追放令嬢の友達
作者: 椎名正
本文
伯爵令嬢は、王子に婚約破棄を宣言され追放処分を告げられる。
「お前のような病気で顔が醜くなった女など、あの荒れ地グリオカに追放だ」
王子の新たな婚約者が高笑いする。
「あんたなんかは辺境地がお似合いですわ」
翌日、追放された伯爵令嬢の元に、王子と婚約者がやってくる。
「敗北者の顔を見にきたぞ」
「みじめな顔ですね。おほほほほ」
「その小汚い顔を、ここの温泉で洗ってこい。すこしはましになるだろう」
「ここの温泉は病気に良く効くそうですわ」
その翌日も、王子と婚約者はやってくる。
「負け犬のお前にふさわしい仕事をもってきてやったぞ。毒見役だ。俺達の食べる予定の料理を、先に食べて危険を引き受ける役だ」
「ほほほほほ。かつて王子の婚約者だった人間が落ちぶれたものですね。それじゃあ、まずこのスタミナ料理を食べなさい。一口かじるだけじゃ駄目よ、完食しなさい」
さらに次の日にも、王子と婚約者は、辺境領にやってくる。
「王子の僕が来てやったんだ。観光案内をしろ。この土地のいろんなところに連れていけ」
「私は空気のいいところに行きたいですわ。あなたが案内するにきまっているでしょう」
一か月後。
「城にいた時よりだいぶましになったな。ろくに食事もしないで閉じこもっていた頃に比べたら、健康的だ。お前に仕事を与える。この辺境地を観光名所にしろ。お前の得意分野だろう」
「成功したら、私がその功績をもらってあげますわよ」
一年後。
「さっぱりしたぞ。いい湯だった。だが、観光客が多くて、隠れ家的温泉地の風情が無くなったのだけは残念だ」
「それじゃあ、この辺境地の発展の功績は私がもらってあげるわ。あなたはこの辺境地から追放よ」
「さっさと荷物をまとめろ」
「あんたなんか王子の婚約者がお似合いよ」
おわり