離縁妻の薬屋は本日も盛況です
作者: 九葉(くずは)
あらすじ
八年間の結婚は、嘘の上に建っていた。夫の不倫を見抜いたセラフィナは、涙ではなく離縁状で幕を引く。頼れる実家はない。持参金も取り戻せていない。港町で開いた小さな薬屋。そこに持ち込まれるのは、体の不調だけではなかった。眠れない伯爵夫人の紅茶には、毒が沈んでいた。衰弱する少年騎士の薬湯には、仲間の裏切りが混じっていた。消えた令嬢の枕元には、聖女の処方薬が残されていた。患者の症状の裏には、いつも誰かの嘘がある。セラフィナはそれを見抜き、薬と一緒に真実を処方する。評判が広がるほど、元夫の居場所は静かに狭まっていく。無愛想な常連客がいる。名前も名乗らず、釣り銭も受け取らない。薬も買わないのに、壊れた看板はいつの間にか直っている。事件を追うほどに、一つの影が浮かび上がる。王都の聖女。その治癒の手が触れた者たちには、ある共通点があった。元夫の裏切りは、本当に彼自身の意志だったのか。嘘を暴く薬師が最後にたどり着く処方箋は、まだ誰も知らない。
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