」

「奥地に魔人がいるという伝承を聞いたことがある程度だ。」

「十分だよ。」

二カルス大森林に獣人の里があり、更に奥地に魔人がいる可能性があるということか。

「俺達はその前に二人の人物を探している。」

「人間か?」

「ああそうだ。サウエル・モーリスとサイナス・ケルジュ枢機卿だ。」

「枢機卿?ファートリアの人間ではないのか?」

「ああ、だがファートリアバルギウス連合に反旗を翻す人物らしいんだ。」

「わるいがどちらも聞いたことがない。」

そうだろうな。遠い土地に住んでいるであろう人間など知る由もないか・・

「獣人たちはなぜファートリアバルギウス連合にたてつくんだ?」

「愚問だな。俺たちの同類があいつらに無差別に殺されたからだよ。」

「無差別にか・・」

「ああ、それで俺達はそれから逃れるように潜伏した。あとはあいつらの物資を盗んだり武器を盗んで持ち帰ったり、困らせる事をやっているのさ。あとはラシュタルまでデイジーさんの伝達役として走る事もある。」

なるほど・・それくらいではあいつらの力を削ぐことは出来ないだろうな。ならば・・どうするか・・

「俺達魔人がこの周辺の兵士たちを排除したら、きっと相手はさらに兵士を送ってくるんだろうな。」

「ああ、あいつらは大人数でルタンの周辺に兵を置いているぞ。それを排除なんていくら魔人とはいえ、たった40人やそこらの人数でできるのか?」

「おそらくは・・余裕だろう。しかしその後なんだ・・あいつらは転移魔法で兵隊を送ってくる。そうすれば街の人たちもただでは済まない、しかしだ俺達は先を急がねばならないんだ。」

鏡面薬を手に入れた今は転移魔法陣やインフェルノなどの罠を見分けることが出来る。やれることはあった。

「俺達は7日ほどここに滞在しようと思う。いま懸念しているのはシナ村に罠が仕掛けてあるかを調べる事。そして東西南にある駐屯地付近に転移魔法があるかどうかだ。」

「それを・・俺達に?」

「ああ、地の利を分かっているお前たちに手伝ってもらいたい。」

「どうやって?」

「デイジーさんが作った鏡面薬を怪しいと思うところにかけてほしい。おそらく罠が仕掛けてあれば魔法陣が浮き出てくるはずだ。シナ村は俺達で調べるからお前たちには敵兵の駐屯地付近を調査してほしい。」

「わかった。それでどうする?」

「見つけたら、俺が魔力をそそいで発動させる。そして罠を解除した後ですべての兵を排除する予定だ。」

「わかった・・、じゃあすぐにでも手分けしてやろう。夜の方が俺達には都合がいい!」

熊の獣人テッカがすぐに動くことを約束してくれた。

《そう・・俺は前世でいうところの地雷除去作業をするのだ。これから進軍するにしても領土を広げるにしても、領地に魔法陣の罠が仕掛けてあるのは危険だ。その地雷を除去しなければ安心して進軍などできないからな。》

「よし・・じゃあ地雷除去作業に取り掛かるか。シャーミリア。俺を連れてシナ村まで飛んでくれるか?」

「ええ・・ご主人様を連れて。喜んで飛びます。」

シャーミリアがいつにもまして興奮しているようだった。

「マキーナもその護衛を頼む。」

「かしこまりました。」

「これから3日ほどかけて周辺を全て調査して潰していく。獣人たちの動きに期待しているよ。」

「わじゃった!俺達もボスのテッカが決めたことだ!やるぞ!」

猿の獣人が言うと他の獣人たちが答えた。

「「「「おう!」」」」

「ニケはそのまま宿に戻り、また明日の夜にこのことをデイジーさんに伝えて来てもらえるかな?」

「わかりました。」

「くれぐれも気を付けるんだよ!」

「はい」

そして俺達は早急に魔法陣の罠の捜索作業に入るのだった。

俺とシャーミリア、マキーナはあっというまにシナ村にいた。シナ村は誰もいない廃墟で不気味だった・・いかにもオバケが出そうだ。まあ・・一緒にいるのは二人のヴァンパイアだからいずれにせよ、お化けみたいなものなんだけど俺の護衛だし問題ない。

街の中に入っていく。

「よし!それじゃあ鏡面薬をたらしてみるとするか」

「はい」

シナ村の地面にデイジーさんからもらった鏡面薬を振りかけてみると・・地面に線が光った。

「やっぱり罠が仕掛けてあるな・・」

「そうですね。」

「まずはそのままにしておこう。おそらく一斉にやらないと危険だ」

「では・・戻りましょう。」

村をでてからそのまま夜の空に飛びあがってルタン町の方向に飛んだ。

戻るとまだ獣人たちは戻ってきていなかった。おそらく2時間もたっていない為まだ戻っては来れそうにない。

魔人の先発隊であるガザムが戻ってきた。

「各駐屯地には罠は仕掛けてありませんでした。どうやら自分たちの兵を囮につかう事はなさそうです。」

「であれば・・さらに先か?」

「ルタン町にも罠は無いようです。」

ガザムとゴブリン隊が報告してくる。

《町にも駐屯地にも仕掛けはないか。やはりシナ村がポイントだったか?東より西南の駐屯地付近が怪しいと思うんだが・・》

「しらべるにしても広範囲だ、3日はかかるだろう。そして無理に動いて敵に発見されるのも避けなければな。」

俺はトラックに待っているカトリーヌに連絡を取る。

「カトリーヌ。聞こえるか?」

「はい、聞こえます。」

「そちらに何か変化はあるか?」

「私の結界には何も反応がありません。カララが森にはっている糸にも反応はないそうです。」

「わかった、引き続きそちらで護衛を頼む。3日程度は動きがなさそうだ。食事は積んであるもので済ませてくれ。」

「ラウル様。夜になると多少魔獣がうろつくようですが、網にかかったレッドベアーなどはいかがなさいましょう?」

「ああ、カララが食っていいぞ。」

「1匹食べれば30日も持ちますし、何匹もはとても食べられませんが?」

「えっ?そんなにかかったの?」

「どうやらこの森は彼らが群れをなす縄張りだったようです。」

「じゃあ食べる必要のないものは優しく逃がしてやってくれないか?」

「かしこまりました。」

《しかし・・カララはあのレッドベアーを網にかかる蝶のようにしか思ってないんだな。なるべく怒らせないようにしないといけないな・・カトリーヌを置いてきて正解だ。カララのそばが一番安全だった。》

「それじゃ定期連絡をまて。」

「「はい」」

それから3日かけて俺達は地雷の捜索作業を続けたのだった。