軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

③ 何かがおかしい

その青年が動くたびに清々しい風が吹き抜ける。

あまりの清涼感にその場から動けずに、青年を見つめていた。

「……あの、僕の顔に何かついてる?」

「あ、はっ、……しゅみません!!」

「あはは、大丈夫だよ。驚かせちゃったよね?」

「だ、だ、大丈夫です!こちらこそすみません…考え事をしていて」

急いで立ち上がるとドキドキする心臓を押さえた。

(この学園にこんな攻略対象者並みのイケメンが居たなんて信じられない!なんて爽やかなの…)

老若男女、誰にでも受けそうな癒しの笑顔。

(このガムのCMに出てきそうなイケメンは誰なんだろう!?是非ともお近付きになりたいけど直視できない……)

「同じ新入生だよね?」

「は、はい!オーロラ・スライドラです!」

「ああ!スライドラ子爵は再婚したって聞いたよ!スライドラ子爵に"いつもお世話になってます"って伝えといて下さい」

「あ……はい」

オーロラは引き攣った笑顔を浮かべながら考えていた。

(………お父様を知ってる?何者??)

それにゲームのオープニングにこんな台詞が出てきた覚えはない。

「あの、お名前を…!」

「あ、ごめんね!自己紹介がまだだったね」

(やっと名前が聞ける……!)

キラキラした瞳で令息を見ていると…。

「僕はコーリー・オクターバです」

「ーーーえ?」

「コーリー・オクターバ、ですけど」

「コーリー……?」

「あ、あぁ……そうだよ」

「ーーーコーリー・オクターバァアアァァッ!?!?」

コーリーは驚いた様子で此方を見ているが今はそれどころではない。

目の前にいるのはチュートリアル令息、コーリー・オクターバなのだろうか!?

慌てて口元を押さえた。

周囲の視線が痛い。

「えっと……僕の名前、何かおかしいかな?」

「いえ、なっ、なんでもありません!!」

「そう…?」

今のコーリーに手を加える場所などありはしない。

(……どっ、どうなってるの!?)

爽やかな笑顔に見惚れていると、遠くからテラコッタ色の髪を靡かせた人形のような令嬢が歩いてくる。

「コーリー…!こんな所にいらしたの!?」

どうやら可愛いらしい令嬢はコーリーに用があるようだ。

(今度は誰なの!?こんなに可愛らしい女の子はチュートリアルには居なかったはずなのに…)

めちゃくちゃ可愛くカスタムしたオーロラが霞んでしまう。

今回、オーロラは可愛い系を選択したのだ。

子うさぎのように可愛らしく小さな令嬢。

庇護欲を誘うようなクリクリの大きな目に萌え袖とプルプルの薄ピンクの唇。

男ウケ抜群で以前の自分とは真逆の容姿である。

「コーリー!貴方は一体何をしているのかしら」

どうやら目の前の令嬢は怒っているようだ。

「入学早々、他の御令嬢にうつつを抜かすなんて良い度胸ですわね…!」

「誤解だよ…!君を迎えに行こうと急いでたら、其方の御令嬢とぶつかってしまって」

「……………」

「僕が君以外の御令嬢に靡く訳ないじゃないか」

二人のやり取りを見てポカンとしていた。

目の前で美男美女がイチャイチャしている。

(私は一体、何を見せられているの……?)

確かコーリーの婚約者はデブ令嬢であるクリンティアだか、クリムゾンという名前だったはずだ。

けれど体型も髪型も全く違う。

確かクリンティアは金色っぽい髪をしていなかっただろうか。

目の前の令嬢はテラコッタ色の髪をしている。

(一体、何が起こっているの!?)

オーロラは混乱していた。

そして次の言葉で更に混乱することになる。

「ごめんね………機嫌なおして?エンジェル」

「コーリーが、余所見しないか心配なんですわ…」

「僕は君以外見ていないよ」

「でも心配なんですっ!」

(エンジェル!?エンジェルってローレンスの婚約者のエンジェル・ヘルマン!?!?)