軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

転生王女の奮闘。

さてお次は、ナルシストな貴族のボンボンのフラグを叩き折ろうと思います。

ゲオルク・ツー・アイゲル。侯爵家の後継ぎにして、後のローゼマリーの婚約者だ。

サラッと発表したが、もう一度言おう。ローゼマリーの……つまり私の、未来の婚約者。あの阿呆なボンボンが。

あはははははは……冗談じゃねえっすわ。

何が哀しくてあんなのに、私の一生を捧げなきゃならないんだ。

ヒロインに熨斗を付けて差し上げたい所だが、流石の私も良心が咎める。譲り渡すにしてもせめてもう少し、マシな人間にしておかねばなるまい。

それには先ず、彼の生い立ちを振り返る必要がある。

乙女ゲーの攻略対象の殆どが、哀しい過去を抱えているが、彼、ゲオルクもまた例に洩れずの過去持ちである。

絹糸のようなプラチナブロンドに、アメジストの瞳。触れれば壊れてしまいそうな儚げな美貌の母君は、佳人薄命を体現するように、ゲオルクが8歳の頃に亡くなった。

美しい母を亡くした幼子は、嘆き哀しんだ。けれどそんな彼を慰める者は、誰もいなかった。

侯爵家当主である父は、最愛の女性を亡くした事に絶望した。たった一人捨て置かれた息子の事など振り返りもせずに、荒れた生活を送る事となる。

そして当主の実弟にして、ゲオルクの叔父も、荒れた当主を支え立ち直らせる事に必死なあまり、彼の傍にいてやる事は叶わなかった。

たった一人残されたゲオルクは、亡き母の面影を求め続ける。

使用人を近寄らせず、母の部屋で一人閉じこもっていた彼は、ある日、鏡の中に母を見つけた。

母のショールを頭から被った少年。それは白百合の君と謳われた母に生き写しの容姿をした、ゲオルク本人だった。

鏡、もしくは水面やガラス。姿を映す物さえあれば、母に会える。

それが、ゲオルクがナルシストとなった発端である。

正直、重い。とっても重い。

あの変態に、そんな哀しい過去があった事自体が驚きだ。

でも実際に彼の母君は、病弱な方だった。

初めて会えた日は私が5歳、ゲオルクが6歳の頃。婚約者候補として、私とゲオルクを引き合わせる目的があったのだろうけれど、私は早々にゲオルクを放置し、彼の母君に懐いた。

ベッドで上半身を起こした母君は、私に微笑む。彼女の傍らに立つ当主は、心配そうに彼女を見つめてから、私に紹介した。

「無作法をお許しください。王女殿下。妻は体が弱く、季節の変わり目は体調を崩しがちでベッドから出られないのです」

「お目にかかれて光栄です。モーリッツの妻、エマと申します」

「ローゼマリーです」

ニコニコ笑うエマさんに、私は見惚れながらも挨拶した。

儚げ美人なのに、笑うと少女のようって、反則でしょうが。なにこの人可愛すぎる。

この時点でエマさんにメロメロになった私は、婚約者候補という立場を利用して、何度もお見舞いに行った。

王女がちょくちょく遊びに行くっていうのも、考えたら迷惑だったかもしれないけれど、エマさんはいつでも笑顔で出迎えてくれた。マリー様、なんて愛称でも呼んでくれて、懐く私を、実の娘のように可愛がってくれる。エマさんマジ天使。マジ女神様。ゲオルク?なにそれ美味しいの?

何度か会いに行っているうちに、エマさんの体の不調の原因を、いくつか見つけた。

まずその一。食事を積極的にとらない。

エマさん、小食な上に偏食なんだよね。好きな食べ物はフルーツで、嫌いな食べ物は野菜って子供か。人参嫌いなエマさんは可愛いけれど、栄養は大事。

その二。運動をほとんどしない。

基本、一日ベッドの中で読書とか刺繍をして過ごすらしい。

運動量が無いからこそ、余計お腹へらないんだと思う。で食べないから、体力がなくなるっていう悪循環。

その三。日光にあたらない。

殆ど外に行かないから、太陽にもあたらない。

人間には太陽が必要だ。良く思い出せないけれど、骨の形成とか自律神経とか、色んなものに作用した筈。あと個人的に、室内にばっかりいると、気分が滅入ると思うんだよね。

日焼けし過ぎも良くないけれど、ほどほどには必要だ。

病気ならば、医者ではない私にはどうしようもないけれど、エマさんは、大病を患っているのではないらしい。季節の変わり目に風邪を拗らせやすく、長引かせる事が多いとの事。なら体力をアップ出来れば、二年後の悲劇も回避出来るかも。

そう思い立った私は、ゲオルクと、彼の叔父であるユリウス様を巻き込んで、エマさんの体調改善に取り組む事にした。

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