軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

本当にほしいもの(クリスマスSS)

「エル、ただいま! シャノンさん達とのクリスマスパーティー、すっごく楽しかったよ」

「……お前ら、ほんとそういうの好きだよな」

パーティーから帰宅したところ、ベッドで横になっていたエルは呆れたようにそう呟く。

今年も去年も誘ったけれど「他所の国の訳のわからんイベントとか興味ない」と断られてしまっていた。

「プレゼント交換でね、わたしはユーインさんの作った惚れ薬が当たっちゃって」

「あいつ、本当にふざけんなよ」

ベッドから身体を起こしたエルに、すぐに捨てろ、絶対に使うなときつく言い聞かせられた。

「サンタさん、わたしのところにも来てくれるかな」

「お前は何が欲しいわけ?」

「でも、実は何もないんだよね。エルとずっと一緒にいられたらいいなって思うだけで」

当たり前のように答えると、エルはアイスブルーの目を見開き、やがて片側の口角を上げた。

「そんなの、わざわざ願う必要もないだろ」

「どうして? あっ、そういう……ふふ!」

言葉の意味を理解したわたしは、嬉しくなって思いきりエルに飛びつく。

暑苦しいと押しのけられる中、テーブルの上には殺風景なエルの部屋には不釣り合いな、小さなかわいらしい箱があることに気付く。

「あれ、この箱は?」

「お前にやる」

「えっ」

「前、欲しいって言ってたピアス」

買い物中に何気なく言ったことを覚えてくれていたなんてと、胸を打たれる。興味がないと言いながらも用意してくれていたエルが、愛おしくて仕方ない。

ベッドから降り、小箱をぎゅっと抱きしめた。

「あ、ありがとう……! 嬉しい! ずっとずっと大切にするね、あと毎日つけるね!」

「おー」

一方のわたしは何も用意しておらず、心底反省した。

「ねえねえ、エルは何か欲しいものないの?」

慌ててそう尋ねると、エルはこちらを見つめた後、形の良い唇を開いた。

「お前」

その言葉を呑み込むのに、少しの時間を要した。

「えっ」

「こっち来いよ」

「え、ええと……」

「早く」

恥ずかしさを感じながらも、プレゼントを用意していなかった罪悪感を胸にもう一度エルの側へと向かう。

ぐっと抱き寄せられ、二人でベッドの上に倒れ込む体勢になった。文句ひとつ付けようのないエルの顔がすぐ目の前にあって、鼓動が早くなっていく。

「いつまで照れんの」

「そんなの分かんないけど……あっ、でもわたしは元々エルのだよ! 全部!」

「……お前って、いつになっても恥ずかしい奴だよな」

エルは再び呆れたように笑うと、私の頬に触れた。

「それならいくら好きにしようと俺の勝手だよな?」

「ま、待って」

「待つわけないだろ、バカ」

楽しげに笑うエルの唇を受け入れながら、わたしは何かを望む必要がないくらい幸せだと思った夜だった。