軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

⑥④ トビアスの逆転劇(4)

「ーー父上ッ!!ヨルダンが牢に!どういう事ですか!?」

「ローレンス、公の場では父上ではなく…」

「ヨルダンが居なくなったら僕は……!どうすればッ」

「……ローレンス」

怒りに震えるシスティルの様子を見兼ねてローレンスに声を掛ける。

「これはこれはローレンス殿下、随分と立派になられましたな」

「誰だ貴様は……!」

「………」

「僕が今、父上と話しているのが見えないのか?邪魔をするな」

ローレンスは不快そうに眉間に皺を寄せる。

そんなローレンスの反応に、眉がピクリと動く。

誰かも分からないのに随分と横暴な態度である。

システィルは額に手を当てると、目を閉じて首を振る。

咳払いをしてからローレンスの質問に答える為に口を開く。

「トビアス・アインホルンです」

「アイン、ホルン……?あの豚のような男が!?嘘だろう!?」

「ーーローレンスッ!!もう我慢ならんっ!!お前も一晩牢に入り己の未熟さを反省しろッ!!」

「何を怒ってるんですか?僕は真実を述べただけですよ?ヨルダンだって…!」

「ヨルダン、ヨルダンと…!ワシは自分の愚かさを悔いておる!全てお前を甘やかした我等のせいだ。そうだな、ダイアン!?」

「…………えぇ、その通りです」

「もうワシは我慢の限界だ…!ダイアン、覚悟を決めよ」

「陛下の御心のままに」

隣で話を聞いていた王妃であるダイアンが小さく頭を下げた。

その目には涙が滲んでいる。

「ローレンス、アインホルン辺境伯に今すぐ謝罪しろ!」

「はぁ?何故僕が……!?僕は王太子ですよ!?」

「皆、国を支える大切な者たちだ。その者達への敬意が足らぬと以前から…」

「父上、何を言っているんですか……?讃えられるのは我々王族であって、コイツらではないんですよ?」

「…………そうか」

システィルの返答にローレンスは満足そうにフッと鼻で笑った。

「お前はやはり……何一つ変わらぬのだな」

「父上……?」

「ならば、今日から王太子を名乗るな」

「ーーーは?」

「ローレンス・ラ・マーリナルトを本日付けで廃嫡とする」

システィルは淡々と言ってはいるが、表情には悲しみと悔しさが混じり合う。

本当は望んだ結果ではなかったのだろう。

険しい顔をしているシスティルの肩に手を添えた。

「何を言っているんですか!?この国で王太子になれるのは僕だけですよ!?」

「……お前は、その傲慢さで自分の首を締め上げたのだ」

「え……?」

「ワシは血筋には拘るつもりはない。優秀な者が国を治めるべきだと思っている」

「けれどこの国には……っ!!僕しか」

「シルを呼んでこい。予定を早めるしかあるまい」

「かしこまりました」

「は………!?ちょっと待って下さい!父上ッ!?」

「すまない、ダイアン……もっと早くシルの言う通りにしていれば何かが変わっていたかもしれぬ」

隣にいる王妃が静かに頷き、涙を流す。

ローレンスは初めて見る両親の姿に、困惑した表情を浮かべている。

どうやらまだ自分が置かれている状況を理解しきれていないようだ。

「お前の稚拙な振る舞いと馬鹿さには、もうウンザリだ。我々は今から国の膿を洗い出し、ヨルダンのしでかした事の後始末をせねばならん」

「っ、ヨルダンは僕が良い王になれるように導いてくれたのですよ!?そんなヨルダンが何をしたというんです!?」

「理不尽な税を課して、各国から無理矢理人を攫い、闇オークションを開く為に奴隷を買い取っていたといえば馬鹿なお前にも分かるのかッ!?」

「……え?」

「お前はそんな奴をずっと慕い、言う事を聞いていたのだ」

「そ………んな」

唖然とするローレンスに、システィルは静かに問いかける。

「ヨルダンにワシの印を渡していたのは、ローレンス……お前だな?」