軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ふたりずっと一緒に

エルが戻ってきて、数日が経った。

「……あの、わたし、明日も仕事だしそろそろ寝ないと」

「行かなくていい」

「もう」

そんなことを言うエルは今も、わたしを後ろから抱っこするような形でしっかりと抱きしめてくれている。

口調は相変わらず素っ気ないものの、あれからずっとこうしてべったりとくっついてくるのだ。もちろんとても嬉しいけれど、恥ずかしくもあった。

「俺が養うって言ってんのに、なんで働く必要があるわけ」

「気持ちは嬉しいけど、仕事は辞めないからね」

「クソバカ、アホ」

「ふふ」

相変わらず子供っぽいところにも、ホッとしてしまう。わたし達とは違い、エルはあれからほとんど時間が経っていないから当たり前なのだけれど。

「エルはこれからも神殿でお仕事をするの?」

「次の大魔法使いが現れるまでは、そうなるだろうな」

「……つぎの?」

大魔法使いというのは、一人だけだと聞いている。だからこそ不思議に思い、わたしは振り返ってエルを見上げた。

「大魔法使いとしての力を、封印で使いすぎた」

「…………?」

「そのせいで、全盛期よりも力は格段に落ちてる。まあ、それでも今は俺が一番の魔法使いに変わりはないんだけどな。そのうち俺を超える奴が産まれてくるはずだ」

「そう、なんだ……」

そんな仕組みになっているなんて、知らなかった。

「つーか急いで帰ってくる為に色々と犠牲にしたのに、7年も経ってた俺の気持ちが分かるか」

とは言え、そうしていなかった時のことを考えると具合が悪くなるけどな、とエルは苦笑いを浮かべている。色々なものを代償にすることで、より強い力を得たのだという。

けれど犠牲という言葉が引っかかり、不安になるわたしを見てエルは「だから、大丈夫だって」と笑った。

「その色々って、なに?」

「属性魔法が2種類使えなくなった」

「えっ」

「まあ、他にもいくつか使えるし大して困らない」

エルはほとんどの属性が使えると言っていたから、2つくらい使えなくなってもさほど困らないのかもしれない。一番得意だという氷魔法も無事らしい。

けれど、次の瞬間告げられた言葉にわたしは息を呑んだ。

「あとは寿命を削った」

「じ、寿命って……大丈夫なの?」

「ああ、余分な分を使っただけだ。これからは俺もお前と同じペースで老いるし、普通の人間と寿命も変わらない」

「……うそ」

まるで大したことでもないように、エルはそう言ってのけた。視界が、じわじわとぼやけていく。

「何だよ、その変な顔」

「だ、だって……」

エルには長生きして欲しいと思うけれど、実はわたしだけ老いて、先に死んでしまうことを不安に思っていたのだ。

だからこそ、エルと一緒に歳を重ねていけることが何よりも嬉しくて、思わず泣きそうになってしまったのを堪えていたら変な顔だと笑われてしまった。

「本当に、いいの……?」

「ああ。お前がいないと、意味ないし」

相変わらず素っ気ない言い方だけれど、彼にとってはきっと、最上級の愛の言葉のような気がした。

「……っエル、大好き。ずっとずっと、一緒にいようね」

「当たり前だろ、バカ」

本当にエルらしいと思いながらも、ぽろぽろと泣き出してしまうわたしをエルはきつく抱きしめてくれたのだった。